シャンペンに感激 安達太良山

04.08.25

安達太良山(1,700m)

安達太良山は登山に興味を持つ前から知っていた。
ロマンチストの錆鉄人は中高生時代、詩に傾注していて
智恵子抄の「あどけない話」も当然暗記していた。
そして、安達太良山に憧れていた。

安達太良山の山の上に見える青い空
「智恵子の本当の空」
をいつか見てみたいと思っていた。

仕事で懇意にしてくださっていて、
毎年1回一緒に山行をしているWさんが
錆鉄人の昇進祝いを兼ねて故郷の安達太良山を案内して下さることになった。
くろがね小屋がとてもいい小屋だと言って宿泊の手配もしてくださった。

果たして、憧れの本当の空を見て感激したが、
それ以上にシャンペンを小屋まで担いできて下さった事に感激した。


どうやって行くの?
北陸道・磐越道を経由して東北道に入り、二本松ICで下りて少し南下すると岳温泉の標識がありますから、右折して岳温泉、さらに奥岳温泉まで車を走らせます。道路はすれ違いが不安となる場所はありませんが、下る場合は延々と下り急勾配が続くのでエンジンブレーキを必ず使用して下さい。
奥岳温泉にはゴンドラがあり広い駐車場(無料)があります。
この日の早朝に登った西吾妻山はこちらから
駐車場を出発
ゴンドラを利用すると安達太良山登山は奥岳温泉から登る場合と比べて半分以下の労力で登頂出来ると思いますが、Wさん、Nさんに錆鉄人を加えた中年3人組は、そんな軟弱な事はしません。ゴンドラ駅へと向かう登山者達を横目に、由緒正しき登山道へと進みました。
登り始めたのは午後1時です、7月下旬の太陽が容赦なく照り付け、三人はあっという間に汗だくになりました。都会に住んでいる2人は「汚い汗が出て気分がいい」と言っていました。2人は今年初めての登山だという事でした。

動いているゴンドラを横目に右に進み登山道へ
薬師岳
登山道はよく整備されていてきつい所はありませんが、大きく右に回りこんでいて、すぐかと思ったゴンドラ山頂駅にはなかなか到着しません。
やがて、ゴンドラの動いている音が聞こえてくる頃、薬師岳に到着です。広い丘のような所に薬師岳の標識が立っていて、さらに「この上の空がほんとの空です」と書かれた標柱が立っていた。
くっきりと晴れ渡った青空というわけではなかったが、智恵子の本当の空は「青い空」に限った事ではなく、この上に拡がる故郷の空が智恵子の本当の空なんだと解釈をして、一人感激に浸った。

「この上の空がほんとの空です」
と書かれた標識
中央の膨らみが安達太良山の山頂
「乳首」という名前が納得できる
ゴンドラ上駅
薬師岳のすぐ先を左に少し下るとゴンドラ山頂駅です。山頂とは薬師岳山頂の意味でしょうか。
ここで給水を兼ねた大休止をしました。駅の入口には登山靴の泥落しの為の蛇口があり、登山口で給水出来なかった2人はここで容器に給水しました。自分も冷たいほうがいいと思ってペットボトルの水を入れ替えましたが、白く濁っています。しかし、良く見ると小さな気泡で白く濁って見えただけで、しばらくすると透き通ってきて安心しました。
入口を入って、階段を下りた所にトイレがありました。入り口のドアの所は風があってとても気持ちが良かったです。ここの広場に皇太子夫妻が来られた時の写真や記事が掲載されていました。雅子様はやくお元気になられて、ご夫婦で山に登って欲しいものです。


山頂前にて
頂上駅からは木道がかなり長い距離続いています。度々登っているWさんもいつの間に延長工事をしたのかとびっくりしていました。木道は整備されているのですが、側の木がその上に覆いかぶさっているので、中腰でないと歩けません。木道の設計や工事をした人は小人だったのでしょうか?
やがて普通の登山道になりゆるやかに登って行き、頂上前に到着。
薬師岳からはまあるく乳首の形に見えましたが、近寄ってみるとゴツゴツの岩です。コニーデでしょうか。

いざ乳首で戯れん
山頂
午後になって登山道から登り始めた為か、頂上には誰もいません。中年3人組が乳首にて戯れる構図を期待されるかもしれませんが、紳士ぞろいの我々は腰を下ろして大休憩。前日夜凍らせて持って来た缶ビールやチュウハイはまだ冷たく、みんなで飲みました。
それから、カ式を眺めます。ちょっとガスが出ていて遠くの眺望はなかった。近くの磐梯山もちょうどガスで見えなかったのは残念だった。

頂上からの眺め
今朝登った西吾妻山(一番奥のスカイライン)

中央丘の上の白い建物が
ゴンドラの頂上駅
残念ながら
白く光る阿武隈川は見られませんでした。
噴火口
頂上からくろがね小屋へのルートは尾根を通らずトラバースするルートがありますが、Wさんのおすすめの噴火口を見るために尾根沿いに進みます。(こちらのコースを通ってもそれへど時間的なロスはありません。)
噴火口は周囲とは異次元の世界のような異様な佇まい・色です。最近でもここで死んだ人がいたとかで噴火口周辺は立入禁止になっています。
くろがね小屋へ

乳首からここへトラバースしてくるルートもありますが、少し登り返す必要があります。

西部劇で出てきそうな岩山
くろがね小屋
くろがね小屋はすぐかと思っていましたが、案外距離がありました。花の季節は過ぎたのかあまり見かけませんでした。
ヤガテ、県営のくろがね小屋が見えてきました。昔はもう少し上のほうにあったけれど、雪崩にやられたかなにかで(聞いた説明を忘れてしまいました)建替えて現在の所になったそうです。
金曜日なのでガラ空きかと思いましたが、数パーティ約20人程の宿泊客がいました。今回はお祝いという事で宿泊費もWさんが払ってくれました。食堂の上の20畳敷き位の部屋が我々三人に与えられました。

