登山者の憧れ 日本一の山に登る

登頂日 04.06.14

大阪にある日本一の山 天保山

その存在を錆鉄人が知ったのはいつだっただろうか?
急ぎ働きで百名山を登っている錆鉄人にとって
いつかは絶対に登頂しなければならない山と認識していた。

しかし、そこははるかに遠く
近くにはしごをする百名山もないために
登頂が延び延びとなっていたのであった。


そして、
ついにその日がやって来た。
錆鉄人は胸を躍らせて
登山電車に乗り込んだのであった。


どうやって行くの
錆鉄人得意の夜行のドライブは、登山口付近に無料駐車場があるかどうかの確認が出来ず断念しました。登山口周辺には20分100円という有料駐車場がありました。登頂に何時間かかるか分かりませんので、駐車料金が天文学的になる可能性があります。
従ってこの山に登る場合は、登山電車に乗るのが良いと思われます。出来れば出張のついでに実行することをお勧めいたします。
福井からはJRで大阪まで行き、地下鉄御堂筋線に乗り換えて本町まで行き、ここで登山電車に乗り換えます。環状線に乗って弁天町で登山電車に乗るほうが良いかもしれません。
登山電車は、普通には地下鉄中央線とも言いますので、駅員に尋ねる場合は、決して「登山電車の乗り場は何処ですか」とは聞かないようにしましょう。
さて、登山電車は地下を潜って進みます、まるで谷川岳の登山口に向かっているような気分です。しかし、残念ながら、登山口の駅「大阪港」は地下ではありません。
登山口
登山口の駅には通路がたくさんありますが、出口は「2」を選択してください。
標識に従って、出口2から階段を下りて行きます。階段は急ではありませんが、これからの険しい登山に備えて、下りる前に足の屈伸など準備運動をしましょう。不審がられる場合があるかもしれませんが、捻挫や筋肉痛の予防の為に実施することをお勧めいたします。ちなみに、錆鉄人はいつも準備運動は行なわずにいきなり登山開始するので、ここでも行いませんでしたが・・・

ここが登山口に当たる「出口2」
登頂開始時刻がお昼になったためか
登山者の姿は少ない。
風力発電機
登山口から階段を下りると、プーンとディーゼルエンジンの廃棄ガスの臭いがしてきます。山小屋の発電機でしょうか。
階段の下から道路は前後左右に続いていますが、そのまま直進します。(方角は北です。)この付近には登山標識はありませんので、「海遊館」という標識に従って進んでください。
やがて、登山道の十字路があります。行く手には山小屋のものと思われる大きな風力発電が見えます。これは大きな目印ですので、これを目指して進んでも良いと思われます。風力発電機は、風が弱い為か、ほとんど回っているようには見えません。点検をしている人でしょうか、羽根の所に人影も見えました。その左手に小高い山が見えたので、そこが山頂だろうと思って目指す事にしました。
ただし、この地点からはガレ場を通過しなければなりません。大きな岩(自動車とも言う)が轟音を立てて転がってきますので、落石のタイミングを見て通行して下さい。青ランプが点いていても油断してはいけません。

正面には目指す「天保山」の標識

険しい登山道
ガレ場を通過すると、行く手に険しい階段が見えました。中年のおばさんがあえぎ喘ぎながら登っていました。
きっとあの上が頂上ではないかと、はやる心を抑えきれず、階段を1段飛ばしで駆け上がりました。


山頂は何処?
急ぎ働きで鍛えられた錆鉄人は、息も切らさずに頂上の広場に到着。広場はかなりの広さで、頂上の標柱は何処かと捜し歩きましたが、見当たりません。こんな時こそルートを見失わないように慎重な行動が必要です。しかしながら、手折って目印にするような木は生えていません。しっかりコンパスで方向を確認して通行して下さい。
錆鉄人は愛用のプロトレックで方位を確認しようと腕を伸ばしましたが、今日はマラソン用のRPS-100をしていたので、コンパスは使えません。しかし、影の方向から方位をつかんで歩いていました。
迷ったかと思っていると、向こうからレンジャーの(ような服装をした)女性が来たので尋ねました。すると、向こうの森のほうではないかとの答えでした。残根ながら、この山脈ではなかったようです。

