鷲羽水晶日帰り 百名山全山日帰りの定義の中で、 椹島からの赤石岳、悪沢岳の日帰りを認定しているので 全山日帰りの中での最難関は鷲羽水晶の日帰りとなる。 コースタイムは25時間強 往復の距離は45km 累積の標高差は3,500m 錆鉄人の記録をご覧になった人の中で このコースにチャレンジする人が出てきたようです。 今まで誰もしようとしなかっただけで、 錆鉄人に出来たのだから、出来ないはずはないのです。 これにチャレンジすることは 単なる「おバカな登山」を越えた崇高な挑戦だと思います。 登山とは極限への挑戦だとしても、 自分でコントロール出来ない悪条件(冬山の縦走など)に突っ込むのは 単なる蛮勇でしかないと思っています。 極限に挑戦したいという人間のロマン それを比較的安全に実現出来るのが ロングトレールだと思います 【 注 意 】 このコースは通常なら2泊3日以上を要するコースです。 周到な準備・シュミレーションを行ってから 自己責任で挑戦して下さい。 |
地 点 | 標高 | 距離 | CT | 計画 | 休憩 | 計画 | 実績 | 時間 | 休憩 | 備 考 |
新穂高バスターミナル | 1,100 | * | * | * | * | 0:00 | 0:00 | * | * | 小池新道分岐まで6.2km |
わさび平小屋(水) | 1,400 | 3.5 | 1:15 | 0:50 | * | 0:50 | 不明 | (0:55) | 0:02 | 笠新道分岐0:42 給水 |
鏡平山荘(水) | 2,280 | 5 | 4:00 | 2:30 | * | 3:20 | 2:39 | (1:42) | 0:08 | コースタイム長すぎる? |
双六小屋(給水) | 2,540 | 3.5 | 2:20 | 1:30 | 0:10 | 4:50 | 4:07 | 1:20 | 0:13 | 巻道で15分休憩/御来光 |
三俣山荘(給水) | 2,550 | 5.5 | 2:20 | 1:30 | 0:10 | 6:30 | 6:00 | 1:35 | 0:10 | 小屋過ぎた所で休憩 |
鷲羽岳2924m | 2,924 | 1.5 | 1:20 | 0:45 | * | 7:25 | 7:02 | 0:52 | 0:03 | |
水晶岳2986m/13:45 | 2,986 | 4 | 2:30 | 1:45 | 0:10 | 9:10 | 8:36 | 1:31 | 0:12 | 水晶小屋10分休憩含む |
鷲羽岳 | 2,924 | 4 | 2:15 | 1:45 | * | 11:05 | 10:20 | 1:32 | 0:02 | 実績は黒部源流 |
三俣山荘(給水) | 2,550 | 1.5 | 1:00 | 0:30 | 0:30 | 11:35 | 10:44 | 0:22 | 0:23 | ビーフカレー |
双六小屋(給水) | 2,540 | 5.5 | 2:30 | 1:30 | * | 13:35 | 12:47 | 1:40 | 0:18 | 牛丼+生ビール |
鏡平山荘(水) | 2,280 | 3.5 | 1:50 | 1:30 | 0:10 | 15:05 | 14:20 | 1:15 | 0:10 | |
わさび平小屋 | 1,400 | 5 | 2:40 | 1:30 | * | 16:45 | 16:02 | 1:32 | 0 | |
新穂高バスターミナル | 1,090 | 3.5 | 1:15 | 0:45 | * | 17:30 | 16:50 | 0:48 | * | 5:15/9:15=0.57 |
合 計 | * | 46 | 25:15 | 16:20 | 1:10 | * | 16:50 | 15:09 | 1:41 | 16:10/25:15=0.64 |
計画(再掲) |
||
