何のために登るのか?痛む足を我慢して 仙丈岳

04.07.31

仙丈岳(3,033m)

北岳から見た仙丈岳の優美な姿は誰もが憧れる。
花の百名山としても名高く
北沢峠からコースタイム4時間程度で登れる事もあり
海の日の3連休には500台のマイカーで駐車場が一杯になった
と長谷村のマイクロバスの運転手が言っていた。
バスに乗った登山者は1日で1,500人だったとか。


30日から1日まで長衛小屋で幕営する計画のワンゲル部の下の娘と
山でランデブーしようという3年連続3回目の山行計画でありました。
1回目は一昨年、
鳥倉林道から荒川小屋まで1日で行き幕営、
翌日は悪沢岳に登って家まで戻るヘトヘト山行。
2回目は昨年
折立から太郎平小屋・黒部五郎岳経由で三俣蓮華小屋で幕営
翌日は鷲羽・水晶・雲ノ平と回って太郎平小屋から折立に下りて家に帰る
という超ハードな山行でありましたが、
今回はバスに乗って北沢峠まで行けば10分で娘に逢え、
甲斐駒・仙丈もすぐそこという楽チン山行プランでありましたが、
神はまたしても錆鉄人に
試練を与えたもうたのでありました。


それは1週間前の
強烈な捻挫でした。
猛烈な腫れと内出血は4日目にはかなり回復し
平坦な所を歩く限り痛みもかなり和らいで
錆鉄人流
「超回復」は着々と進行しているとはいえ、
登山道は平坦ではない。
若干の恐れと大いなる楽観(我慢すれば何とかなるさ)で
娘との5月以来の再会を果たすために出発を決めたのでした。


どうやって行くの?
中央道伊那ICで下りて、高遠・長谷村の標識に従って西に向かいます。長谷村に入ると国道152号線を南下し、仙流荘を目指して進みます。
インターネットで調べると、バス乗り場として戸台口が書いてありますが、これは国鉄バスとの連絡するバス乗り場であり、マイカーで長谷村まで行きバスで北沢峠まで行こうとする場合は、この仙流荘のすぐ上手にある長谷村村営バス乗り場の奥にある広い駐車場に駐車します。最盛期には午前5時ごろから登山者の集合状況に合わせて出発する臨時バスに乗ることが出来ます。
これは案外、北沢峠行きの情報として出ていない重要なポイントであります。実は自分も戸台口に車を止めるのだと1週間前までは思っていました。
「もうじきおかあさんの大事な大事なユミちゃんにあえるね」「もうじきおとうさんの大事な大事なユミちゃんにあえるね」と言いあいながら、楽しく登山の準備をしました。

30日(金)は有休を取り、自宅を29日午後7時50分頃に出ました。最近、体力の低下であしようか、途中で眠くなるので駒ケ岳SAで1時間程眠りました。眠らずに行けたかもしれませんが、ETCの場合は午前0時〜4時までは高速料金割引サービスがあるので、少し眠って午前0時以降に高速を出たほうが得という計算もありました。武生IC−伊那IC通常6,500円が700円安くなるのであす。常にコストパフォーマンスを考えるのは、金無し暇無し時間無しの錆鉄人の悲しい性であります。
長谷村村営バス乗り場
この奥に広大な駐車場があります。しかも無料です。上記のように500台も駐車出来るという事ですが、3連休や紅葉の時期にはなるべく早く到着することをお勧めします。


