大遭難事故の直後 トムラウシ

09年7月20日

トムラウシ(2,141m)


7月16日のトムラウシの大量遭難の第1報はいつだったか?
時刻は忘れたが
正にトムラウシに向けて北海道に出発する前日であった。
ツアーだと聞いて、かなりの遭難者が出るのではないかと直感したが
美瑛岳を含めて10名もの登山者が命を落とされた。
原因の追及はそのうちにされると思われるが、
錆鉄人は以下のように考えている。

【 ツアー登山の危険性 】

1.天候に関係なく日程が決まっていて予備日がない
悪天候でも決行するしかない!
(予備日を設ければ料金が高くなって客が来ない)
(もし停滞したら、損害賠償を言いだす客がいるのではないかとも思う)
2.体力・スタミナ・装備の伴わない登山者がいる可能性が高い
3.人数が多くなればなるほど行動が遅くなり、リスクは高まる
4.団体行動による強制力
体調が悪くても同一行動を取るしかなく、結果的に足を引っ張る
5.ツアーという事による自己責任意識の欠如
(極限状態であなたの命は誰も守ってくれない事を知るべき)

いう事でしたが
大遭難事故のあった山に直後の19日に登る計画で
我が家を出発したのでありました。







どうやって行くの?
新日本海フェリーで苫小牧東港に18日夕方に上陸し、そのままトムラウシの短縮登山口まで走って車中泊する計画でした。

しかしながら、出発前日の16日の天気予報で、予想天気図などを確認し、19日は天気が悪いと判断した錆鉄人は、登山を20日に延期し、19日ははるばると羅臼方面の温泉巡りに行く事にしていました。フェリーでも天気予報を注意深く確認し(決してビールばかり飲んでいたわけではありません!)やはり登山は20日に変更する事にしたのでありました。


遭難の検証
新聞などの報道によると

【遭難の経緯】
午前5時  出発予定を悪天候で30分様子を見る
5時半    ひさご沼避難小屋を出発
10時半頃 女性客が動けなくなりガイド1名とビバーク
       (客という表現も?ですが・・・)

12時頃   さらに女性が動けなくなりガイド1名と男女性4名がビバーク
       この間全員が1時間以上強風と雨の中で待機し
        結果的に体温を奪われる
13時半頃  残ったメンバーが出発
15時54分  救助要請


【悪天候のツアー登山】
今回の遭難は「ツアー最終日なので、悪天候でも短縮登山口まで戻らなければならない」というツアーの宿命的な事情が死を招いたと言わざるを得ません。
ガイドに判断を任せているとツアー会社社長は言っていましたが、ツアーの催行契約で客との間でスケジュール延期の場合の了承を得ていたのでしょうか?その場合の費用負担も決まっていたのでしょうか?
もし、ガイドが悪天候なので1日停滞すると決定した場合、上記のように「(翌日は仕事だから)損害賠償しろ!」と言いだす客がいるに違いありません。そういう記事はありませんでしたが、このツアーでもそういう発言があって出発した可能性もあるのではないかと思っています。
かつて、日本人は圧倒的兵火を誇る米軍の十字砲火の中へ、天皇陛下万歳と叫んで竹やりで突っ込んだとの事ですが、たとえは悪いのですが、今回の遭難はそれに近いものがあるのではないかと思います。
錆鉄人の実行している百名山日帰りは如何に安全性が高いかという事が分かると思います。

東大雪荘に入浴した後、
19日夜 トムラウシ温泉東大雪荘
という事で、18日夕方苫小牧東港に上陸し、19日には羅臼まで行って温泉巡りをして、さらには十勝川温泉にも入って帯広名物の豚丼を食べ、トムラウシ温泉東大雪荘まで走ったのでありました。
十勝川温泉のモール泉に感動した天女は、折角の温泉成分を洗い流すのは勿体ないと抵抗しましたが、ここも有名な泉質の温泉だからと説得して、この日7か所目の温泉入浴となりました。(天女は5か所目)

そして、温泉から上がって、中の休憩所でビールを飲んでいた2人連れと話をしましたが、このツアーを主宰した会社の登山ツアーの一行に出会った事があると言っていました。
彼らの話によると、登山スピードが極端に遅く(てんでに写真を撮って止まっていたりと、統制も取れていないとの事でした)あれでは遭難する可能性があると思ったとの事でした。



この2人組さん以外のも会う登るという人がいて、明日はちゃんと登山者がいるのだと安心したのでありました。 

さて、本来ならこの後は短縮登山口まで行って車中泊なのですが、行った所で誰もいなかったら怖い!と小心者の錆鉄人は考え、東大雪荘の駐車場で車中泊させてもらいました。(本来はいけないと例の2人組さんに教えてもらいましたが、空いていたし、そういう時期だったのでご免なさいです。)
20日は後ほど良くなるとの天気予報だったので、当初は3時出発の計画でしたが、アラームを4時にセットし、明るくなってから出発する事にしました。

短縮登山口駐車場
夜中にも目が覚めましたが、案外ぐっすり眠って、アラームがなる前でしたが起きてみると、駐車場に並んでいた車が半分ほどになっていました。
「しまった!駐車場が満杯だったらどうしよう」と焦った錆鉄人は、すぐに車を出発させました。

東大雪荘からは7〜8kmだったと思いますが、短縮登山口の駐車場はかなり広く、車はまだ半分以下でしたが、舞頃バスも停まっていて、大勢の登山者が出発する所でした。
フェリーの中で一緒だった人から(その人は秋田で下船し、秋田駒ヶ岳に登ると言っていました。)トムラウシ短縮登山口で下山したらガラスが割れていて大変だったと聞きました。車による石跳ねだったのじゃないかとの事だったので、錆鉄人も駐車位置に気を使いました。
でもどう考えても、石跳ねでがガラスが割れるほどのスピードで走る所ではないので、やはり車上荒らしだったのではないかと思いました。