コースタイム25時間強。 錆鉄人が実行した時は、食当たりで前半がメロメロでしたが(後半も、水晶小屋で飲んだ生ぬるいビールで酔いが回ってフラフラでしたが・・・)、実行動時間は往復12:24(メロメロのせいもあって、休憩がたくさんだったので出発から到着までは13:56) 問題は「かよわい」女性である天女が実行出来るかという事です。 しかしながら、過去に山岳耐久レースを完走した経験や、今年に入ってからも飛越トンネルからの黒部五郎岳日帰りをしても、それほどくたびれず、さらに8月8日には椹島から赤石岳を日帰りし、翌9日には午前1時半起きで椹島から悪沢岳の日帰りを実行し、2日でコースタイ30時間越え、標高差延べ4500m越えの登山を実行出来たので、早朝出発、コースタイムの長さ、標高差の不安をほぼ解消し、十分可能と判断。 場合によっては、体調を見ながら途中の小屋に泊れるのも、このコースの利点です。(ほぼ2時間置きに小屋がありますから!) 天女の最近のコースタイムを見ていると、錆鉄人単独の場合のほぼ2割増し程度なので、12時間24分を1.2倍すると14時間53分。休憩は同じ程度取ることにして、合計16時間半で戻れると計算しました。 ちなみに、山岳耐久レースに出場するような人なら、どなたも鷲羽水晶の日帰りは可能だと思いますが、日本特有の「登山」という固定観念というか、マニュアルに従って(それはガラパゴス現象そのものじゃないかと思います)やろうと考えなかっただけだと思います。 こうして天女でも日帰りが出来たことで、「明日は1日お天気だから、水晶岳の頂上からあの景色を楽しんで帰って来よう」という人が、これから増えるのではないかと思います。 |
錆鉄人は明るいうちに戻るのをモットーにしているので、午後6時には戻るものとして、午前1時に出発しようと考えました。(16時間半なら午後5時半戻り) 林道歩きが1時間はありますから、最悪午後7時に林道に戻れば、バスターミナルへは午後8時到着となりますが、危険性は高くないと考えられるので、1時間半の余裕があると考えられます。 となると問題は、我が家を18:30頃に出発したとして、新穂高の駐車場に到着するのは22:00近くなるという事。すぐに寝たとしても、0時半には起きる必要があるので2時間半程度しか睡眠時間が取れない事です。天女の忠実なるしもべである錆鉄人はアッシー君だけではなく、天女の登山のサポートもしなくてはならないのですが・・・ 天女にはうんと昼寝をしておいてもらい、新穂高に向かう道中も極力眠ってもらえば、天女の睡眠不足はないと思いますが・・・。 錆鉄人も午後を休みにするとか、2時間程早退するとか考えられない事もありませんが、2日連続の寝不足で笠ヶ岳・槍ヶ岳の日帰りをした時と比べればマシだと楽観的に思う事にしましたが、天女は性格的に昼寝をするはずがありません。この残暑厳しい中で、毎日田圃や畑など外仕事を遅くまでしているので、それも心配です。錆鉄人は田圃禁止令を打ち出したのですが・・・ ここは午後1時には強制的に拉致し、早めに睡眠出来るようにしてあげるしかありません。という事で、21日午後は仕事を休んで新穂高には夕方までに到着する事にしていました。 しかし、天気予報を3社検討しましたが、22日は朝方まで雨は間違いなさそうなので翌日に延期する事にしました。(22日も普通の登山時間帯は雨が上がっている筈なのですが、なにせ午前0時出発の計画ですから・・・) |
|
どうやって行くの? | ||
通い慣れた新穂高へのルート。 無料区間が高山ICまで伸びたので、通勤半額を利用して白鳥(実際は油坂)から高速乗れば、我が家から3時間余りで到着出来るようになりました。 家を出て15分位たって美山町を走っている時、高速1,000円乗り放題だから鯖江ICから高速に乗って富山ICまで走って、新穂高に行けば良かったかも?と思いましたが、ここまで来たら後の祭り。 という事で走っていると、カーナビがー高鷲IC−白鳥IC間の渋滞9kmと表示したので、「こんな所で渋滞なんて事故かもしれない、1車線なので無茶苦茶かかるかもしれない」と考えて白鳥西から下道を走行。ここは信号もないので下道を走っても10〜20分しか違わないと思っていましたが、それは夜の事。ノロノロのおじさん車がいたりして、全然進みません。 しかし、ヒルガノ高原を過ぎたら一変。前を走る遅い車がいなくなった途端、高速並みのスピードで走り出す車が2台とバイク、その後を着いて行かせてもらいました。 |