山頂の尾根
向こうまで行ったが山頂はなかった.
それにしても大きな山小屋です
焦った錆鉄人は、今度は2段飛ばしに階段を駆け下りて、危うく転落しそうになりましたが、何とか踏みとどまりました。
行く手に(来る時もあったが)不思議な滝があったので写真を撮りました。4mほどの滝ですが、水しぶきをあげることもなく、垂直の壁面を不思議な模様を描きながらゆるゆると流れ落ちていました。
向こうに見える森がその目的地かと思って行きましたが、そこはそれほどの高地はなく、単なる中央分離帯のような所で頂上の標柱はありませんでした。
目を凝らすと、さらにその左向こうにも森が見えたので、ガレ場を戻って、そちらへ向かいました。

地図
暑い日差しに耐えながら登山道を進むと、頂上付近の案内図があり、遂に頂上の場所を確認!

拡大図

頂上への最後の登り
ここまで来れば頂上は近い。しかし、滑りやすい砂交じりの登山道の先には急な岩場があり、鎖はありません。転落やスリップ事故を起こさないように慎重な登山が必用です。人気の山ですから登山者は多いと思われます。下山する場合は登山者を優先して道を譲りましょう。

険しい岩場であるがクサリはない
登頂者たち
頂上に到達する直前、ボランティアに支えられた車椅子の一行が登頂し、歓声を上げていました。中には松葉杖をつきながら独力で登頂した登山者もいました。一行は登頂の喜びにこの場を立ち去りがたく、何度も記念撮影をしていましたので、なかなか自分の番が来ません。
やっと彼らが去ったので、写真を撮ろうとしたら別の一行が頂上に先行し占拠されてしまいました。さかんに喜び合って、登山証明書がなんだこうだと言っていましが、彼らは下山ルートを間違えたのか山小屋には寄らなかったようでした。自分がカメラを持って待っていたら、中の一人が気づいて頂上を空けてくれました。

撮影場所のほうが高い
山頂は高いので後方に海が見えます
感激の山頂

ここが2等三角点のある山頂広場
大勢に踏まれた三角点は周囲よりもめり込んでいるように見えた。


山頂の標識
立派な木の標柱はなかった
標高4.53m!
浮世絵の天保山
天保山は川浚えの土砂を積み上げて出来たものですが、天保山からは生駒・金剛・比叡の山々や、四国、淡路島など四方の眺望に恵まれた景勝地で、松や桜の木を植え、掛茶屋や見晴堂などが出来、庶民の憩いの場として大いに賑わったそうです。


歌川 貞升「浪花天保山風景」
山小屋 てらにし
下山はスリップして怪我をしないように、慎重に1段飛ばしで下りました。
途中にはガレ場もありましたが、時間帯も良く落石はなく、信号は赤でしたが突きって進みました。
さて、久しぶりの大遠征ですっかりお腹の空いた錆鉄人は、登山口付近で見つけた山小屋の看板を覚えていました。「カツ丼500円!」さらに隣のガイドブックを売っている小屋に気がついていれば、道に迷うこともなかったかもしれません。

カツ丼500円!に誘われて入ったのでしたが、中はかなりの混雑でした。錆鉄人は登頂の興奮未だ覚めず、ついカツ定を注文してしまいました。小屋の人が水を持って来て「カツとじですか?」とか良く聞き取れなかったのですが聞かれたので、何だか分かりませんでしたが「ハイ」と答えたら、写真の品が出てきました。
若干塩辛かったのですが、登山でたくさんの汗を流したのでちょうど良かったと思い、スープも一滴残らず飲み干し、水は4杯飲んで650円を払って出ました。登山ではいつもコンビニのオニギリやパンばかりでしたので、とても満足しました。
登頂証明書をもらいに
さて、山登りとしては豪華な食事もして、登山電車の乗り場はすぐ近くでしたが、せっかく登った日本一の山の登頂証明書を貰わなくては!と思いました。
ここで威力を発揮したのがデジカメです。頂上で写した標柱に登山証明書を発行してくれるという山小屋の地図があった事を思い出し、再生モードにして拡大しました。
とうやら登山電車の乗り場からは山頂とは反対側の山の陰(ビルの後ろ)にあることがわかり、ガレ場を2回通過して山陰を回りこむと・・・
見えてきました、その名も「山小屋」

