今庄の春は遅い
雪深し夜叉ヶ池
   (撮影:2001年4月 7日、4月21日)  
4月7日、用事があって今立を出発したのが12時15分頃だった。
南条あたりから見える県境の山々は見事な位雪で白く大丈夫かなと思った。
日野川を渡った今庄のそば道場の駐車場に雪が残っているのを見て驚いた。
少し進むと山の陰となっている田んぼに雪が残っていて不安を感じた。
そして、その不安は的中した。
4月21日、天気は曇りだが雨は降らない様子なので山行にした。
取立山のミズバショウとどちらにしようか迷ったが、7日のリベンジをする事にした。
(娘を武生高校まで送るので、夜叉ヶ池の方が近いという安直な理由もあった。)
道路は2週間前とはうって変わって登山口まで車で通行可能であった。
雪も想像以上に少なくなっていた
            
    
泉鏡花の小説で有名な「夜叉ヶ池」

福井の人で、岐阜県側から夜叉ヶ池に登ったことのある人は少ないと思います。
自分は大垣市の近くの神戸町を出発して夜叉ヶ池に登り神戸町まで戻る
「夜叉ヶ池マラニック(130km)」というマラソン大会に参加したことがあります。

7月の最終の土日に開催され、土曜日の午後1時、気温37度の中でスタートでした。
翌日は午前3時のスタートで、懐中電灯の光で道路を照らしながら、
前の人の後を付いていったのですがその人達が道を間違えていて、
滋賀県境まで行ってしまい、往復で3時間ほどロスしてしまった。
夜叉ヶ池には登ったけれど、
涼しい間に頑張ろうと、実力以上に頑張って先頭付近を走っていた自分にとって
ショックは大きく、山から下りた所でリタイアしてしまった。
(この悲惨な道間違いをした人は20人位いたが、その人達はほとんどリタイヤした。)
県境の尾根から岐阜県側を見た通り、かなりの岩場をよじ登りますので
今庄側から登るよりハードで距離も長かったのではないかと思います。
岩場の下にやはり夜叉ガ滝があり、
滝の水で流れる汗を流し気持ちが良かった事を覚えています。

開会式では「龍神の舞」というものを見物し
(テレビで見る長崎くんちの龍踊りのようなもので、
最後にとぐろを巻いた所に美しい夜叉姫が飛び乗り、出走者から喝采を受けた。)
夜叉ヶ池にまつわる様々な伝承や神社を見て、
ひょっとしたら、夜叉ヶ池伝説の本場は岐阜県側かもしれないと思ったものであった。
(泉鏡花の小説には福井の地名が出てきますが・・・・)
                       

登り口まで
    
広野ダムへ
    
    国道365号線から広野ダムの方へ曲がってすぐの
    今庄町そば道場の駐車場にはまだ雪が残っていて驚いた。
    
ダムを渡って
    
    ダムを渡って進むと、道路には至る所に雪が残っていて
    写真のようにブルトーザーが空けた幅2m程の通路を通る事になった。

    
    この先50m程先で道は閉ざされていた。
    車が4台駐車していた。
    (午後1時19分)

    ここから10分位歩いた所が夜叉ヶ池キャンプ場です。
    

          夜叉ヶ池キャンプ場入口の看板
    

登山口案内           topへ      
登山口
がむしゃらに歩いて、ようやく登山口に到着。
(午後1時46分)
途中で出会った3人連れは、途中から戻ってきたと言ったが
登っていった人もいたよとの事で後をたどれば良いだろうと思ったのだが・・・

男女3人のパーティが鳥居の右手のカンバンを見ていた。
急いでいたので話しも聞かず横を通り過ぎたが
状況を聞いておけば良かったとすぐに後悔させられた。

尚、立派なトイレですが凍結防止で断水しているので
使用禁止となっていました。
大カツラの木
駐車場横の胴回り6.4m樹齢400年という大カツラの樹
その圧倒的な生命力が、
ちっぽけな人間に勇気を与えてくれるような気がします。
案内標識、鳥居

       
             福田一氏の銘の入った鳥居
             (戻ってきて撮った写真です)