【天女日記】 男もすなる鷲羽水晶日帰りといふものを、女もしてみむとてするなり。それの年(平成二一年)の葉月の二十日あまり二日の、巳の時に門出す。そのよしいさゝかものにかきつく。 と書いては見ましたが、疲れるので止めました。(錆鉄人) 【注意】百名山全山日帰りの定義に関して これに関しては、これまで誰も唱えた事も考えたこともない百名山の新しい登山概念であり、発案者の錆鉄人が定義する権利を有していると考えます。 定義に際しては、「日本の何処に住んでいようと、同じ条件で百名山全山の日帰りに挑戦出来る」ように配慮しました。 詳しくは、錆鉄人の超絶!百名山全山日帰り五輪の書を参照願います。 |
|
アクシデント | ||
という事で、飛騨清見ICから無料区間で高山ICまで。前の車はワインディングを走るのが趣味なのか、高速に乗らずそのまま爆走して行きました。 国道41号線から右折して走っていると、天女が「私のヘッドランプの予備電池ちゃんと持った?」と突然聞くので、錆鉄人は予備電池はちゃんとザックに入れたけれど自分のヘッドランプを入れ忘れた事を思い出しました。走りながらザックを探りましたが、やはりありません。この日の為に?買ったヘッドランプなのに・・・ 天女の後を付いて行けば良いと思いましたが、天女が危ないわと言うのと、それではやはり明るくなるまで時間がかかり過ぎてしまうかも?と思って、高山なら大型電器店もあるだろうとカーナビで自社近辺の電気店を検索。 一番近い電気店を選択して行こうとすると、工事中で迂回させられ・・・ それでもどうにか回り道して、さらに1車線ギリギリの狭い隘路を案内されてついた所にはお店がありません。しかたないので広い道路に出ると、そこにありました。 |
早速、電池売り場に行くと、先日買った0.5Wのヘッドランプと同じメーカーのヘッドランプがありましたが・・・ 何故か、それは単四電池2本タイプ。もっと明るいタイプもありましたが、単四電池3本タイプ・・・。単三の予備電池を4本も持ってきたのですが・・・ しかたがありません、そこは即断購入。天女はパンとおにぎりを買うだけでも(錆鉄人の時間感覚では)1時間も迷っていますが・・・ 電池もアルカリ乾電池を4本(2回分)買いました。そして、最後のコンビニではなく、その電器店のそばのローソンでおにぎりとパンを大量に購入して、新穂高に走りました。 |
|
無料駐車場にて | ||
さて、土曜日なので駐車場は満杯かもしれないと危惧しながら側道に進み、1番下の駐車場は満杯、その上も満杯、さらに2段目も満杯、最後の一番上に進むと奇跡的に1ヶ所空いていたので駐車しました。時間は2時過ぎ頃だったと思います。 そのうちに下山した人が戻ってきて車が出て行きますが、何処かで見ていたのかしら?と思う程、次の車が入ってきます。 やがて、フレンディのオートフリートップが入ってきて、すぐにルーフを開いてテントにしたので、する事のない錆鉄人はビールを片手に見に行きました。 いいですね!とか話しかけると、何と福井県の丸岡の人(おかちゃんさん)との事で、錆鉄人のHPもご覧になっていて、お逢いした事を凄く喜んで下さいました。 という訳で、その後は日陰で一緒になって、持ってきた弁当やビールを飲んで話しをしていました。 そして、5時頃になったので、我々はそろそろ寝る事にしましたが、おかちゃんさんはパソコンで最新の天気予報を調べて連絡して下さいました。新穂高の駐車場はラジオも聞けませんが(携帯はつながるようになりましたが・・・)深山荘がフリースポットだという事を調べて、パソコンを持って来ていたのでした。(そのほか、広い車内にはたくさんの登山用品や地図や本などがありました) 朝の天気予報とそれ程変わらず、夜中から昼頃までは曇りという予報でした。 という事で、安心して眠りについたのでありましたが、時々上がってくる車に目が覚めるデリケートな錆鉄人でありました。 |
「おかちゃん」さんと |
|
出発 | ||
