(自分にとって)魔の山笠ヶ岳

(撮影7月 7日)

去年の6月、笠ヶ岳に登ろうとしたが登山道が分からず、
中崎橋の先、数百メートルを往復しながら探しまわった。
やっと見つけて登ったが、途中で道が分からなくなり、
ガレ場でルートを探しているうちに石が崩れて転落を経験した。
結局、ルートがわからず、やむを得ず焼岳に切り替えた。
今回、登ろうと思って新しい地図を買ったら原因が分かった。
何の事はなかった。
自分の持っていたガイドブック(昭文社:日本百名山を登る下巻)
の登山道は廃止になっていたのであった。
そして今回も、無事登頂は出来たが、帰り道で登山道が消えた!
まさに、笠ヶ岳は自分にとっては魔の山であった。
笠ヶ岳(2898m)
槍・穂高の絶好の展望台であるが、
アプローチも長く登る人は少ない為、静かな山行が出来る。
笠ヶ岳山荘で登頂証明書を発行してくれたが(無料)
21世紀第00016号と00017号であった。
どうやって行くの?
福井からは大野から和泉村を通って中部縦貫道の油坂トンネルから東海北陸道に乗り、飛騨清見で降り(全部で1,700円)高山を抜け、平湯から新穂高温泉まで行き、駐車します。

今立町の自宅からは、片道約210kmで、去年涸沢へ行ったときは有料道路を利用しなかったが、利用したら予想以上に時間が短縮出来た。(自宅を出たのが午後8時25分、駐車場着12時少し前)
金曜日朝の天気予報では、土日とも余り良くないが、日曜日の方が降水確率は低い予報であり、妻には日曜日に行くと告げていた。(年に数回しかない妻の土日の連休だった)ところが17時の天気予報をインターネットで確認すると、7日は高気圧に覆われ天気が良いという思わぬ変化に、急遽その日の夜出発することに変更した。

モルゲンロートの空と駐車場(7日4時30分)
駐車場から笠新道登山口へ
東洋一という新穂高ロープウェーの乗り場のすぐ下のバスターミナルには、無料の温泉があります。楽しみにしていましたが、午後8時には自宅へ戻りたかったので、戻ってきても入る事が出来ませんでした。

中央の木立の右の建物がきれいなトイレで、その建物に無料温泉が併設されています。
笠ヶ岳への登山道はこのトイレの向こう側から橋を渡って、左俣谷の林道を進みます。すぐに写真の山が屏風のように覆い被さってきて、ここを登るのだなと身が引き締まります。

途中、穴毛谷のいわれを書いた案内板もありましたが、興味のあるかたは、自分でお確かめ下さい。(ここより歩いて20分位の所にあります。)

トイレの洗面所で顔を洗って、5時06分出発。
朝のさわやかな空気と清流を眺めながら、バスターミナルから2km程林道を進みます。

(以下は昨年の失敗です)
去年利用した案内書では、この中崎橋を渡ったすぐの所に北陸電力小屋があり(実際に今もある)その先の水場に出会うと笠新道登り口と書いてあった。
廃道になっていたのだから当然案内板もなく、500m程進んで見逃したと思って橋まで引き返した。少し行くと左へ入る林道があり、その先にあるのかと進んで砂防堰堤を2回も登ったりした。この分岐の入口付近に踏分道を見つけ登ったのだが、標高1,700m辺りで完全に道が分からなくなった。
【教訓】
ガイドブックや地図は最新のものを準備しましょう。

中崎橋、5時40分。
笠新道

 

中崎橋から約1km程進むと、笠新道登り口があります。(5時48分到着)
パイプで引いた水が出ているが、かなり硫黄臭かった。
水は中崎橋を渡ってすぐの所の水場をお勧めします。
ここから、笠ヶ岳山荘までは左の案内では7時間10分です。ガイドブックでは笠新道の登りはきついと書いてありますが、さほどの事はありません。
何よりも、振り返れば自分の登った高さを穂高や焼岳の高さで確認出来るのが楽しいと思いました。
       槍ヶ岳〜南岳の勇姿
いつ、ガスが出て見えなくなるかも知れないと、途中で何回も写真を撮りまくった。
焼岳とその向こうの乗鞍岳
振り返ればいつも絶景!
杓子平

