ケーブルカーに勝利! 阿蘇高岳

(撮影 平成15年12月28日)

阿蘇高岳1,592m

阿蘇山は高校の修学旅行で噴火口を覗いた記憶がある。
その後、92年の12月30日に家族で九州旅行に出かけた時、
(午前3時半に自宅を出発し、関門橋辺りの丁度お昼だった。)
ラジオのニュースで
この日の午後から阿蘇山の噴火口が解禁になると告げた。
帰省ラッシュの渋滞を予想していたのに
予定より早く九州に到着したこともあって、
娘達に大自然の驚異を見せてやろうと
車で噴火口まで上がって噴火口を眺める事にした。
寒さに震えながらゴウゴウと轟く噴煙を見て
子供達は何を感じたのだろうか。

という事で阿蘇は登っていると思っていたが、
本を見ると噴火口の反対側の高岳が百名山の対象であった。
従ってこれも登らなくては、という事であった。

抱腹絶倒!2泊4日九州百名山の旅

どうやって行くの?
祖母山からどう行けば良いかは事前に考えておいた。ちょっと遠回りではあるが国道などしっかりした道路を利用するルートと、200番台の県道を使って最短距離で行くルートであった。高千穂から五ヶ所までの道路も、地図上では頼りなさそうな細い道路であったが、走ってみたら広くて立派な道路だった。それに味をしめて最短距離ルートを選択したのが失敗だった。
急がば回れで、標識がしっかりしている(と思われる)国道等の幹線道路を利用することをお勧めします。
五ヶ所から先、道路は狭い。交差点に出ると全部狭い道路で標識もなく、どちらへ行けば良いかまったく分からない。何度か戻ったりしながら集落の名前を頼りに現在地を推定していたが、不安は高まる。集落名からは後1kmも進めば大戸ノ口への分岐があると思っていたが、配達をしていたトラックがいたので聞くと、少し戻って曲がったほうが分かり易くて良いと言われた。
言われたように戻ると、道路は広いが果てしなく遠い。しかも現在地が分からないので標識があってもどちらへ行けばよいのか分からない。1mでも無駄が嫌いな自分としてはイライラがつのった。
けれどもどうにか大戸ノ口に到着、ここからは国道経由で登山口の仙酔峡までは迷うことはなかった。
結局、北谷登山口からほぼ1時間半もかかってロープウェー乗り場の駐車場に到着したことになる。
仙酔峡
仙酔峡はロープウェーの乗り場になっている。広い駐車場(10台位しか駐車していなかった)はうれしいことに無料であった。迷子になって大回りをしてロスをしたイライラも解消した。(単純)
駐車場に到着したのは3時少し前で、ロープウェーの発車は3時20分だった。切符売り場で「今から登山なら片道だけですね。」と言われて大人2枚1,500円を支払う。ザック代は不要だった。これも九州はおおらかだと思った。
待合室に入ると面白いおじさんがいて話がはずんだ。富士山に下駄を履いて登ったことがあるとかで豪快な人だった。自分達が福井から来て、昨日から山に登っていて今から高岳に登り、明日久住に登って帰る予定だと話した。奥さんは昔山登りをしていたとの事で山の話に興味深げだった。奥さんに「錆鉄人」で検索してHPを見てくださいと話したら、旦那は「そうだろ、そんな登り方が出来るなんて鉄人しかないと思っていた。」というので、「鉄人ではなく錆鉄の人です。」と答えた。
ロープウェーはゆっくりと登り、歩く速さと変わらないように感じたが、約10分で上に着いた。途中、歩いて降りている3人のパーティが見えたが、やけに慎重な下りで、凍結していて下りにくいのだろうかと思った。
仙酔峡はミヤマキリシマの名所です。5月中旬には5万本のミヤマキリシマが咲き誇り、ツツジ祭りが行われています。
 
http://spacegarden.hp.infoseek.co.jp/pict/sensui.htmlより(ほとんど紫の花の色だったので色相を調整しました)正面がロープウェー乗り場です。

噴火口
上の駅でトイレに行った。その間に先ほどまで話をしていた夫婦は先に進んでいた。外に出るとさすがに涼しい。3時40分頃であった。
噴火口の展望台までの道路はコンクリートで舗装されていて、所々に頑丈なコンクリート製のシェルターが設置されている。突然噴火が激しくなった場合に避難する場所だ。
噴煙がこちら側に流れてきていたので、息がしにくく歩いている人はみんな咳き込んでいた。ぐんぐん追い越して進み、展望台で記念撮影。案外ここのほうが硫黄臭くはなかった。単なる風の具合とは思うが。

15:45
前回家族で訪れた時と比べれば
轟音もなくおとなしい噴煙であった。
中岳を望む
展望台の辺りからの中岳と高岳。高岳は結構遠くに感じ3〜40分で着くのだろうかと思った。左の端がピークだろうと思っていたが、行ってみる手前のピークに高岳の標識があった。(写真でははっきりしないのですが)
Webで見た登山記によると、ここから中岳までは噴火口のヘリの「馬の背」のような所をかなり歩いてから取り付くので、風が強かったら心配だと思っていたが、風は弱く第一そんなに狭い所もなかったので問題はなかった。
ここからの中岳の登りは結構急そうに見えたけれど、登ってみると手を着く必要もなかった。


