裏銀座コースの百名山 鷲羽岳・水晶岳

(撮影 平成15年 8月 2日)

8月31日 ブロッケン現象の写真追加

(中央虹の輪強調の為画質調整有)

鷲羽岳(2,924m)
水晶岳(2,986m)

8月1日、折立からはるばる黒部五郎岳を越え
三俣蓮華の天場にたどり着き
2ヶ月ぶりに娘に逢うことも出来た。
娘は2日目の予定を聞いて
「無理はやめて!水晶岳は危ないところもあるわよ・・・。」
などと文字でうまく表現出来ないが、かなり板に付いた京都弁で説得する。
「うん、天気が悪かったら水晶はやめるよ。」
と答えたが、ここまで来て水晶だけ登らなかったとしても
いつか水晶に登るだけのために2日もかけて来られるであろうか、
何とか登ってしまいたいと思っていた。
妻はどちらでも良いはずであるが、経済観念が発達しているので
そんな近いところにあるのに登らないのはもったいない
と考えるタイプであり、ここは反対しないのであった。

とはいえ、2日目のコースタイムは15時間50分である。
1日目の疲労も残っているだろうし
朝早く出発出来なければ折立まで戻ることは困難であり、
雨が振っていれば朝食の準備とテントの片付けが同時に出来ない分
出発が遅くなるので水晶はあきらめようと思っていた。


折立〜三俣蓮華小屋まで
折立〜三俣蓮華小屋までは「娘に逢いにはるばると 黒部五郎岳」を参照してください。
自分たちより遅れて薄暗くなる頃にきた中年の男女2人連れ(どうやら夫婦2組のようだった)がすぐ近くにテントを張って、中の1人のおばさんが酔っ払って大声でいろんな事をしゃべりまくっていたのが気になってなかなか寝られなかった。よく言われることであるが、天場や小屋の中では他人の迷惑にならないように気をつけましょう。
妻はシュラフの中に入っているが、自分は掛けているだけでも暑いような寝苦しい感じだった。寝られない、寝られないとあせりながら原因を考えて、足先が暑いのが原因かもしれないと靴下を脱いだらやっと楽になって寝られた。と思ったら妻がトイレに行くために起きたので目が覚めてしまった。(トイレはキャンプ場にはなく、小屋の中のトイレを使う)
まだ午後11時頃だった。その後は何度か目が覚めたが良く寝られた。妻からは「お父さんもよく寝ていましたよ。」と言われた。
天場の朝
午前4時、アラームで目を覚ますが、ポツリポツリと雨の音がしている。今日の予定をこなすためにテントの片付けは自分が行い、食事は妻がすることにしていたが、ヘッドライトを1つしか持ってこなかったのでうまく作業が分担できない。(雨の為、まだ薄暗かった)
そのうち、雨音がしなくなり薄明るくなったので妻を追い出しテント内の片付けをして、外に出てみたら細かい雨で妻の背中は濡れていた。あわてて中に入るように言ったが、ちょうどその頃から雨がやみ、テントの外で朝食も食べ、テントを片付けて6時過ぎに天場を出発。
娘達のパーティは朝早く鷲羽に行ってから戻ってテントをたたむと言っていたのですでに音なし、もう1つのパーティもテントはそのままにちょうど出発する所だった。手を振って分かれた。行き先を聞かなかったが黒部五郎のピストンと思われる。

キャンプ場の水場
中央パイプから水が出ている
三俣蓮華小屋
ハイマツの間を通って三俣蓮華小屋へ。ここでトイレを済ませる。売店横の天気図は日本海中央に高気圧が書かれていて、これで天気が悪いはずがないのに・・・。
一面ガスって入るが、東の空は太陽の存在をかすかに示すように明るくなっていて、ガスが晴れればよい天気ではないかと思わせる。
もう降らないだろうと判断し、すぐに鷲羽の登りで暑くなるだろうから妻は雨具を脱ぐ。トイレへ行ってやっと履いたのに面倒だとこぼしながら合羽ズボンも脱いだ。自分はもともと雨具は寒いときに着るだけで、雨でも滅多に着ないので、登山ズボンにTシャツ・長袖シャツだったが長袖シャツを脱ぐ。

