横岳・赤岳初冬の八ヶ岳
(撮影:11月10日)


八ヶ岳
八ヶ岳の最高峰は赤岳で標高2,899mである。
県外まで山登りに行くなら3,000m級の山にと思っていた自分にとって
福井からの距離(=費用と往復の時間)も含めて
八ヶ岳を登山対象として考えたことはなかった。
しかし、この時期(11月初め)に登る対象として
アプローチの良さによるコースタイムの短さは魅力的であった。
どうやって行くの
最も一般的な八ヶ岳登山口は美濃戸だと思います。この場合は中央高速道の諏訪または諏訪南インターで高速を下ります。美濃戸口から非舗装道を走れば美濃戸山荘等の有料駐車場(1日500円〜1,000円)が利用できます。(この間を歩けば1時間以上かかると思われます。)

尚、今回は下記事情で八ヶ岳東側からアプローチしましたので、小淵沢インターを利用しました。
【服装】超ビンボー仕様
今回は初冬のしかも夜間・早朝の登山という事で、いつもの短パン半袖では無謀。上はいつものメッシュTシャツの上にウール100%の長袖シャツを着ました。但し、登山ショップで買ったものではないので、4,000円位のものです。
下はアクリル製の薄手タイツ(これも登山用品ではなく、量販店で買ったもの、980円)の上にズボン(これも登山用品でない)をはきました。
手袋はフリース製で手首の所でワンタッチで締められる構造のもの(680円)、帽子は耳当てが折り返せるタイプでアゴ紐がマジックテープでとめられるもの(980円)。何れも某ホームセンターで捜したもの。特に帽子は耳が暖かく最高でした。手袋は濡れた場合の対策が必要と感じました。
【装備品】
ツェルト、エマージェンシーシート、ゴアテックス雨具(上下)ブレスサーモ長袖アンダーシャツ、セーター、食料2食分、非常食2食分(カロリーメイト等)LEDヘッドランプ、携帯蛍光灯、ホッカイロ4個(使用せず)等
ルートの選択
縦走を考えなければ、どこからでも日帰りが十分可能です。天候不順な時期ですが、登山途中で御来光が見られる可能性を考え、一般的ではない八ヶ岳東側から登ることにしました。
この場合、清里からの真教寺ルート又は県境尾根ルートによる赤岳登頂と仙添尾根ルートによる横岳登頂等がありますが、頂上までのコースタイムが最も短い仙添尾根ルートを選びました。
国道141号線を走り清里・野辺山を通過して、海ノ口別荘地を目指します。別荘地内の分岐点には「別荘地につき許可無く・・・」とありますがここを登りつめた所が登山者用の駐車場となっています。
 
駐車場
T字路に付き合ったら、右に曲がると、すぐそこ(左手)が登山口で、さらに50m程進むと右側に登山者用の駐車場(8台分)があります。
夜、9時頃到着した時も、下山した時も他に車はありませんでしたが、別荘地の開発によって整備されたこの駐車場は標高が1,800mほどあり、標高差が最も少なくコースタイムも短いため、最近利用者が増えているそうです。
登山口
例によってアルコールを流し込んで眠りに就きました。静かな別荘地ですが1時間程で目が覚めてしまい、再び必死で眠りました。
初めての山であり、夜間の登山は不安なので薄明るくなった頃(5時頃)から登ろう目覚ましをセットしていましたが、再び目を覚ましたら2時半で、月が出ていました。
期待していなかった御来光も望めると考え、すぐに登り始める事にしました。コンビニで買った寿司を食べながら準備をして、午前3時に出発しました。
歩き出したら暗闇の中ひとりぼっちで急に恐怖感に襲われ、熊に襲われても戦えるようにピッケルを身構えながら恐る恐る歩きました。 
 
    下山時(10時10分頃)撮影
渡渉
登山口からしばらくは、100〜200m程歩く度に車道に出くわしますが、車道の向こう側に登山道が続いています。4〜5回車道を横切って進むと渡渉ポイントがあります。真っ暗闇の中なので渡渉ポイントだとわからず、(川の向こうに赤い布があるのを後で発見)ここで右に進んでスリット式ダムの中に入って登山道を捜しましたが見あたらず、グルグル歩き回ってやっと川の中に飛び石があってその先に道らしきものがあり、渡渉するのだとわかりました。
 
本当の登山口
渡渉ポイントから少し進むと最後の車道に出くわします。
大きな案内図があります。これを見ると一つ下の車道で左に迂回して登山道があったみたいです。
今回の登山は冬山なので極力汗をかかないよううにユックリユックリ登る事にしました。木立の中の真っ暗闇の登山道は、数カ所でルートが分かりづらい所がありましたが、慎重にルートを捜しながら歩きました。
 