出発前のバス乗り場
北沢峠はガスの中
悪い予感がした。
車は電柱のすぐ向こう(とても近い所)
天女ぶり発揮
さて、駐車場に到着したのは午前1時を回った頃であった。いつも寝ている妻ではあるが何故か車を駐車して後ろに行くと必ず目を覚ましていて「ご苦労様」と言って寝る場所を空けてくれる。いつものようにビールを流し込んで寝た。
入ってくる車の音で目が覚めて、又寝る、を繰り返していると、薄明るくなってきて、妻がトイレに行った。Webで見た情報によると5時には臨時バスが出る場合があるという事なので、トイレから戻ってきた妻に「臨時バスが出るかもしれないのでバスの時刻表を見てきて」と言った。(自分は足を捻挫していたので妻に頼んだのであった。)
車を停めた所からバス乗り場は50mほどしか離れていなくて、トイレはバス乗り場の後にあったのであるが、妻がなかなか戻ってこない。
やがて、戻ってきて「7時55分発」と告げた。いくらなんでもそんなに遅いはずはないだろうと思って、しかたがないのでトイレを兼ねて自分で調べに行った。バス乗り場の戸は閉まっているが中からは灯りがもれていて、ベンチには数人の登山者がすでに座っていた。しかし、ここには出発時間の表示はなかった。
辺りを見回すと、ずぅーっと向こうの仙流荘の前にバス停の標識が立っていたので、足を引きずりながら行ってみると、確かに7時55分と出ていた。しかし・・・それは「新宿行き」と書いてある!
危うく新宿に着いてテントを張るハメになる所であった?久しぶりの天女ぶりであった。
登山バス
バス乗り場に10人近く並ぶ人が出てきた所で自分達もバス乗り場に並んだ。車を近い所に停められたので、こういう所は楽だった。
しばらくするとバス乗り場の入口が開いて切符の発売が始まった。
料金は15リットル程度のデイパックを超える荷物がある場合、手荷物料200円が必要であり、乗車券1,100円と合わせて片道1,300円である。北沢峠では帰りの切符が求められないので往復買うように言われたが、31日帰る時には臨時の券売所が立っていた。2人で往復5,200円は結構高いが、とても歩いて行く気にはなれない。(往復買っても割引はありません)
始発のバスは6時に出発した。
バス乗り場を出発して5分か10分程するとゲートがあった。ここからは本格的な林道である。よくこんな急な斜面に道路を作ったなと思われる所に道路が走っていた。運転手はビューポイントでは速度を緩めて説明をしてくれる。途中でパトロール隊を追い越した。
だいぶ登った所で、道路に土石流があって通れない場所があった。みんなカメラを取り出して写真を撮ったが、自分の席からは見えない場所だった。早速無線でパトロール隊を呼ぶと、運転手はスコップを取り出して土石流を片付けにかかった。数分でパトロール隊も応援に来て、しばらくで片付いてバスは出発した。
やがて歌宿に到着、数人の登山者がここで下りた。
北沢峠
1時間余りで北沢峠に到着。ここで下りた人は何故かほとんど長衛荘に行った。
トイレ(有料)に行ってから長衛小屋の天場へと出発した。少し歩いた所で雨が降ってきたので雨具を着用した。乗ってきたバスが追い越して行ったが、歩いていくと転回する場所に停まっていた。
そこから少し下った所から左に入る道があり、200mほど進むと右下に天場が広がっていて、テントが6〜7張り立っていたが、撤収中のものもあった。
小雨の中テントを立てはじめ、妻には小屋までキャンプの届け出に行ってもらった。

左はトイレ、右に5mほど登ると長衛荘
向こうは戸台方面
記念撮影
娘達の一行のテントはなかった。小雨は続いたのでテントを立てて昼寝(8時前だったので昼寝というには早すぎるが)をしていると、娘と思われの声が聞こえてきた。寝ている妻を起こして「ユミちゃんの声がしたよ、見てきて」と言った。果たしてユミちゃん達だった。
「似たテントがあるなとは思ったけど、台風が来ているので来ないと思っていた。」と言ってテントを訪ねてきた。
4人か5人だと思っていたが、ここで3パーティが合流したとかで十数人もいて、凍らせて持って来た缶ビール(1本は自分が飲んだので5本)やポテトチップス、ささげのサラダの差し入れはどう処分したのかな?「おいしかったよ」と言って空き缶と容器だけは帰って来た。
雨が止んだ所で記念撮影を頼んだ。みんな快く応じてくれた。

妻が一番ノリノリでポーズを決めたいた
人間ピラミッド
ワンゲル部の人達も自分達の持っているカメラで写真を撮ったので何回もポーズをした。
終わって我々はテントに戻ったが、ワンゲル部の一行は盛り上がってさらに写真を取り合っていた。やがて、体育会でやる組体操が始まり、石の上で人間ピラミッドまで始めた。彼らのノリの良さに歳の差を感じた。

