日本三大急登 甲斐駒ヶ岳

05.10.30

甲斐駒ヶ岳(2,967m)

甲斐駒ヶ岳は2004年夏に一度登ろうとして北沢峠で幕営した。
その日は台風の影響で風雨が強かったのと
1週間前の大捻挫の足の痛み・内出血がやまなかった事もあって
翌日、仙丈ケ岳を登っただけで下山してしまった。

再度北沢峠に行くのは、駐車料金・バス代と費用がかさむ。
従って黒戸尾根からの日帰りをしたいと考えていた。
しかし、よく計算してみると登山口が遠くなる分
高速代金とガソリン代がかさむのでむしろ高くなるのであったが・・・

天気予報で29日に日本列島を前線が通過して
この日は雨になるが、翌日は回復が見込めたので
雨が降る前に那須岳に登ってしまい
そこから登山口まで下道を走れば無駄もなく
翌30日は晴れた山頂に立てると計算して出発したのであった。
金無し暇無し錆鉄人らしい最高のスケジュールであった。


どうやって行くの?
福井から行く場合は中央道の南諏訪ICで下りて、国道20号線を南下し、白州中東信号を羽越して東進し駒ヶ岳神社を目指します。国道からは白州中東交差点を右折(西進)すると約4kmで大きな駐車場(ほぼ100台位駐車可能と思われます)に到着します。
本当は小淵沢ICのほうが早く着きますが、距離が3〜4km程長くなるので、無駄が嫌いな錆鉄人は、帰りは南諏訪ICまで走りました。小淵沢から高速に入った場合は、国道よりもかなり標高の高い所を走るので、その分余分にエンジンを踏み込む必要があるので燃費も悪くなると思われますので、高速代とガソリン代の両方が安くなります。


今回は、那須岳に登った後、日中の首都高を走るのを避け、一般道で群馬県から長野の佐久に入り(途中、かの有名な妙義山の横を通過しました)そこから八ヶ岳山麓を南下して北杜市に入りました。
途中、南牧村の鹿ノ湯温泉に入り(500円)、道の駅清里で車中泊をしました。ここで天女に電話してYahooの天気予報で北杜市を見てもらいましたが、曇りで9時からは晴れるとの予報で、頂上での展望を期待してビールを2本飲んで眠りにつきました。
30日は4時前に起きて道の駅を出発し、駒ヶ岳神社を目指しましたが、こちらのほうから国道20号線に出るのはかなり困難で、昨年に鳳凰三山の登るために長坂ICで下りたときも散々迷いました。でも今回はカーナビがあったのでスムーズに到着出来ました。
駐車場
途中のコンビニで朝食分を含めて3食分の食料を買い、走りながらおにぎりを2個食べて、駒ヶ岳神社の駐車場に到着したのは5時前でした。
広い駐車場には車が10台程。入口の左奥にトイレがあり、まだ位ので時間待ちの代わりにもう一度トイレに入りました。トイレの横にはバイクが2台駐車していました。(後述)
ザックの中身を確認して、5時31分、駐車場を出発しました。まだ辺りは真っ暗で、ヘッドライトを点け、なにか標識のようなものがあると確認しながら慎重に歩きました。


14:00 駐車場に戻る
駒ヶ岳神社(写真は全て下山時の撮影です)

5分足らずで駒ヶ岳神社に到着です。信心深い錆鉄人は勿論、登山の無事と家族の幸せを祈ってから登山しようと思いましたが、工事中の為進入禁止と書いてありました。


岩の上にはたくさんの石碑が
手水場
それでも錆鉄人は手水場で作法どおりに手と口を清め、通行止めの場所から影参りをしました。(真っ暗とはいえ、拝殿がないとは思わなかったのですが)
手水場の水はご覧の通り、ゴボゴボと音を立てながら湧いてきていました。

吊り橋 5:40
真っ暗なので登山道が何処にあるのか分かりませんでしたが、神社を回りこむと吊り橋があったので、これで良いとわかりました。地図のコースタイムの基点はここです。従って5:40出発となります。

しかし、吊り橋を渡った所で右のほうに踏み跡を辿ってしまい、尾白川渓谷の矢印はありますが甲斐駒ヶ岳の表示がありません。それですぐに間違ったと判断して引き返したので、ほとんどロスはしませんでした。明るければ全然間違わない場所でした。登山口付近は遊歩道などがあって山の途中とは余程迷い易いので注意が必要です。


