尾瀬を駆け抜けて 燧ケ岳

撮影 04年6月5日

燧ケ岳(2,484m)

燧ケ岳は尾瀬のほぼ中央に座っている。
最短コースは御池コースで 登り:4時間、下り:3時間であるが、
高速を下りてから登山口までが遠く、
近くに平ヶ岳もあるが、1日で2つこなすのはちょっと大変そうである。

Webで尾瀬の入山規を調べたら
6月5日、6日は尾瀬の最混雑日らしい。
という事はミズバショウの最盛期という事である。
これは尾瀬ヶ原を歩かずにはいられない。
妻に今度は尾瀬の燧ケ岳だと言ったら
さかんに「はるかなおぜ〜とおいそら」と歌っている。

今回は妻孝行という事にして
1日目は鳩待峠から入っ見晴らしで幕営
2日目はテントを置いて燧ケ岳に登り
戻ってテントを回収、尾瀬沼を回って大清水に下る計画を考え妻に告げた。
また戻るのはちょっと無駄だけど・・・
一番混む日なので木道も渋滞するやろうけど・・・
駐車場は1日1,000円やで2,000円・・・
等と説明していたら、泊まるのはやめようと言う。
車のほうが寝心地が良いし天場の使用料は不要、駐車料も1,000円で済む
経済観念の発達した妻らしい決断であった。
どれ位歩く必用があるという事などは全く知らずに決定であった。




どうやって行くの
関越道の沼田インターで下りて、国道120号線を東へ進みます。「尾瀬・日光」と標識も出ています。沼田から約30kmほど進むと、標識が出ているので左折して立派な橋を渡り、戸倉に向かいます。戸倉にはコンビニはありませんから、それまでに必用なものは買い揃えておく必用があります。最終のコンビニは片品村の役場の付近にあるセブンイレブンで、酒類も売っています。
ただし、自分は最終のコンビニで食料が売り切れていたら悲惨なので、もっと手前、沼田インターを下りてしばらくの所で買ってしまいました。
【駐車場】
戸倉の集落内を進むと三叉路があり、左折して2〜300m進むと左手に並木駐車場があります。150台と言われていますが。午前2時過ぎに到着した時すでに8割以上が埋まっていました。
大清水からバスで戻った時のことを考えると、バス降り場から近いこの並木駐車場に駐車しないと面倒であり、駐車出来てひとまず安心でした。
駐車場内の入口付近にはトイレがあり、その前を道路のほうへ上がった所がバス乗り場でした。ハイエースの10人乗りが並んで止まっていました。
鳩待峠へ
Webで調べたバスの時刻は3時40分でした。もう1時間程度だったので、寝たら始発に起きられるかどうか分からないので、寝ない事にしました。少しウトウトしましたが、気が付くと3時20分頃でしたが、登山者が動き始めていました。あわてて妻を起こして登山靴を履いてバス乗り場に行きました。時間がない事を想定して登山の服装で寝ていたので準備も簡単です。朝食はバスの中で食べることにしていました。
一人900円の切符を買って、ハイエースの10人乗りに乗り込みました。全員乗り込んだ所で出発しましたが、少し進んだ所でストップ。ゲートが4時からしか開かないとの説明でした。ゲートを2番目に入って曲がりくねった道路をハイエースは飛ばします。約10分程で鳩待峠に到着。まずはトイレに行きました。

鳩待峠の休憩所。
バスで来た人たちはほとんどが休憩所に入って朝食を注文していました。
いざ尾瀬ヶ原へ 4:18 
鳩待峠というように、峠なので当然ここからは下りです。写真の入口から少し階段がありますが、すぐに木道になります。木道は2列になっていて、こんな時間に登ってくる人はいませんから、先行者がいても反対側からスイスイ追い抜いて先に進めました。
早朝の清冽な空気を吸い、小鳥のさえずりを聞きながら林の中の木道を進みます。

山の鼻 4:51

山の鼻の天場
同じ時間ですが順光なのでこちらは明るい
向こう側が鳩待峠

山の鼻でほぼ林は終わりです。
モルゲンロートに染まる至仏 4:56
少し歩くと次の小屋があるとは思いましたが、早朝の寒さもあって、山の鼻のトイレにも入りました。
少し歩いて振り返ると、至仏がモルゲンロートに染まっていました。本当は至仏の登ってから燧ケ岳に登りたかったのですが、高山植物の保護のために至仏は6月末まで登山禁止になっているのです。