夏道を夜叉ガ滝まで  topへ
登山道

橋を渡った所からすぐに1m以上の雪があり、
川岸のコンクリートの上だけ30〜40cm幅で雪が消えているので
川に落ちないように進み、すぐに登山道に入ります。
登山道に入ってすぐ足跡は消えていた。
夏道を外れて尾根を登っているのかも知れないが
自分には分からないので夏道沿いに進む。

登山道はほとんどが雪で埋まり、斜面と一体化していたり、
写真のように亀裂が入っていたりして、
一歩一歩登山靴を雪面に蹴り込んでステップを切りながら進んだ。
自分はアイゼンという立派な道具は持ち合わせていないのです。
谷底まで一直線

一昨年だったか、転落して亡くなられた人がいたが、
このあたりだろうか。
上の写真から谷底までは一直線にこのような高度感で道が続く。

単独行であり落ちたら終わりだと思い、
もう戻ろうかと弱気になりながらも
やはりもう少し行ってみようと慎重に進む。

夜叉ガ滝
やがて前方に夜叉ガ滝が見えた。
ちょうど滝壺に光が射してしぶきに虹がかかっていた。

右側から滝壺へ落ち込んでいる雪の左手が
かすかに黄色や青色に見えませんか?
(その気になれば見えます?)
最近、8倍ズーム!でクローズアップも1cm!
しかもレンズ部が回転して、
地上の花の撮影や
人の頭越しの撮影にも使えて軽量!
しかも安い!
(ネットで探せば5万円を切っている)
という夢のようなデジカメ
カシオのQV−2800(211万画素)を買ったが
操作が慣れていないので置いてきた。

持ってきたデジカメ(131万画素2.5倍ズーム)には
やや荷が重かったようである。(超残念)
滝壺
ほぼ滝壺の上から撮影。
雪を伝って滝壺まで降りようかとも思ったが
雪に亀裂が入って落っこちたら水の冷たさもあって
すぐにお陀仏になると思い自重した。
渡渉
         
夜叉ガ滝の少し上流の渡渉ポイント
橋は見えなかった。
水量は多く水は冷たいので
石を跳んで渡ろうと思ったが
石は水に濡れていて距離も2m以上あり
その先の石も2mほどあって自信が持てなかった。

スノーブリッジは亀裂が入っていて
底がどれほどの厚みがあるか分からず
もし崩れたら夜叉ガ滝の滝壺に落っこちるかも・・・と
渡るのはとても不安だったが、こわごわ渡ったら渡れた。

こんな所を妻に読まれたら登山禁止を言い渡されるかも?
(我が家は秋までまだCATVエリア外なので
  家ではインターネット接続をしていません)

登山断念  topへ

夜叉ヶ池まで2000mポイント
展上の写真にも見えている夜叉ヶ池まで2000mの標識。
(午後2時35分)
結局、この数十メートル先までしか進まなかった。
第2の渡渉ポイント
雪は4〜5mあり下に橋があったが
その向こうも深い雪で登山道が何処へ続いているのか分からなかった。
どうしようかと考えて、ちょっと休憩することにした。
大栃ノ木
川の向こうには大栃ノ木があった。
雪はこんな状態で登山道が何処にあるのか分からなかった。
休憩
顔を出していた岩の上に越を下ろして缶ビールを飲んだ。
もう日は尾根の向こうに沈んでいて急に寒さを感じた。
その時、ザザッという音がして向こう側で小規模な雪崩が発生した。

道が分からない、
時間が遅い(午後2時38分)
単独行、
雪崩、
戻る理由は充分過ぎると納得して引き返す事にした。
登山道
雪の消えている所であっても
倒木が行く手を遮っていたりして神経を使います。
この木の間をすり抜ける時にはどうしても身体が引っかかり
木がずり落ちてきたら谷底まで真っ逆さまだと思って怖かった。

登山口に戻る
ようやく登山口が見えてきてホッと安心。

    花は 人の目を誘ふ
    水は 人の心を引く
    君も夜叉ヶ池を
    見に来たと云ふ
          泉鏡花「夜叉ヶ池」より

広野ダム         topへ
ダム湖


    戻る途中、ダム湖を写真に撮るために停車した。
    吹く風は暖かくとても気持ちが良かった。
    地元の人だと言っていたが
    年輩のアベックがベンチに座っていた。
    ちょっと邪魔をしてしまったようだった。


この水が涸れてダム底が干上がったといって
ニュースになったのは何時だっただろうか?
 