仙添尾根
木立の中を歩いていたら、尾根からルートが外れ下り気味の巻き道になり、ルートを間違ったかと思いましたが、そのうちに森林限界を越え、シャクナゲの群落の中に石が積み重なった感じの登山道になりました。気が付いたら月は見えずガスっていました。
三又峰に5時45分頃到着。とりあえず、風を避けた場所に腰を降ろし缶チューハイを飲み、おにぎりを1つ食べ、地図を拡げました。ここで長袖シャツの上にセーターを着ました。
展望も期待出来ないので横岳に登って、赤岳は次の機会にしようと思い、右に進みました。(右の写真では左方面)
 
       三又峰 下に続くのが仙添尾根
横岳頂上
尾根にはルートを外して高山植物を痛めない為であろうかロープが張ってありました。
2つ目のピークが横岳とガイドブックに書いてあったが、なんなく横岳に到着。(6:10)
ガスの中、ひとりぼっちでわびしい限りでした。
そろそろ御来光の時間かなと東空を見ましたが、ガスの向こうがかすかに赤くなっているのみでした。ザックの胸ベルトに付けたプロトレックは<−2度>を示していました。

時間も早いので、やはり赤岳に向かう事に変更した。
 
地蔵尾根分岐
赤岳までのルートは想像していた以上に難所続きでした。登り下り、岩場、ハシゴ場、巻き道の連続で、岩やハシゴは霧氷に覆われているところもあり、それなりに注意が必要でした。
特に東側に岩場を巻く所の下りは足掛かりも小さい上にビッシリ霧氷が着いていたので、三点確保で慎重に下りました。
6時45分地蔵尾根分岐に到着。
 
霧氷に立ち向かうけなげな地蔵
地蔵尾根
寝る前に良く開いて見ている昭文社の「どこでもアウトドア 日本百名山に登る・下」の八ヶ岳の地図では、行者小屋から地蔵峠への登り(地蔵尾根)が「地獄尾根」とミスプリントされていましたが、下を覗くとほんとうに急な岩場の登りで地獄尾根のほうが的確な表現ではないかと思いました。  
      右端中央が行者小屋
天望荘
地蔵峠から少し進むと、赤岳を後ろに控えて展望荘が見えてきます。
展望荘への下りで初めて登山者とすれ違いました。昨日展望荘に泊まって、今朝頂上に登って硫黄岳を回って下りると言っていました。
 
天望荘談話室
天望荘は登山ルートをは挟むように建っています。手前の小屋の奥は談話室になっていました。ガスっていなければ本当に「天望」がほしいままと思われる部屋でした。小屋にはシャワー完備とか書いてありました。こんな山の上でぜいたくなものです。きっと山に余分なダメージを与えていると思います。  
頂上小屋
天望荘からの登りもまたけっこう険しいものでした。
登る途中で3人パーティが下りてくるのに出会いました。かれらも天望荘に泊まったと言っていました。最上部付近はステップのない急斜面を表面のデコボコだけを頼りに登る所があり、クサリが張ってあります。
登り切ったら頂上小屋ですが、頂上はもう少し先の南峰です。頂上小屋はもう営業を終わって閉められていました。
 
赤岳頂上
7時18分
頂上はガスと霧氷が支配する白の世界でした。
あまり風が強くないのだけが救いでした。
数枚写真を撮りましたが、長居は無用と戻りました。
 
天望荘
赤岳からの下りの途中からの天望荘。
後ろの山がはっきり写る瞬間をねらったがうまくガスが晴れなかったので残念。
 
行者小屋・赤岳鉱泉
地蔵尾根分岐に戻る途中から西側を見る。

左側森の中にあるのが行者小屋。
中央の小山の右肩に見えるのが赤岳鉱泉の建物である。
  
地蔵
7時52分、地蔵尾根分岐に戻ると、霧氷は一段と発達していました。

地蔵尾根からの登りで、下りてくる登山者に会いました。聞くと3時に赤岳鉱泉を出発して硫黄岳から回ってきたとの事で、自分も3時に仙添尾根から登ってきたと言いました。
 
吹き付ける霧氷に目を閉じているように見える地蔵 
霧氷
西側の巻き道を通る時は霧氷がとてもきれいでしたが、登山道にもありますので注意が必要です。
また、結構険しい所を通るのもわかると思います。


ということで、もときた道を戻って、駐車場に10時10分に到着。
 
山麓の見どころ
日本最高所の駅、野辺山駅。
高校2年生の時、原付バイクにテントと寝袋をくくりつけて中部地方を一周した時、小諸から山中湖に向かう途中立ち寄った懐かしい駅でしたが、当時どのような姿だったかは思い出せませんでした。
当時、八ヶ岳山麓の国道は舗装されていなくて、高原野菜を運ぶトラックの埃で体中埃だらけになったことを覚えています。30年以上前の話です。
さらに戻ると有名な清里があります。しゃれたペンションなどが目に入りましたが、素通りしました。
 

                      HOME

inserted by FC2 system