至仏が朝日に染まりました
木道が白っぽいのは霜の為です
燧ケ岳からの御来光 5:00
反対側を見ると、今まさに燧ケ岳からの御来光が始まる所でした。何人かの大型カメラを持った人が三脚でその瞬間を狙っていました。

御来光と共に尾瀬ヶ原に朝もやが湧き立つ
木道を歩く人がシルエットになる
ミズバショウと至仏
朝もやの尾瀬ヶ原
しじまの中に澄んだ小鳥のさえずりが聞こえ
最盛期の尾瀬なのにほとんど人がいない瞬間
原の中を豊富に水が流れ
ミズバショウは清楚に佇み
見守るように至仏が遠くに横たわっていた。

澄みきった世界 5:50
今日、明日と
大勢の人が訪れるに違いないが
こんな瞬間を味わえたのは我々だけかもしれない。
明日のこの場所、この時間に来ても
そこはもう喧騒の場でしかないかもしれない。

風は止まり
時間も止まる
やわらかな光に包まれて木道の端に立つ
水は豊富に流れているのに
水面は鏡のように姿を映し出す


突然、錆鉄人は詩人になり、
妻はスーパーモデルに変身した


誰にも邪魔されず尾瀬を満喫した
急ぎ働きの錆鉄人には珍しく
たっぷりと道草しながら
ここ、そこを訪れて写真を撮った

言葉はいらない
今二人でここにいることに満足
龍宮 6:10
錆鉄人は地図は持っていってもザックから出すことはまずない。従ってここまでのコースタイムは知らないが、決して速くはないであろう。でもそれは道草のせいで、移動の速さはいつも通りであった。
そして、龍宮に到着。

見晴らし 6:30
尾瀬はまだ枯れ草から芽が出たばかりの世界であったが、そこかしこに花も咲いていた。それらをデジカメで撮りながら歩いた。木道添いには尾瀬の自然を解説する案内板が数百メートル置きに立っていて、それもメモがわりに撮影した。
やがて、あんなに遠かった燧ケ岳が近づき、目の前に小屋が立ち並ぶ地点に到着。尾瀬の銀座に当たる見晴らし地区に到着。

見晴らし その2

振り返ると至仏はあんなに遠い
カメラをかついだ中年が木道を歩いていった

見晴らしの天場
テントは数張りあっただけであった
右に少し写っているのは公共トイレ
燧ケ岳の登り
見晴らしではトイレに行ったり水場で水を飲んだりしたので約20分経って6:50出発した。前方を若い女性の2人連れがおしゃべりしながらもかなり速いペースで歩いていた。燧ケ岳と尾瀬沼の分岐の少し手前で道を譲ってくれたが、彼女達は尾瀬沼に向かったようだった。

やがて木道はなくなり、涸れ沢を歩いていく。そして残雪が現れ、ついには延々と急な雪渓の登りが続いた。雪渓に残る今日の登山者の足跡は2つほどしかなかった。尾瀬ヶ原の木道に霜が降りていた位だから雪は締まっていて、妻は急な斜面の登りに苦労していたが、声を掛けてもアイゼンをはこうと言わない。しかし見かねて妻を止めてアイゼンを着けた。途中で追い越した人も同じようにアイゼンを着けた。途端に妻の動きは良くなったが、そこから百メートル足らずで雪渓は終わった。

雪渓の登り
尾瀬ヶ原を一望する 9:06
ここが何処で何のために立ち止まって写真を撮ったのかは忘れた。
尾瀬ヶ原はまだ枯れ草色
目を凝らすと木道が見えた

至仏の左側に鳩待峠があって
あそこからここまで歩いてきたんだよ

今日の行程の半分は過ぎただろうか

いつもまにか至仏は小さくなっていた
柴安嵒 9:30
頂上が近づいた頃、一人の青年が追いついてきたので道を譲った。
そして、燧ケ岳で最高点の柴安嵒に到着。先ほどの青年がいるだけだった。一旦かなり下りて登ったピークにはたくさんの人が見えた。あれが俎ー(まないたぐら)だろうと思った。

頂上からの富士山
どんな山に登っても、景色が良いとうれしいものだが、富士山が見えると得をした気分になるのは自分だけだろうか。
しかし、遠くに霞む富士山をコンパクトデジカメでスナップ写真に写しこむのは困難で、いつも心眼で写真を見つめるはめになる。