杓子平に到着(8時05分)
杓子平はお花畑を期待していたが、コバイケイソウの茎が伸びつつあるだけで、まだ花はなかった。

杓子平からの笠ヶ岳
まだ結構あるなという実感です。
右手の肩の所に山荘が見えます。
稜線分岐
去年まで?の登山道は、上の写真に写っていない左手の方へ行ったようであるが、大雪渓が残っており困難な為でしょうか、新道が出来て中央の山(抜戸岳)のすぐ左へ向かって登ります。
それでも途中2ヶ所小さな雪渓がり、妻の為ピッケルでステップをつけてやりましたが、雪渓は1〜2週でなくなるでしょう。(ピッケルが初めて役に立った。)

稜線分岐直下で、下山する50代の夫婦連れに逢う。昨日の雨はすごかったよと言われた。
稜線分岐には9時ちょうどに到着。10時には楽に頂上に着けると、おにぎりを食べながら話をした。

     

ここからコースタイム1時間10分は、笠新道と比べちょっときついのではないかと思う。
登り切った向こう側に稜線の登山道があり、腰を下ろすのに丁度良い平らな石で階段が出来ています。
抜戸岩
10時登頂は楽勝と思いこんで、杓子平上部の稜線に咲いている花を撮影しながらのんびり進んで、抜戸岩に到着。
時計を見ると9時41分。
頂上はまだまだ遠い。この後、必死の登山が始まる。
何故、10時にこだわったのだろう?

   

9時41分
山荘に到着したのが10時少し前だったが、妻は何故か今度は5時間での登頂(10時06分)にこだわり、休まずにがむしゃらに頂上を目指す。
まだ新しい笠ヶ岳山荘
笠ヶ岳山頂
ヘトヘトになって頂上に着いたのは10時08分であった。さばをよんで5時間にしておこうか、と話す。
頂上からの眺めを二人占め。言葉に言い表せない景色にただ大満足。恒例のビールを取り出したが、まだ表面に氷が着いていて、飲むのは無理と判断。缶チューハイの方は溶けていたので飲んだ。
   

槍から奥穂までが1画面に。
広角レンズを持ってこなかった事が残念であった。

杓子のカールと槍

        遠く、白山も見えた。
1時間程後からはガスが出てきたので、この日の頂上からの眺めは、昨日登られたあの夫婦と我々だけだったかもしれない。(戻り時、抜戸岳の稜線分岐の手前で単独行の登山者に出会ったが、彼は展望がなかったのではないだろうか。)
笠ヶ岳山荘
山荘の写真は上の写真を参照ください。
頂上には10時半までいて山荘まで降り、トイレを借りた。きれいなトイレだった。妻が後で注意を読んだので、ティシュを捨ててしまったと反省していた。妻にトイレを借りた御礼も兼ねて、こんな所で営業しているのだから感謝して売上に協力しなければと言って、ビールを買う。(単にビールをのみたい口実)
350ミリ550円、500ミリ750円。500ミリの割安感に負けて750円出費。ビールを飲んでいると山荘のお姉さんが登頂証明書は如何ですかと言う。記念にいいなともらうことにする。いくらですかと聞いたら上宝村でやっていて無料ですと言う。
山荘がオープンした6月25日以来、たった15人しか登っていない。(小屋に寄らなかった人も何人かはいるらしいが)
実は去年の6月始めに登ろうとしたが登山道を間違えて登れなかったのですと言ったら、去年は雪が多くて7月でも引き返した人がたくさんいたのですよと答えた。道を間違えなくてもピッケルもアイゼンもなかったので登れなかったに違いない。(性格的には無理をして滑落遭難?)

