最低最悪の百名山 平ヶ岳

05.09.24

平ヶ岳(2,141m)

平ヶ岳の登山口は鷹ノ巣であるが、そこまでのアクセスは最悪である。
小出ICで高速を降りて只見湖を回って到達するが
道路は狭く谷をそのまま曲がるので急角度のカーブの繰り返しである。
ジグザグに移動しているだけなのでなかなか「前」に進まないのであり、
もう2度とこんな所には来たくないと思いながらやっと鷹ノ巣に到着する。

それでいて登山道は長々と急傾斜の鷹ノ巣尾根を登った後は
じめじめした登山道を幾度も小さなアップダウンを繰り返して
嫌になった頃やっと頂上湿原に到達する。
コースタイムは往復9:30と出ているが
休憩を含めると一般的には12時間前後かかるのではないかと思われる。
頂上にも途中にも小屋はないので
一般的には幕営となるがトイレもない。
山は最悪、しかも環境破壊は進む一方と思われる。

そんな山なので
登山者がほとんどいないかと思うと大勢いるのである。

平ヶ岳には「裏登山口」があるのであった。
それは「皇太子の道」と呼ばれているが、
詳細に関しては途中にて説明するので見て欲しい。
いずれにしても、
我々が悪戦苦闘して疲れ果てて着いた頃には
涼しい顔をした大集団が頂上を占拠していて
辺りに糞尿を撒き散らした跡を踏むことになるのであった。

まさに最低最悪の百名山と言えよう。


どうやって行くの?
北陸道長岡ジャンクションで関越道に進み小出ICで下ります。この付近は昨年の新潟地震で被害を受けたので、高速道路も集中工事が行われていて1車線規制となっています。
小出ICからはR352を走りますが、山の中に入るとコンビニはなくなりますので、
高速を下りて最初のコンビニが最後のコンビニですから、買物を忘れないようにしてください。


小出からは奥只見シルバーラインを走る。ほとんどがトンネルの中であるが、それはまだ良い。シルバーラインを過ぎると奥只見湖の最奥部に出るのであるが、そこからは延々と奥只見湖からほぼ同じ高さの等高線を走ると考えて頂きたい。つまり何十、何百もの谷をすべて等高線をなぞるように走るのである。当然谷の底に当たる部分は急峻でほぼ180度に曲がる。所々には谷水をオーバーフローさせるためのへこみがある・・・。この全てがほとんどすれ違い不可能な道路幅である。こんな所を対向車のある日中には走りたくないものである。
さて、このように狭くジグザグに曲がりくねって所々思わぬ窪みもある道路を、永遠とも思われる長い時間・距離走り続けると、ようやくこの奥只見の人造湖から離れる。すると、道路は劇的に改善され2車線の快適な道路になる。このような山奥のその又奥ではあるが、人家があり、農作業などを行っている。
人間って本当に偉いものであると感心していると、どうにか鷹ノ巣の登山口に到着するのであった。
駐車場
駐車場は道路を挟んで両側にあり、登山口から一番遠い所(写真左奥)は舗装されていて約10台、その手前も約10台、道の向こうは5〜6台という所でしょうか。
錆鉄人が到着したのは、6時半頃でしたが、登山準備をしていたら車が2台出て行ったので、必ずしも登山者だけが駐車しているわけではないようです。この舗装された駐車場の登山口に近い方は若干奥行きが狭く、出入りで引っ掛けられそうだったので、一番奥の当りの空いたスペースに駐車しました。


道路は国道352号線
向こう側が奥只見湖方面です
登山口
上の写真とほぼ同じ場所から撮影しています。この左側(道路の向こう側)にも駐車場があります。この先も一見車が進めそうですが、勿論車止めがあるので行けません。
7:10 登山開始。広い林道を進んで行きます。

渡渉ポイント
1ヶ所渡渉ポイントがありますが、大きな石が積んであるのでその上を歩いて渡ります。
林道からの分岐
林道を10分程歩くと、右のほうに林道が分岐していて、直進の林道はその先でカーブして下っていくように見えます。ここを右折するのかなと思いましたが、カーブの先を確認すると、そのすぐ先が登山口でした。カウンターが設置されていました。
平ヶ岳10.5kmと表示されています。道路からも500m以上はありますから、往復22km以上という事になりますので、日帰りとしては相当に長いコースという事になります。

下台倉山
鷹ノ巣から3.3km地点、下台倉山です。結構登りのきつい痩せ尾根が延々と続きます。
      
      (この写真は登りではありませんが)


下大倉山 8:17
(1時間07分)
三角点
三角点以外標識もなにもありません。
きつい痩せ尾根の登りが終わると、小さなアップダウンが続きます。

台倉清水
台倉清水に8:51到着。
写真奥の水場に行こうと進みましたが、踏み後がたくさんあり、しかもぬかるんでいるので途中で引き返しました。ここでは数パーティが休憩していました。