この時は雨が止んでいたが、しばらくすると雨が降り出すあいにくの天気であったため、この日は山に登らずに、ほとんどテントの中で過ごした。翌日は天気が良ければ朝早くから登り始めて、甲斐駒と千丈の2つとも登ってしまおうと妻に言って寝た。

3段の人間ピラミッド
仙丈岳登山
薄明るくなった頃も雨音は続き、登山は諦めてまた一寝入り。
すっかり明るくなってからフライの下でお湯を沸かして朝食を作った。山ではほとんどの場合、自分が作る人で妻が食べる人である。(と言っても、カップラーメンかフリーズドライ食品なので、お湯を入れるだけである)昨日テントで3回食べたので、もう1泊した場合の食料が心細くなった事と、24時間寝続けた妻が寝すぎて腰が痛くなってしまった事もあって、今日で山を下りることに決めた。
妻も折角ここまで来て一つも登らずに帰るつもりはないので、少々の雨でも登るつもりであった。雨がやんで一部に青空も見えたので、もうこれで雨は終わりだろうと思って仙丈に登ることにした。

北沢峠のトイレの横が登山口
2合目
台風の余波の風も林の中なので影響もなく、妻は自分の足を気遣ってゆっくり登るのでハーハーにもならず、何か物足りない。それでも先行のパーティを追い越しながら進んだ。

風に揺れた木がギーギーと不気味な音を立てていて、中には枯れた木も見えるので、倒れてこないかと妻が心配しているので、これくらいの風ならしょっちゅうあるはずだから、倒れるものならとっくに倒れているから心配ないよと言った。

4合目
4合目までも快調に登ったが、ここを過ぎた辺りからまた雨が降り出した。すぐには止みそうがないので雨具を着た。雨具を着たが、(ゆっくりなので)暑くはならないのも初めての経験だった。


さて、登山道は上の写真のようななだらかな道が続くのかと思っていたら、森林限界を超えた辺りからは結構険しく、風もまともに吹き付けるので帽子が飛ばされそうであった。さらに何と岩場まであって手を使って登り下りしなければならない所があるではないか。本来ならこういう場所ではコワーィと言う妻ではあるが、ガスであまり見えないためか今回は怖がらずに進んだ。
頂上
やがて頂上に到着。数人の登山者がいたがあいにくのガスで展望は全くなかった。写真を撮ってもらった後、風が吹き付ける頂上では食事も出来ないので引き返した。
5〜10分ほど戻った所の稜線から少し下った所に登山道がある場所で食事にした。

娘達と遭遇
食事をしていたらワンゲル部の一行が挨拶しながら通った。簡単なものしかないのですぐに終わって下山していると、今度は娘達の一行と遭遇。雨でデジカメを仕舞っていたので写真を撮るタイミングが遅れてしまったが、この時、ちょうどガスが晴れて頂上までが見通せたので、頂上にいる先行パーティに呼びかけていた。

ガスの晴れ間

仙丈岳の頂上

仙丈小屋
大滝頭
大滝頭の分岐

北沢峠
北沢峠の登山口に到着。ちょうど広河原からマイクロバスが2台到着した所だった。まだ、早い時間だったが、ここでバスを乗り変えて山を下りる人も多い。
天場に戻って、すぐにテントを撤収して、バス乗り場に戻った所、バスを待っている人が10人程いた。今日は登山者が少ないためかバスがなかなか出ない、しびれを切らした人が臨時の切符売りをしている人に「臨時は出ないのですか」と尋ねたがわかりませんと答えた。それでもで残者が増えてきて20人位になった所で臨時がバスが出る事になってメデタク乗車。運転手さんは特にガイド好きで転落しないかと心配するほど、右や左の花や木、山の説明をしてくれた。が、妻はほとんど寝ていた。
駐車場についたが、妻は早く帰りたいというので、(自分もサッカーを見たかったので)今回は温泉にも入らずに家へ直行した。足は一部内出血が広がっていた。

広河原から到着したバス

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