シャンペンでお祝い
まずは温泉に浸かってという事で温泉に行きました。浴槽は4〜5人が浸かれる程の広さで、色は白濁しています。湯の花もたくさん浮いています。この温泉は奥岳温泉・岳温泉の源泉という事です。
窓は開け放されていて目の前には鉄山の岸壁が拡がっていますが、不思議なことに1匹も虫が入ってこないのです。

お風呂上りにまずは飲もうという事でそれぞれアルコールや食べ物を持ち寄りました。すると、Wさんはお祝いはやはりこれに限るとなんとシャンペンを取り出しました。しかも保冷材で冷やしてあり、錆鉄人は大感激でした。
   

最初の1杯を頂く所
ジーンとくる味でした。

帰って妻に話をしたら、
「お父さんを大切に思って下さっているのね、
お父さんは幸せな人ね。」
と言われました。




Nさんのサラダ
シャンペンがなくなると、次は自分の持って来た梅酒とNさんのワインに移りました。
そして、Nさんが得意の海草入りのサラダを作ってくれました。手際よくあっというまに出来上がり、しかもうまい。アルコールが進みます。
ワインを飲み干していい気持ちの所で、Nさんが何かを作ってくれました。なんとフルーチェでした。思いがけないこともあって、これもサイコーでした。

夕食はお決まりの・・・
夕食は、Wさんが予想していた通り、カレーでした。ほとんど毎回カレーらしいのですが・・・。お代わり自由です。カレーが大好物で、妻が仕事の休日はいつもカレーばかり食べている自分は、勿論おかわりをしました。
6人掛けのテーブルに、それぞれグループが集まって賑やかでした。
食事のあと、もう一度温泉に入って、その後はいつのまにか寝ていました。


朝食
朝食はシンプルです。味噌汁に生卵、梅干し、海苔につくだ煮など、これも定番のようです。ご飯のお代わりは自由です。

いい小屋、いい温泉、うまい食事、虫無しと 良い事ずくめですが、一つだけご注意
くろがね小屋の水はまずい!

朝食を食べた後は、もう一度温泉に入って・・・と思っていましたが、入浴出来ないとのことで、することもなく、早朝にくろがね小屋を出発する事にしました。Wさんが滝めぐりのコースがいいよと言うので、そちらのほうへ進みました。

渡渉
川沿いのコースなので何回も渡渉して、右岸、左岸と渡り歩きます。写真のような丸太数本を組み合わせた橋を数回わたると、このコース最大の難所が現れました。
それはからくり橋でした!

からくり橋
自分が勝手に名づけたのですが、丸太を半分に切ったような橋がかけてあったのですが、何とほぼ垂直に立っているのです。「これはとても渡れないなァ、結構下ったので戻るのも大変だな」と思っていると、案内のWさんは強引に足を出しました。体重が板にかかったらくるりと回転して、ほぼ水平に近くなりました。でも、右端しか歩くことは出来ません。少しでも左に重心をかけると、くるりと反転して落っこちるのは間違いありません。ロープにすがりながら一人ずつ慎重に渡りました。

下った所から写しているので
橋が垂直に立っているとは
分かりにくいのですが・・・
屏風岩
その後も何回も丸木橋を渡り、天狗岩とか八幡滝などを経由しながら下りました。
やがて屏風岩に到着。川はこの岩に遮られて直角に流れを変えている。水面からは50mほどの絶壁で、岩の端に寄って下を覗き込むのも怖い気がした。風が気持ち良かった。新緑や紅葉のころはまた一段と綺麗だろうと思った。

想恋の滝(そうれんのたき)
屏風岩は湯川渓谷に突き出た長さ50m程の障壁であり、その先端まで容易に行くことが出来る。途中にはテントを立てた跡ではないかと思われる平坦な場所もあった。
この屏風岩の根元からは壮大な滝が見渡せます。名前は想恋の滝というらしい。
ここから先には、さらに三階滝という見所があるらしいが、案内図によると行き止まりで戻ってくる必要があるらしいのでやめた。ここでも渓谷からはかなり高い所であるが、ここからは渓谷を斜めに登ってほぼ水平の登山道に出る。ここから塩沢スキー場までは案外ながい道のりであった。

このコースは結構険しくて登山道としては遠回りだと思いますが、2人、3人と登山者が登ってきます。夫婦連れで登ってくる人が多かったように思います。会う人ごとにさきほどのからくり橋の説明をして、「端に乗れば水平になって渡れますから。」と伝えた。

塩沢スキー場
やがて塩沢スキー場に出た。トイレに行きたいと思ったが草に覆われたトイレは鍵がかかっていた。渓流登りをすると思われる一団がいた。
ここからは舗装された道路を500m程下ると温泉の1軒屋があり、そこでタクシーを頼んだ。二本松から来るので20分位かかるという返事だった。
玄関先の日陰に腰を下ろしてタクシーを待っていると、ホテルで飼っている?猫が出てきて、しばらく一緒に昼寝をしていたが、駐車場に出たと思うと身構えてトンボを捕まえた。
やがてタクシーが来て、奥岳温泉駐車場まで戻った。林間学校だろうか、何台ものバスが停まっていたが、靴を脱いでいる間にも次々と乗り込んできた。みんな本当の空の大切さをしっかりと胸にしまって帰って欲しいと思った。

塩沢スキー場の登山ポスト

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