(神社のほうから撮影)
吊り橋は結構揺れます
やっとすれ違い出来る幅です
快適な登山道
ここからの登山道は、会津駒ヶ岳の登山道に似た感じの適度な傾斜の登りやすい登山道が続き快調に高度を稼げます。
錆鉄人は「黒戸尾根は長丁場だから飛ばしすぎてはいけない。」と考え、天女と一緒に歩いている(天女モード)気持ちで押さえて歩いていましたが、快適に歩けるのでスイスイ歩いていたら1時間半で標高差で1,015m登っていました。(PROTREKの高度計)登山道には落ち葉が敷き詰められていて適度なクッション効果もありました。

注:天女モードとはコースタイムのほぼ2/3のハイペースを言います。これに対して錆鉄人モードはコースタイムの半分以下のヒーヒーハーハー登山を言います。


所々に旧登山道と思われる凹みが
平行していました。
刃渡り

刃渡りは△の岩の上を歩きますが、チェーンもあって怖さは感じません。


実際は右の岩の上を歩きますので
本当に△の上を歩くのは僅かです
刀利天狗 7:37〜7:47
どこか目印になる場所で休憩しようと思っていたのですが、これといった休憩場所もなく、刀利天狗に到着。
ここで初めて休憩をして、おにぎりを1個食べました。それから地図(一応黒戸尾根に敬意を表して買いました)を取り出して、コースを確認しました。計画よりかなり早く来ているので少しのんびりすることにしました。尾根歩きになるので日焼け止めも付けて10分の休憩でした。
刀利天狗は距離的にもまだ半分位しか来ていない感じで、さすがに黒戸尾根だと思いましたが、これはまだ序の口でした。

五丈小屋 8:04
五丈小屋へは標高で100m近く下りて行きます。しかもかなり急な下りです。すごくもったいない気持ちでした。
小屋は写真のようにいつ壊れてもおかしくない状態で、悪天候時でも入らないほうが良いと思いました。(悪天候時のほうがよけい危険です)
ここからさらに少し下った所が、屏風小屋跡です。

屏風小屋跡
鞍部にはかって小屋の材料だった材木が並べられていました。
大きな岩の下に小さな祠があり、その右手にはたくさんの石柱が並べられています。信心深い錆鉄人なので、ここでいつもどおりに丁寧にお参りしていきました。
石柱には「○○天狗」などと書いてあり、かって修験者が運んできて設置したのだと思われます。
ここからは岩場・ハシゴ・鎖場が断続します。


右に見える階段を登る
屏風小屋跡
     
横の長い階段です。これを登るだけでヘトヘトになります。
     
橋もありました。下に古い橋が見えます。(写真は下山時撮影)


ギョッ!
こんな所登れないよ!

ご安心めされ!
横に新しい階段が出来ていました。
七丈小屋 8:39〜8:53
何しろ聞きしに勝る黒戸尾根です。錆鉄人はバテるのを恐れて、「今回はちゃんと休憩をしなくてはいけない」と思っていたのでした。
それで七丈小屋につくと、ベンチに座っておにぎりを1個食べました。その後で小屋の手前にある階段を上がって、入口の戸を開けてみました。部屋はストーブが点いていて暖かかったのですが、小屋番の人がいなかったのでビールを買えなくて残念でした。(声を掛ければよかったのかも知れませんが・・・)
小屋の水場というと、かなり離れた所にある事が多いのですが、ここは小屋の横(登山道沿い)に「流し」があって、凍結しないように水が流しっぱなしになっていました。頂上往復の水があれば良いので予備の水(900mLペットボトル)を捨てて500mL2本を持って出発しました。(休憩14分)
ちなみに、ここまでで飲んだ水は500mLだけで、案外少ししか必要ありませんでした。ただし、錆鉄人の場合、下りのほうがたくさん水を飲むことが多いのですが、今回もそうでした。身体の中のエネルギーを使うために水が必要になるのでしょうか?だんだん歩いているのが嫌になるので、気分転換で飲んでいる場合もありますが・・・


この辺りではすっかり晴れてきました
七丈第二小屋
七丈小屋からほんの少し進むと七丈第二小屋があります。小屋の入り口は閉まっていました。
登山道は小屋の手前の階段を登って行きます。