メインルートから外れた登山道に
ひっそりとたたずむ山小屋
辺りに登山者の姿はなかった。
小屋の前にあるのは高山植物か?
山小屋
山小屋の入口に立つと「天保山山小屋」の看板がありました。入口には何故か珈琲と書いたノレンがかかっています。小屋の人が書いたような温かみのある文字でした。

「しまった、ここで何か食べることにすれば良かったのに・・・」と思いながら中に入りましたが、広い小屋の中には登山者が2人休憩しているだけで、ますます申し訳なく思いました。
標柱の所の地図には発行は午後1時〜3時と書いてあって、まだ1時前だったし、なにも注文していないので決まりが悪かったのですが、カウンターの前まで言って、「あの〜、登山証明書発行してもらえますか?」と聞いた所、きれいな奥さんがニコニコ笑って返事してくれました。そして小屋の親爺さんがカウンターから出てきて、登山者名簿の所に連れて行って記入するように言われました。

登頂証明書
   

壁には登頂を果たした著名人の写真が紹介されていました。あの三浦雄一郎も勿論、ライホルト・メスナーさえも未だ登頂していない山頂に立った感激を改めて噛みしめたのでありました。
横には初日の出登山や花見登山などの案内があり、昨日のうちに出発していれば、ご来光が見られたのかもしれないと思いました。
左の写真のテーブルに登山者名簿が置いてあります。上に書いてあるのを真似て13日と書いてしまってから、今日は14日だったと思い訂正しました。つまり本日の「公式初登頂」の栄冠を手にしたのでありました。
書き終えて、規定の発行手数料10円をテーブルの上の勧進箱に入れたら、親爺さんが「今年になって2443人目の登頂者です。」と言って証明書を手渡してくれました。

「すみません、ホームページを作っているので、写真を撮ってもいいですか?」と言って許可を貰って撮影したのがこれらの写真であります。

【天保山登頂を目指す皆様へのお願い】
食事や水分の補給はこの山小屋まで我慢して、ぜひここで補給して下さい。決して高くはなく、ビール1本が600円という事はありません。(アルコールは売っていなかったっけ?)
味も仲の良さそうなお二人の様子から保障できます。冷風のそよぐ展望テラスでの登頂後の食事はまた格別と思われます。
日本一の山、大阪アルプス最高峰
標高の低い山ベスト4が、上の白く写っている案内標識に書かれていましたので紹介します。
1.天保山4.53m(大阪市)
2.日和山6.05m(仙台市)
3.弁天山6.08m(徳島市)
4.蘇鉄山6.8m(堺市)
弁天山は自然の山で日本一
蘇鉄山は一等三角点の山で日本一
さらにその横には、大阪アルプスのベスト5と最高峰「昭和山33m」が紹介されていました。
これを見た登山愛好家達は、目の色を変えてこれらの山頂を目指すでありましょう。しかし錆鉄人は、この高地の薄い空気(何か異様な臭いがするようにも感じました)に呼吸困難を感じましたので、当面は大阪アルプス最高峰に挑戦する事は困難で、高度順化を繰り返す必要を強く感じました。従って当面挑戦することは出来ないと思います。

尚、これらの山は国土地理院の地図に三角点のある山として記載されているものだそうです。一時、天保山が削除されたことがあり、この山小屋の親爺さんを始め大勢の登山愛好家が嘆願して復活した経緯は、「天保山」で検索すれば容易に見ることが出来ますので割愛致します。

おまけ
東京の山手線内で最も高い山は、新宿区の戸山公園にある箱根山(44.6m)だそうです。
おまけその2
地上で最も低い場所(穴との違いは深さより直径が大きい事でしょうか?)は、八戸鉱山で石灰岩の直掘りをしている所で、海抜はマイナス約135m、採掘跡の景観は八戸キャニオンと呼ばれている観光名所だそうです。

登山電車の窓から山頂付近が見えました。
中央奥の方に緑の木立がある辺りです。
すぐに見えなくなってしまいました。


錆鉄人が感じたままを書きましたので
すこしだけ誇張や間違いがありますが
あえて訂正は致しません。
このページを参考にする場合は
必ず自己責任で登頂願います。

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