白沢清水

白沢清水には9:14に到着。
「たまり水のようですが、下から水が湧き出ていておいしかった」という報告を読んでいたので、木道のすぐ横の水場を覗いてみました。


水は僅かに湧き出ているのかもしれませんが
水面にはたくさんゴミが浮いていて
とても飲む気にはなれません。
姫ヶ池
平ヶ岳はジメジメした登山道が続くと報告されていますが、かなり木道が整備されていて、ジメジメした部分はかなり解消されてきています。しかし、その木道には表面に加工がなされていないので滑りやすくて注意が必要です。しっかり登山道の木道を研究して工事を発注してもらいたいものです。(お役所仕事!)
やっと山頂部分に到着しました。ここで1人の登山者と一緒になりましたが、自分が反対の方向に進もうとしたので声を掛けてくれました。自分は「3時間で頂上に着きたいので」と小走りに木道を進みました。
木道が終わると赤土のえぐれた登山道となり、両サイドを歩いたり、真ん中を歩いたりしますが、この真ん中の部分に所々横から根が伸びていて、歩く部分に半分位出ています。錆鉄人は何度となく膝や弁慶の泣き所を思いっきり打ち付けました。2倍のスピードで歩いているので、衝撃は4倍です。しゃがみこんで痛みを堪えました。

頂上入口
そんな事もあって、3時間は切れず10:12頂上に到着。登山口から3時間02分でした。
頂上の手前のベンチには十数人のパーティが休憩していました。右の頂上のほうに進もうとすると「今女性がお花摘みをしているから少し待って。」と言われ待っていました。こんな人達がこんな早くに登っているので「何時に登り始めたのですか?」と聞いたら「登り始めたのは6時で、宿を出たのは4時でした。」と言っていました。それにしても凄いと思ったのですが、このパーティは「例の皇太子の道」から来たと聞いて納得しました。「そうでないと私達、こんな山に登れません。」と言っていました。
しばらくすると別の女性が行くというので、もういいと言われて入っていきました。といっても、ほんの10mほど先が頂上でした。

頂上
中年の女性が2人藪から戻ってきて(といっても立派な道が出来ています)、これから行こうとしている女性に対して、「大きなのがあるから踏まないようにしてね。」と言っています。皇太子の道が出来たために、こんな所で「大」をして処理さえもしない登山者とも言えない輩が登って来るようになったのだと思いました。もうその辺りを歩いてみる気にもなりません。
頂上の標柱を撮影しただけでベンチに戻りました。パンを食べながら近くの人と話をしました。

皇太子の道について
1986年10月14日の皇太子平ヶ岳登山の前に「税金で作られた」ショートカット登山道である。地元の地権者が二十数人いて、地権者以外は通行を許可されないとの事であるが、地元の旅館・民宿等に泊まった登山者は、マイクロバスなどで送迎されているとの事である。
錆鉄人は、去年の水害で橋が流されたりして林道は通行出来なくなったとの情報をWebで得ていたので、鷹ノ巣からの登山者だけだと思っていたのでびっくりしました。
地図には中ノ岐林道が伸びているのが見え、そこから頂上は本当に近い。ヤマケイの百名山登山ガイドには、中ノ岐方面への登山道があるが通行しないように書いてあります。

皇太子の道に関しては、以下のHPが詳しいのでご覧下さい。

平ヶ岳ホームページ
たまご岩へ向かう
   
平ヶ岳というと「たまご岩」は外せません。たまご岩に向かう分岐から少し進むと水場があります。ここの水は飲めます。
やがて登りになりますが、中年の一行がスリップしてこけたりして、さらに恐る恐る登っているのでイライラしてきました。しかたがないので途中からちょうどガスが晴れてきたので、平ヶ岳の頂上を写しました。・・・しかし全然進みません。


山頂から1.6km鷹ノ巣から10.2kmの標識
正面の小高い丘の向こうにたまご岩があります。
ここまでかなりの登りであり結構遠いので
(往復2km程遠回りと思います)
日帰り登山では行かないほうが良いかも?
たまご岩
       
もっと丸い岩かと思っていたのですが・・・。やや幻滅です。Webで読んだのですが、皇太子の登山に合わせて、たまご岩の成立に関する仰々しい解説看板が立てられていたらしいのです。しかし、景観ぶち壊しの上に環境破壊にもなっているとものすごい批判があったとの事で今はありません。


たまご岩と地塘の組み合わせは絵になります
地塘
たまご岩への分岐から姫ヶ池へ戻る途中の地塘。草黄葉が綺麗でした。
登山口に戻る
という事で、またまた嫌になるほど長いルートを戻ります。特に何回もあるアップダウンは堪えます。
でも最初思っていた程時間がかからなかったので、今日のうちに会津駒ケ岳も登ってしまおうかと考えながら下山しました。
登山口には13:34戻りました。(往復:休憩・たまご岩を含み6時間24分)
これなら、会津駒ケ岳の登山口には2時半頃には行けるだろうから、薄暗くなるまでには下山出来るだろうと思い(往復3時間と計算していました)登山靴だけ脱いで、すぐに車を走らせました。


最低最悪の百名山
最低最悪の百名山であることの証明

1.登山口までのアプローチが非常に悪い
2.登山道が長く、これといって見所がない
  ぬかるむ道と滑る木道、凹道に突き出た危険な根
3.登山口に簡易トイレがあるのみで、登山道にはトイレが皆無
  従って糞尿まみれの頂上
4.一部の特権者だけに開放されている皇太子の道

  一般登山者には無理な登山を強いるばかりで、登山者及び山(自然)に対する思いやりがない

関係者は猛省をお願いします!

おまけは会津駒ケ岳に向かう途中、無車検車に当て逃げされてしまいました。(免許証を錆鉄人に渡したままで)

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