出発前に受付に行って「有難うございました。」とお礼を言う。今日の予定を聞かれたので、鷲羽・水晶を回って雲ノ平経由で折立まで戻ると言ったらびっくりしていた。


小屋の中は雨模様で出発をためらう人で満杯
左の煙突の下に蛇口があり水を汲んでいる
鷲羽岳へ
5:17小屋を出発。小屋を出てしばらくはすれ違い出来そうにないハイマツの中の道を進みます。朝方の雨で濡れているので腕やズボンが濡れるが不快なほどではない。
ハイマツを抜けると稜線のすぐ下をトラバースし、それから鷲羽だけへの直登となるが、細かくジグザグしているので急ではない。だんだんとガスが晴れてきて時折青空も見え、中腹からは頂上も見えた。
途中、3人の登山者を追い越す。昨日は太郎平小屋の辺りから持病?のカカト痛みに悩まされたが、今のところなんとも無く、足の疲労もない。妻も快調なようである。
頂上が近づいたら、娘の声が聞こえてきた。妻が呼びかける。


中央が三俣蓮華小屋
右上の雪渓との間が天場である。
鷲羽岳 6:14
頂上で再開を喜ぶ。娘はブロッケン現象を見たと大喜びだが妻は何のことか知らないので反応しない。娘が「ガスの自分の影が写ってその周りに虹が出来る現象よ。」と答える。写真も撮ったとのことで、メールで送ってくれるように頼んだ。(うまく写っていたら写真を追加します。)
帰ったら妻に新田次郎の「槍ヶ岳開山」を読ませなければ・・・と思った。(後日談。これを読んだ妻が「私も何となく分かってはいたのよ。」と反論した。)
残念ながら自分達が登ったときには頂上付近のガスは消えてしまったのでブロッケンの再現はなかった。
まわりの山々もだんだんとガスが消えて見え出してくる。槍の頭が見えるたびに歓声が沸く。黒部五郎が頂上付近のガスが動かない。遠くに白山も見えた。
ワリモ岳のほうは稜線がガスに包まれていて、あそこではブロッケン現象が見られるかもと思い、娘達と手を振って別れる。

2mほどの岩に飛び乗って撮影
ブロッケン現象・周りの展望・・・でニッコニコ
ブロッケン現象 (娘の撮影)
8月30日、娘が長い山籠り?から帰ってきた。7月26日以降で布団の上に寝たのは、この裏銀座縦走の後に一旦京都へ戻った時の2日間だけとの事であった。
東北の飯豊・朝日も雨にたたられたが、その後、自転車でツーリングしながら岩手山・八甲田山などを登って青森まで行ったが、ほとんど雨だったらしい。朝日を登った後でザッグを送ってきたが、中に寝袋も入っていたのでツーリングではユースホステルかなんかに泊まっているのかと思っていたが、「貧乏ワンゲル部がそんなこと出来るわけないでしょ、1日だけテントを立てたけど、あとは道の駅に泊まっていた。」との事だった。シュラフカバーだけで寝ていたが、朝方は寒かったと言う。もう何処ででも寝られるようになったと言っていた。
なにはともあれ、無事帰ってきた事を妻と喜んだが、我が子もたくましくなったものである。

ブロッケン現象
中央の影の周りに虹の輪があります
ワリモ岳分岐 7:00
ワリモ岳のほうへ降りて行くうちにガスは消滅。もうこれからは焼かれる一方だと思い、岩陰で日焼け止めを塗りまくった。
鷲羽の頂上で一緒だった単独行の女性(関西の人だった)は、自分達が今日のうちに折立まで行く事を聞いて、同じく水晶を回って雲ノ平山荘泊まりの予定だったけど、明日の帰りを考えるともっと先まで進みたいと言って必死で付いて来ていたが、この間に追い越して行った。
ワリモ岳の標柱は登山道の少し上、頂上から数m下がった所に立っている。かわいそうだが先を急ぐので頂上には回らずに進んだ。
すこし進んだ所がワリモ岳分岐で、左に距離で200m程下ったところが岩苔分岐であり、何人もの登山者が休憩しているのが見えた。