長野県ではダムが論議を呼んでいるが
このダムは役に立っているのではないかと思う。

夜叉ヶ池の山開きは、6月3日(日)との事である。

10年前、ウルトラマラソンの練習の為、
1人で西山公園から走ってきたら、たまたま山開きの日で
このダム湖畔に地元のそば店が出ていておろしそばを食べた。
帰りは疲れもあって途中にあったお宮さんで昼寝をしたりして
厭になったが走るしかなく夕方やっと車に戻ったのを覚えている。

4月21日 リベンジ         topへ
登山口

        11時45分 下山時撮影

    7日と違って登山口まで直接車で行く事が出来た。
    2週間の間の変化は想像以上であった。
    7日は30分も歩いてやっとたどり着いたのに。
    冬の装いだった山の新芽から葉が伸び出している。
    駐車場のトイレの扉も開かれて
    使用可能となっていたので利用させて頂いた。
    そこに登山ノートがあったので開いてみた。
    今年の記録は何もなかった。
    ページをめくって記入した。
    今年の巻頭を飾るなんて・・・とちょっぴり感動した。
    出発しようと準備をしている所へ
    大阪から来られたという3人連れの車が到着し
    少し話をした。

    駐車場にあった雪はすっかりなくなり
    川岸のコンクリートの上に1メートル以上あった雪も小さくなっていた。

 
夜叉ガ滝
前回の写真と比べ雪が少なくなっている事がわかる。
ここまで、前回は雪面のトラバースの連続でステップを切りながらこわごわ進んだ為、1時間以上かかったのに、今回はトラバースはほんの短い距離が2ヶ所あっただけで、たったの15分で着いた。

ただし、この少し先の大トチノキの付近で雪の為登山道がわからず、本流沿いに登っていってしまった為、30分程ロスしてしまった。

この写真を撮った時、デジカメのバッテリーが残り少ない事が分かり
夜叉ヶ池に着くまで撮影をセーブする事にした。
 
雪に覆われた夜叉ガ池
10時40分、ついに夜叉ヶ池に到着。
リベンジ成功!
ここまでの登山道は道を見失った付近を除けば雪はほとんどなく、尾根道は快適であった。ただし、夜叉ヶ池まであと500メートル地点付近からは雪で登山道はほとんどわからない状態で、この写真のような雪面を進む必要があった。
 
夜叉ガ池の上を歩く
夜叉ヶ池は全面雪で覆われていて、県境方面(尾根)のみ水がわずかに浮いていたが、シャーベット状である。
こわごわステッキで確認しながら、池の雪の上に足を乗り入れたがびくともしなかった。結局、歩いて行けを横断し、尾根に上がった。見渡す岐阜県側は雪崩れた雪が谷を埋めていて、こちら側とは難しそうに感じた。
2年前の秋に来た時は岩場でカモシカを見つけたので、どこかにいないかしばらく辺りを見渡した。
ここまで道を間違ったりしながらヒーヒーハーハーで汗びっしょりで登ってきたので尾根の風は冷たく、長居は出来なかった。池のほうに半分ほど降りた木の根っこに腰掛けてお昼にした。長袖Tシャツ1枚では寒かったので1枚着込み、来る途中の南条町のコンビニで買ったビールを飲み、パンなどを食べた。
寒いので長居は無用とすぐに下山することにした。
途中で単独行の中年の女性と、駐車場で出会った大阪の一行に逢った。
 
ダム湖の景色
2週間前はあんなに暖かかったのに、今日の肌寒さは汗で濡れたシャツをそのまま着ている身体にはちょっとつらかった。
2週間前と比べ新緑が萌え遠くの峰の残雪が少なくなっている事がわかる。


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