拡大写真

爼ーへ 

柴安嵒では15分ほど景色を楽しんで爼ーに向かった。柴安嵒からは一旦急な雪渓を下る必用があったが、柴安嵒に登っていたときと違って雪は柔らかくなっていたし、完全にステップが出来ていたので別段もんだいはなかった。距離にして30m程であろうか。
爼ーのほうから登山者がやってくるが、この雪渓の所ではすれ違いは不可能であった。


鞍部から柴安嵒を振り返る
爼ー 10:05
爼ーには20人位の登山者がいただろうか。
写真を撮ろうとしたら、その付近に座っていた人が動いてくれた。

尾瀬沼
爼ーからの尾瀬沼は絶景である。
妻を立たせて写真を撮るとき、「絶好の撮影ポイントだよ、モデル撮影会みたいなものだ。」と言ったら周りの人がつられて笑った。妻もうれしそうにポーズを取った。

スーパーモデルに変身して微笑む
左の台形の山が男体山
中央の高い山が日光白根山
爼ーからの下り
爼ーからの下りは最初はかなり険しいいわばです。(右の写真)
その後は樹林帯を下りますが、所々雪渓が残り、登山道は水路と化していて、ぬかるむ所も度々でした。そんな下山道なので結構長く感じました。

沼山峠へ向かう人・人・ 12:45
尾瀬沼を一周する木道に出る直前は、かなり大きな木の茂った森の中なのでここにも雪渓が残っていた。木道に出るととたんに大勢のハイカーに出会った。家族連れも多い。幼稚園ほどの子供もいる。

沼山峠につながる原に出たら、沼山峠へ戻る人の列が見えた。ここから長蔵小屋までの木道は軽い渋滞で、追い越そうと思うと、反対側から来る人との間合いを考えて走って追い越す必用があった。

山際を大勢の人が歩いているのが見えるだろうか
長蔵小屋
なつかしい長蔵小屋に到着。
我が家の家族旅行でここで幕営したのはちょうど10年前になる。そのとき子供が買った記念品が我が家にまだ残っている。

最初にあるのは売店で、妻は中に入って物色した。かなり長い間粘っていたので、尾瀬沼のほとりに行って写真を撮っていた。戻ってからしばらくしたら、欲しいものがないと言って出てきた。
ここで水を補充した。

10年前、ここで4人揃って写真を撮った
尾瀬沼と燧ケ岳
長蔵小屋を出た所に一面にミズバショウが咲いていた。

ミズバショウと尾瀬沼と燧ケ岳
欲張った写真だ。

尾瀬沼と燧ケ岳
三平下
三平下には大勢のハイカーが腰を下ろしていた。ここでも写真を撮っていたが、20人程の中年のおばさん軍団が出発しそうになったので、慌てて走って木道に飛び乗り先に進んだ。
ここから三平峠までの登りはそれほどない。峠を過ぎても木道は続き、結構急な所も木道は続いていた。10年前は峠から木道だったかなと妻に聞いたが、覚えていないとの返事だった。

林道に出る

やがて林道に出た。林道は結構長い。
途中、ハイカーが覗き込んでいるので見たら滝だった。


さらに林道を歩いていると立派な木が多い。
その中でも特に大きく枝が多く木を撮影
かってに森のおやじと命名した。

鳩待峠と同じ10人乗りのバスかと思い
一生懸命に先行者を抜きまくった。
妻はこの林道歩きが嫌で
もう尾瀬には来ないと言っていた。
大清水
市ノ瀬休憩所にも大勢のハイカーが休憩していたが寄らずに林道を下り、ちょうど午後3時大清水に到着した。運良くバスは3時08分と待たなくて良い。
バス代は鳩待峠とは安く、一人590円だった。
バスを待つ間に花豆ジェラート(ソフトクリーム)400円を買って2人で交互に食べた。とてもおいしかった。
バスは鳩待峠連絡所という所で止まった。鳩待と大清水への道路が分岐する交差点の所だ。バスかなにかがあるのか下りたほとんどの人はその場にいたが、2人が駐車場のほうに歩き出したので、自分達も歩いて戻った。ここからは3〜400m程度で並木駐車場であった。

この後、まずガソリンを補給して花咲の湯に入り、夕食を食べて、コンビニで翌日の食料を買い、男体山の志津登山口に向かった。

【6月6日の登山】
男体山
奥白根山


今日の歩きが終わってご機嫌な妻
妻は後は寝ているだけの結構なご身分である
(夫は1時間余りの睡眠ですが、
まだまだ重労働が続くのでした)

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