         笠ヶ岳登頂証明書
どちらが先でしたかと聞かれた。妻が先に登っていたが、頂上のすぐ手前で右のケルンの方へ行ってしまって、頂上は自分の方が先になったので、妻は17番になったが、7が3つもあると喜んでいた。
弓折岳へ向かう・・・悲劇の始まり
下りの苦手な妻が、笠新道の下りは嫌だなというので、これ幸いに鏡平のほうを回れば距離が長い分下りは楽だと思うよ、鏡平の池に写る槍の写真も撮りたいし、と言ったら簡単にOKしてくれた。コースタイムでは3時間位余分だけど実際は1時間半だからと思った。
途中のお花畑はきれいだった。
ガスが出てきたので、あとは雷鳥でも現れないかなと言っていたら、登山道に現れたのを妻が見つけた。少しも怖がらず、砂浴びなどを始める。
写真を撮った後、横を何もしないからねと言いながら通った。この頃はまだ余裕があった。
いくつもの小さなピークを越えたが、ガスは出るし、標識が少しもないし、だんだん不安になってきた。
今地図を見ると弓折岳と思ったのは実際は大ノマ岳だった事が分かるが、下った鞍部に新穂高という道標があり、弓折岳の道標は落ちていたのでさらに登った所が弓折岳とは思わなかった。下に続く道があり、鏡平への道だと思った。(ここで地図をよく見るべきだった)
少し下ると雪渓に出くわしたがその先に道が見えたので進んだ。さらに進むと何百メートルもの雪渓となった。雪渓の先どころか数十メートル先がやっと見えるガスだった。もうさっぱり道は分からなくなった。妻の為に丁寧にキックステップを作りながら下る間中、絶壁の上なんかに出たらどうしょうと考えていた。(今地図を見ると、この道は荒廃と出ている)
どうにか小池新道に合流して無事戻れたが、笠ヶ岳は自分にとって鬼門かもしれないと思った。

鏡池に写る槍は恐らく行ってもガスで駄目だったろうとあきらめた。雷鳥に出会えただけでも良かったねとちゃんとした登山道に戻って妻と話しをした。
,
見ていると砂浴びを始めた。まだ完全には羽根の色が変わっていない。

下山途中で見たすごい絶壁

秩父沢の橋は架かっていなかった。高瀬ダムから来たという人が渡渉ポイントを探していた。自分は辺りの石を10個以上投げ込んで足場を作って渡った。(14時42分)

      わさび平小屋(15時23分)
秩父沢からの下山道も谷のような所の石の上を歩いて下る。左俣谷の本流の河原に出ると、小池新道は崩壊によってルートが変更になっていて、いったん木造の橋を渡って左岸の切り開かれた河原を歩いて、本流にかかる林道の橋のすぐ手前に上がった。(3時10分)

8時に家に戻るには4時には駐車場に着かないと駄目かな、と話しながら帰り道を急いだ。バスターミナルには4時10分に到着。トイレに入り顔を洗っただけで駐車場に戻り、登山靴を脱ぎおまじないにチオビタドリンクを飲んで、すぐ出発した。
妻は後席の布団の上ですぐに寝息を立て始めた。
ロープウェーの観光客ももう帰ったのか混雑はなく、8時数分前に家に戻った。
結構、高山植物を写したのですが時間がないので、そのうちアップします。
登山道で見かけた高山植物(順不同、名前知らず)

ハクサンイチゲ







笠ヶ岳に向かう途中のお花畑

朝露に濡れたシャクナゲ

魔の雪渓の横に咲いていた山桜
反省
弓折岳から鏡平へ下る道は、地図を見ると頂上からすぐの所であり、自分が弓折岳だと思っていたピークから分岐までの距離が長くおかしいなと思いながら歩いていたのではあるが、新穂高の道標で間違いないと思ってしまった。これも今考えると、道標には鏡平とか書いてあってしかるべきのような気がする。

やはり、地図をよく確認する事と、現在地を確実に把握することが大切であると感じた。(自分は登山保険に入っていません。)
【今回の装備】
食料:安倍川餅(2人分)きなこよもぎ餅(2人分、食べなかった)パン2ヶ、おにぎり4ヶ、チーズソーセージ、さきいか、コーヒーアメ(パン、おにぎりは高山で調達)
飲料:アクエリアス2L、ブレンディ900ml、お茶500ml
(500mlペットボトルはザックの横の網ポケットに入れておき、歩きながら取り出して飲む。)
その他:ゴアテックス雨具上下(絶対降らないと思ったし、降っても大丈夫とは思ったが、防寒具兼用として持参。)ピッケル、エマージェンシーシート
服装:ランニング用の短パンとTシャツ(メッシュ)、通常は長袖シャツとズボンも持っていくが今回は不要と判断した。(大ノマ岳の大雪渓ではやや寒かった)

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