さて、我々は短縮登山口には着いたものの、とりあえず走ってきたので、トイレも朝食もしていません。そうしているうちのほとんどの登山者はいなくなりました。



自慢のバイオトイレ
でも故障していました
登山口
という事で、4時26分、出発しようとして登山口で記念撮影しようとしたら、その先でポータブルビデオを持って何やら撮影していた人が近寄ってきて、「○×△ですが、インタビューさせて下さい」と言うので、そこは善人の錆鉄人、断る理由もなのでいいですよと答えてインタビューを受けました。
最初に遭難の事を聞かれました。上記のような事を考えていましたが話すと長くなるので「あれはツアーですからね」と簡単に答えました。
それから、錆鉄人のランパン姿を見て装備の事を聞かれたので、慌てて自己弁護をしました。「ちゃんとズボンも雨具も持っているし、エマージェンシーシートや非常食も持っています」とか答えたと思います。あがっていたいたのか、「錆鉄人は愛妻家なのでズボンを汚さないようにしている」と言うのを忘れました。
あと、何を喋ったか覚えていませんが、インタビューが終わってから登山口での写真を撮ろうとしたら、その記者さんが撮影してくれました。
その後、とざんどうを歩いて行く所も撮影させて欲しいと言って撮影されました。

さてトムラウシを下山後、稚内に向けて走っていると、秋田のKさんからメールが入り、テレビ朝日の全国ニュースで見たとの事。無謀登山者として紹介されたのかも?と危惧する錆鉄人でありました。


4:29 登山口を出発
ぬかるむ登山道

4:47
確か東大雪荘からの登山道の合流点だと思います


サスケのような木道

何と水溜りに木道が浮かんでいるのです!
カムイ天上

悪評高き泥濘の登山道ですが
一部(ほんの一部)整備されている所もありました


5:19 カムイ天上


登山者達

バンバン抜きまくって歩きました。


旧道(廃道)分岐
泥濘は続く

ぬかるみを避けて笹の刈りはらった所を歩くのですが、錆鉄人のむきだしのスネは傷だらけです。痛みは無視するのが錆鉄人流登山の極意ですが、別に痛いほどではありません。

この辺りだったか、その前だったか忘れましたが、泥だらけの水溜まりを避けて斜めになった笹株の上を歩いていると、木の枝に引っかかって錆鉄人のクールバンダナが泥水の上に落っこちた表紙に、錆鉄人も泥水の上に滑り落ちてしまい、登山靴と靴下は泥だらけになってしまいました。
こういう時、スパッツをしてないと1つ汚れなくて済むので良いと思いませんか?上の写真のように、ほとんど100%の登山者がどんな時もスパッツをしているのは不思議です。(って、しなほうが不思議かもしれませんが・・・)


尾根を歩いているのに相変わらずのぬかるみ続きです
こまどり沢渡渉

6:30 渡渉地点に到着


ペンキを見ながら渡渉する天女
雪渓

結構何百mも雪渓を登りました


危ないよと言っていながら、天女が行った後で雪渓に乗ったら、割れて2m程滑落しましたが、不死身の錆鉄人はとっさに足下の雪渓を右腕で抱え込んでガードにして落下。
おかげで右腕の内側に多数の擦過傷をおい、さらに肋骨を打撲しましたがヒビは入らなかったようで、心配する天女に何ともないよと言って這い上がって歩きだしました。
ゴーロ

左下に続く雪渓を登ってきました



前トム平へはここを右へトラバース




前トム平

7:22 前トム平

この日の先頭と思われる登山者が休憩していました


前トム平の先は
平たい岩が卒塔婆のように立てられていて
不気味な感じがしました。
急にガスも出てきました・・・
トムラウシ公園

前トムからはガスに包まれて、進めども進めども何処が頂上かも分からず、まるで遭難した人の怨念に包まれているような気がしました。











トムラウシ分岐

どうやらちゃんと頂上に向かってきたという事が分かりました


最後の急峻な登り
頂上

8:44 トムラウシ頂上
(休憩も含め4時間15分で登頂)
風を避けて岩陰でおにぎりを食べました


帰ろうとしたら、ひさご沼から登って来た人が到着したので撮影してもらいました。
下山

9:01 下山開始


一面のお花畑!
軽快に下山

もう余裕が出てきたので、花を撮影しまくりました。
でも、想像よりコマクサが少なく残念でした。



南沼

みるみるガスが晴れてきました。
ここで出会ったツアーのガイドが頂上で晴れるように予約してあると自慢していました。


東大雪荘で話しをした2人と遭遇
前トム平へ

こんなに明るいと不気味さもありません



前トム平




崩落

天女が乗ったら割れた雪渓
落ちたのは30cmでした!



相変わらずのぬかるみ



水が減ってサスケ状態は終わっていました
登山口に戻る



12:38 登山口の戻りました
(下山は3時間37分でした)
泥だらけの登山靴

泥パックした登山靴

登山口に戻ると、車上荒らしにあっていないのを確認してまずはひと安心。

泥パックした登山靴を洗うために東大雪荘に行きましたが、何処で洗ってよいのか分からなかったので、駐車場の横にあった噴出孔から流れ出ている温泉と川の合流地点で靴を洗い、しばらく乾かしていました。
稚内へ
それからは、東大雪荘は昨日入っているので、今日は最北端の温泉「童夢」に入ろうと、車を飛ばしました。
アヒル副隊長さんが教えてくれたように、内陸部を走るのではなく、留萌から日本海沿いを北上しましたが、高速と間違えるようなハイアベレージでの走行で、余裕を持って童夢に到着出来ました。



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