中央の小高い所の向こうに水晶小屋がある
(山の向こう側なので見えない)
ワリモ岳分岐からの水晶岳
ワリモ岳の分岐でズボンを脱ぎ、いつのもランパン姿になった。足にも日焼け止めを塗らなくてはならないので、妻だけ先に進ませる。塗っていると岩苔分岐のほうから若い女性3人のパーティが登ってきた。雲ノ平からかと聞いたら、三俣蓮華小屋から鷲羽を迂回して黒部源流を通って登ってきたらしくて、鷲羽からは槍が見えましたかと聞かれた。「見えたし、少し早く登った娘はブロッケン現象も見たと喜んでいた。」と言ったらとても残念がっていた。これから水晶に登って烏帽子のほうに向かうと言っていた。
話をしていたので妻との距離がかなり離れたが、ほとんど水平に近い道なのでビュンビュン飛ばし、何人も追い越して妻に追いつく。後を見ると3人連れは1/4位しか進んでいなかった。
小屋の前に少し上りがあり、ここで単独行の女性を追い越した。

ワリモ岳分岐からの水晶岳
写真の右端より少し右にある水晶小屋からは
ほとんど水平である
水晶小屋 7:33
水晶小屋は12畳1間の小さな小屋ですから・・・と三俣蓮華小屋のところに注意書きがあったが、本当に小さな小屋である。小屋の前に広場も小さいので、小さな小屋であるが小屋の全景を撮ることが出来ない。
小さな広場に10人位の登山者が休憩していた。水晶岳までの稜線にも10人位の登山者が見えた。トイレの横の土の上に自分のザッグを下ろし、財布だけ取り出して妻のザッグをかついで7:40出発。


小屋の右手にトイレがある。
手洗い用水タンクが設置されているが
ポトリ・ポトリと1滴づつしか出なかった
水晶岳 2,986m
水晶小屋からしばらくは稜線下のハイマツの中を進むがすぐに稜線に出る。ほとんど水平なのでストレスなく進む。目算で15分で頂上に着くと思ったが、最後は岩登りがあり、妻の速度がガクンと落ちる。こけても50cmか1m程落ちるだけだと思うが、その下に何百mも急斜面が続いているので下まで落ちることを想像してしまい怖いらしい。「だから私は山登りには向いていないのよ。」と言いながら登っていく。
頂上まで数十mのところまで来たら、おばさん3人組が登山道をふさぐように超スローペースで登っている。1歩の間に10歩進めるのではないかと思うくらいまどろっこしい。
ということで、なめくじのような速さで7:59頂上に到着。狭い頂上は10人位の人でほぼ一杯であった。この付近では一番高いこともあり眺めは良い。
妻はあのおばさん軍団の後になったら何時間かかるか分からないと思ったのか、早く下りようという。わずか5分足らずで頂上を後にして小屋に戻る。

岩苔分岐
小屋に戻る途中で鷲羽の頂上で一緒だった単独行の女性とすれ違った。
小屋に戻ってトイレをする。妻にも後2〜3時間は小屋がないからと言って再度トイレをすすめた。3つめの百名山登頂を果たしたのでビールを飲みたかったが、ビールは上の写真のように水に浸けてあるだけなので冷たくないと思い買わなかった。
8:41小屋を出発。すぐに若い女性3人組に逢い挨拶する。ワリモ岳分岐までは水平と下りだけの道であっという間に到着。9:01
そのまま、すぐ下の岩苔分岐へ。黒部源流のほうから登ってくる人が何人も見える。時間チェックのために写真だけ撮って通過する。
ここからは祖父岳への登りであるが、最初の登り始め以外はそんなに急なところはない。

後は立山だったか?
祖父岳
祖父岳の登りの途中に雪渓があり冷たい水が流れていたので顔を洗った。頂上の近くには2箇所ハシゴがあるが、それを登るとなだらかな頂上部の到着する。



以下は
日本最後の秘境とよばれる 雲ノ平 に続きます。

                      HOME

inserted by FC2 system