こんな住み心地が良さそうな天場はないかも?
天場
七丈第二小屋から数分登った所に天場がありました。きれいに整地されていますが、トイレと水場の往復は10分は覚悟が必要です。先に済ませておくと良いでしょう。さらに登った所に第二の天場がありました。

こんな住み心地が良さそうな天場はないかも?
岩場・鎖場
     
足の窪みが出来ているので登りやすいのですが、窪みは水平にはなっていないので、鎖がなかったらかなり通貨は困難だと思われます。(その時は左側のほうが登り易そうですが)

     
直後に現れた段差の大きな岩場。下に立つと右上の岩が肩の辺りなので、どんなに足が長い人でも鎖無しでは無理です。何処へ足をやるのかかなり思案しましたが、結局腕力で引っ張り上げるしかありませんでした。
左上はつららです。
八合目御来迎場 9:23
途中から雪が現れました。雪は凍結していて、うっかり足を乗せようなら滑りました。錆鉄人はアイゼンは不要と判断して車に置いてきていましたが、装着しなければならない程ではありませんでした。雪の量が少なく石が出ているので、基本的には石の上に足を置いて進みました。
七丈小屋で次の目標は御来迎場だと地図で確認していましたが、相次ぐ岩場や鎖場の連続でスピードが上がらないので、自分の想像よりは遠く感じました。ここからの甲斐駒は見事で、やっと頂上が見えた!と喜びましたがどうも甲斐駒の頂上はまだ見えていないように思われます。(良く分かりませんが)近付くとその向こうにまたピークが見えてくるのでした。


右の石柱は鳥居の残骸です。
ここからでも頂上はまだはるか遠い感じです
駒ヶ岳神社本社
やっと頂上が目の前に見えてきて、数人の登山者がいるのが見えました。
ここは西峰で駒ヶ岳神社本社がありました。信心深い錆鉄人は、頂上を目前にしても動ぜず、いつも通りたくさんの願い事をしてから頂上に向かいました。


ここからは頂上にいる人も見えます
頂上
頂上に到着したのは、10:09でした。途中2回の休憩を除けば(他にも小休止はありますが)4時間10分位で登ったことになります。天女モードでしたが、錆鉄人モードで登っても3時間切ることは難しいと思われます。というわけで、黒戸尾根は長く険しいルートですが、かなり良く整備されているので通過自体はさほど困難ではありませんでした。
頂上についたらバイクスーツの2人が声を掛けてくれました。彼らは七丈の小屋に泊まったらしいですが、宿泊者は2人だけだったのに途中から熊避け鈴の音が聞こえてきたのでビックリしたようでした。彼らは29日に大雨の中を登って、雨の中で昼食も食べたという事でした。ある意味では黒戸尾根の日帰りよりも根性があるように思いました。(錆鉄人なら雨が嫌いなので登山を断念していたと思います。)


ブレスサーモの長袖シャツ1枚で登っていました
頂上からの展望

鳳凰三山・富士山


北岳
頂上からの展望その2

仙丈ケ岳


八ヶ岳
頂上からの展望その3

穂高連峰


左図左下1/4の拡大図
(コントラスト等の画像処理をしています)
てっぺんに立つ
頂上の一角に岩があって、そこが一番高いようなので登りました。写真のように足を掛ける所が凹んでいるので簡単に登れますが、てっぺんは平らなところがないので足を置く場所に苦労しました。



これでも結構怖いのですよ
雷鳥

八ヶ岳をバックに雷鳥が見えますか?
心眼!(ど真ん中です)


五竜で逢った雷鳥よりも
白毛が増えている感じでした
下山開始
頂上の大スペクタルに大満足の錆鉄人はバイクスーツの2人と話をしながら、頂上にほぼ30分いました。昨日、那須岳で三本槍の頂上近くまでバイクのタイヤ跡があった話もしました。
いつまで眺めても飽きない眺めでしたが、もう一度周囲の写真を撮って、10:38下山を開始しました。
まずは駒ヶ岳神社本社を目指して下りたのですが、本社の上の岩に下りてしまい、神域を汚した事を謝りました。

改めて下山ルートを眺めると、よくここを登ってきたものだと感心しますが、見えているのはほんの一部でしかありません。長い長い黒戸尾根にはガスがかかって見えません。七丈小屋もガスの中です。


険しい下山路
下山路
上の写真の真ん中付近に見える尖がった岩の所まで下りてきたところです。途中ではこの岩が頂上かと思っていた時もありました。
先に見える尾根の先端の少し手前が御来迎場です。そこまでかなりの標高差があるのですが。