アラームは23時20分にセットしていましたが、またしてもアラームの前には目覚めているという神業を発揮。 着替えをして、登山靴をはいて、バスターミナルへ歩いて行きました。そしてトイレに行って顔も洗い、時間があったので登山届を出す事にして、写真の指導センターへ行って、登山届を書きました。投函してもまだ数分あるなと思っていると、1台の自転車が走って来て、橋のたもとに泊まりました。 こんな時間に出発するなんて、何て物好きな人だろうと思っていると、時計が0時を回っていたので、橋の方へ歩いて行き、どちらまで行かれるのですか?と聞くと、目的は決まっていないようで、行ける所までという答えでした。 こちらのほうにいるのだから、槍や奥穂でないことは間違いなく、ひょっとしたら同じ鷲羽水晶かも?と思いながら歩きだしましたが、かろやかにペダルをこいで闇の中に消えて行きました。 怖がりの錆鉄人ですが、すぐ前に人がいるというので凄く安心できました。熊がいても逃げるだろうから、襲われる心配はありませんから。 |
午前0時 出発です! |
|
林道歩き | ||
山の形をした欄干の橋を渡って、少し行くとゲートです。その前のホテルの駐車場には福井ナンバーの外車のワゴン車が駐車していました。 その後、自転車の人には追い付き掛けましたが、舗装道になるとあっという間に闇に消えて行きました。 |
笠新道の登山口 0:42 水は充分持ってきましたが 節約してここの水を飲みました |
|
小池新道 | ||
小池新道の入口で記念撮影 自転車の人もここにいて、自転車を片付けていました。 声を掛けて先に進みました。 |
秩父沢の橋 3年前の鉱泉浴が思い出されます この先は石のゴロゴロした登山道が続きますが 良く整備されていて歩き難くはありません |
|
鏡平山荘 | ||
直登ルートで時間短縮しようと思いましたが、通行禁止になっていました。 |
2:39 到着 宿泊している人の迷惑にならないように 熊避けスズを止めて近づく気配りの錆鉄人でした トイレに行って小休憩し 2:47 出発 |
|
双六小屋 | ||
弓折岳分岐 3:19 ここで2名の登山者が休憩していました。 |
双六小屋 4:07 到着 給水して小休憩、 暗くなっていた天女のヘッドランプの電池も交換して 4:20 出発しました (もう、出発している登山者もたくさんいました) |
|
空が明るくなる | ||
4:21 巻道の分岐に到着 |
空が明るくなってきました |
|
巻道分岐 | ||
この辺りから御来光のようです ヘッドランプを外したのは4:30頃だったでしょうか? 御来光を待ちました。 |
なんか金時娘を連想させる天女 (あんなおばさんと一緒にしないで!) |
|
御来光 | ||
5:20 稜線の雲の上から御来光 |
天気予報が曇りだったので 期待していなかっただけに凄く得した気分に |
|
朝の訪れ | ||
きっとたくさんの人で混雑しているのでしょうね |
朝日に染まる草原 |
|
三俣峠 | ||
5:40 |
だんだんと鷲羽岳が高くなってくるので 三俣山荘向かって下るのが勿体なく感じます |
|
三俣山荘 | ||
6:00 撮影だけして進んだのですが・・・ |
戻ってきたらビーフカレーを食べようね |
|
鷲羽岳 | ||
三俣山荘では休憩しなかったのですが、ハイマツ帯を過ぎた所で風を避けて食事。錆鉄人も天女の勧めでズボンを履きました。(という事で、この休憩は三俣山荘で休憩したものとします) |
7:02 登頂 少し三俣山荘のほうに戻って鷲羽池と槍穂を撮影 (富士山も写っているのですが・・・) |
|
水晶小屋へ | ||
頂上にはかなりの登山者がいたので一緒に撮影してもらいましたが・・・槍は写っていないし・・・ |
水晶小屋まで結構登るように見えます・・・ |
|
水晶小屋 | ||
小屋の女の子が屋根の上から景色を撮影していました。 水晶岳は小屋の手前のこの岩の所から小山を登って行きます。 少しでも天女が疲れないように、天女は岩の上にザックを置いて空身で行く事にしました。 |
撮影していたのは富士山でしょうか? いつの間にか笠を被っています |
|
小屋の前の丘から | ||
天気は悪いけれど空気は澄んでいます |
笠もかっこいいですね。 天女は槍と間違えていました! |
|
水晶岳へ | ||
ちょっと下ってほぼ平坦部が続きます こういう所は天女の得意な部分です |
右奥には立山、その左奥に剣岳 以下、後編に続く |