中岳頂上
そんなわけで、中岳頂上にはあっという間に到着。

中岳頂上(16:01)
噴煙が上に揚がっているので風が弱いことが分かる。ここから高岳へは少しゆるやかに下ってから登りとなりますが、中岳の登りと比べるとゆるやかです。

中岳から2〜3分下った鞍部からの高岳

ここでもまだ一番奥が頂上だと思っていた。
平坦なので高岳の下までもあっという間。
高岳
高岳への登りはマークもしっかり着いているが、ゆるやかなのでどこでも登れるような感じだった。相変わらず妻は足元しか見ていないので、時々ルートを外れてしまう。
もう何十回も言っているのであるが、「足を着く瞬間に遠くを見てどの方向がルートか見ておくんだよ。」とか「5歩か10歩に1回は顔を上げてルートを見るんだよ。」と、妻のご機嫌を損ねないように「やさしく」言う夫であった。
少し登ったら、そこに高岳の標識があった。そんなわけで、あっけなく高岳の頂上に到着したのであった。
頂上からは、先ほど登った祖母山や明日登る久住や由布岳が良く見えた。

晴れ渡った高岳頂上(16:14)
西日を浴びながら360度を眺める
噴火口の向こう側のスピーカーの声が聞こえた。
戻り
頂上では眺望を楽しんだが、長居は無用。数分いただけで「最終のロープウェーは何時かな。」と言いながら戻り始めた。中岳への鞍部では妻は小走りに走った。(祖母山で懲りたので、何も急がせていなかったのに・・・)
稜線には暮色がせまり、辺りには人っ子一人いない。自分もロープウェーに乗れないと阿蘇山に取り残されるような不安を感じた。まあ、歩いて下りても30分位だろうとは思ったが。
展望台に戻ると、なんとまだ観光客がいた。「最終は何時ですか?」と聞いたら「5時10分」と答えた。
「足の速い人が先程向こうの山にいたけど」と言うので「僕らしかいませんでしたが・・・」と言うと、「あっ、あんた達だったのか。」といわれた。あまりに早く来ていたので、違う登山者だと思ったようだった。
「なーんだ、急がなくても楽勝だった。」と思いながら、観光客とは先にロープウェー駅へと向かった。
 
         九重連山を望む

途中でロープウェーの係員がスクーターに乗って登ってきた。聞くと最終は「50分」で呼びに来たらしい。ゴジジュップンとゴジュップンを聞き違えたのはあの人達か自分達のどちらだろうか?
「上にまだ何人かいますよ。」と教える。自分達にも「切符は持っていますか。」と聞くので「持っていません。」と答えた。
ロープウェーとの競争
ロープウェーの駅の手前100m程の所に、歩いて駐車場まで戻る登山道の分岐があり、標識には駐車場まで1,490mと書いてあった。時間は4時44分だった。
「急げば15分位で着くんじゃないかな。ロープウェーは10分とすれば先に駐車場に着くかもしれないよ。」と言うと、妻も「1,500円儲かるし歩こうか。」と言うので歩いて下りることに決定した。
下山道は幅1.5m程の荒いアスファルト舗装でグリップはしっかりしている。登る時見た下山者がやけに遅かったので、その付近は凍結しているのかと思っていたが、そんな所もなく快適に高度を下げる。途中には階段になった所も多い。
ガタンと音がしたので、ロープウェーが動き出したんだろうと思ったが、なかなか現れなかった。
何度か振り返っていると視界に見えて来たので、妻に教えると小走りに走り出した。

下山道の分岐から(16:44)
辺りはすっかり陰っている
勝利の喜び
妻は結構なスピードで下りて行くが、ロープウェーは少しずつ近づいて来た。駐車場が目の前になった時、このままでは負けるかもしれないと思い、自分だけでも勝とうと妻の先に出て走った。駐車場のすぐ手前は急な下り階段になっていて、一番の底は何故か50cm程通路が途切れていて、その先は5m程の登りの階段があった。そこを飛び越えて階段を駆け上がり駐車場に到着。車はもう一つ下の駅横の駐車場だったが、もう歩いても勝てると分かったので歩いて戻った。
車に戻るとすぐに「階段の所でこけたのを見られちゃったかな。」と言いながら妻が戻ってきた。
そこでロープウェーが入ってきたので、証拠写真を撮影。14:59だった。妻はロープウェーに勝った事に大喜びで、うれしそうに笑いながら写真に納った。
靴を履き替え着替えをしていると、ロープウェーから降りてきた人達が横を通って、「あなた達はすごいね。Vサインをしているのも見えたよ。」と言った。
1,500円儲かったこともあって、妻はこの後も終始ご機嫌だった。とても愉快な思い出になった。

16:59
こんなうれしそうな顔は見た事がない
(天真爛漫な妻であった)

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