日帰り登山者と遭遇
登るときに苦労した団さんの大きな岩を通過してしばらくした所で、登山者に遭遇しました。話を聞くと近くの人で、やはりこの黒戸尾根を日帰りする予定との事でした。半袖で登っているので普通の登山者でないことは判ります。
6時に駐車場を出発したと言っていましたから、ここまで約5時間半です。自分の場合はほぼ4時間でこの付近まで来ていたので、この人は錆鉄人より3割程余分に時間が掛かっていることを考えると、頂上に着くのは12時半過ぎになりそうです。すぐに下山を開始しても駐車場につく前に暗くなるのは間違いないと思われます。
錆鉄人は気が小さいので、だんだん暗くなる所をひとりぼっちで下りていくのは嫌いです。ちょっとした木の擦れ合う音や遠くで動物が立てた音にもビクビクして、だんだん怖くなってくるのでした。

御来迎場に戻る
11:21御来迎場に戻りました。ここで頂上も最後かもしれないと思い写真を撮りましたが、登るときと同じアングルの写真だったので割愛して、ここからの鳳凰三山と富士山の写真をアップします。頂上の写真と比べて富士山が鳳凰三山の左肩の所に移動している所をご注目下さい。
七丈小屋
11:41七丈小屋に戻りました。階段を登って戸を開けると小屋番の人がいたのでビールありますかと聞くとありました。一瞬こんな暖房した部屋においてある暖かなビールは嫌だなと思いましたが、ちゃんと冷蔵庫に入っていました。しかも500円です!去年辺りから相場は550円だと思っていたので、ものすごく得をした気分でビールがよけいに美味かったです。
  
ビールを飲みながら、パンを1個食べました。このまま下山しましたから、登山中に食べたのはおにぎり2個とパン1個だけで、おにぎり2個とパン2個が余りました。錆鉄人は痛みや歩く辛さは無視するようにしているので、空腹も感じないようになったのかもしれません。
11:52ペットボトルに水を入れて出発。登るときは見逃していたのですが、この水場の横にあった温度計は10℃でした。登っていれば半袖でも十分な筈です。


小屋の入口から下りた所がトイレです。

入口の反対側は広場になっています
岩場
6から7分下って、岩場の通過では一番標高差がある場所に来ました。登るときもちょっと足場に苦労しましたが、下りるほうが難しく、最後の1歩は鎖にぶら下がって下りました。ここは左側ががけになっているので怖さもあります。
12:14 屏風小屋跡
12:38 刀利天狗。ここで再度休憩(数分)
12:47 刃渡り

分岐 13:15
ここが地図上で何処か分かりませんが、写真に写っていませんが右手にも登山道があって、右側のほうに駒ヶ岳神社の表示がありました。しかし、その登山道には笹の刈り跡が残っているので、こんな道は通らなかったぞと引き返しました。
分岐から7〜8m程進んだところに右の表示があり、「竹宇駐車場(近道)冬季」と赤字で書かれていました。登るときは気が着きませんでしたが、少し進んだら見覚えのある所だったので安心しました。下山中唯一注意すべき所だと思います。

駒ヶ岳神社 13:53
登山道には落ち葉が降り積もっているので、思わぬ段差があって捻挫しないとも限りません。従って制御出来る範囲のスピードで下りました。
途中で中年夫婦に逢ったのでびっくりして「今から登るのですか?」と尋ねた所「いいえ、この辺りまで遊びに来ただけです。」との事でした。「自分は5時半に駐車場を出発して日帰りです」と言うと「走ってですか?」と驚いていました。
吊り橋が近くになったら小さな子供を連れた家族がいました。吊り橋にも数人の観光客がいて写真を撮っていました。ズンズン歩いたので吊り橋をかなり揺らしてしまいました。
登りでは真っ暗だったので撮影できなかった駒ヶ岳神社を撮影して駐車場に戻りました。神社から駐車場は3〜400m位あると思います。途中から2時を目標にしていましたが、ぴったり午後2時に駐車場に到着しました。車はほぼ満杯になっていました。

愛妻家の錆鉄人は車に戻ると、すぐに天女に下山したことを告げ安心させました。
着替えをしてすぐに出発し(14:10頃)残ったおにぎりとパンを食べながら家までノンストップで走り(約370km内高速340km)、18:40頃家に着き、天女と晩御飯を食べました。

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