飛越新道から日帰り 黒部五郎岳

06.09.09

【注意】決して錆鉄人の真似をせず、標準コースタイムを参考に山行計画を作成願います。

 地 点  飛越トンネル 寺地山 避難小屋 北ノ俣岳 黒部五郎岳 北ノ俣岳 寺地山 飛越トンネル  合 計 
時 刻 4:35 6:11 6:39 7:53 9:31 11:35 12:36 13:55 9:10
区間タイム 1:36 0:28 1:04 1:38 1:37 0:54 1:19 8:13
休憩 0:10 0:15 0:17+10 0:05 0:57
標準コースタイム 3:00 2:35 3:15 3:00 2:00 2:25 16:15

黒部五郎岳(2,840m)

黒部五郎岳は既登の百名山である。
某大学ワンゲル部だった二女が裏銀座縦走の途中
三俣山荘の天場をベースに3泊するというので
天女と一緒に折立からはるばると黒部五郎岳を回って合流したが、
この時はまだ百名山全山の日帰りなどというお馬鹿な考えはなかった。
それでも暇無しの錆鉄人と天女なので
幕営の翌日は鷲羽岳・水晶岳・雲ノ平と回って折立に下りて
夕方には福井に戻るハードなスケジュールだった。


百名山全山日帰りを目指して
7月22日に新穂高から鷲羽岳・水晶岳の日帰りは済ませた。

天気予報では9日は9:00頃から晴れの予報だったので
残った黒部五郎岳を登る為に出発したのであった。



どうやって行くの?
Webで飛越トンネルまでの道路情報を調べました。なかなか道路の状況まで報告してくれているページは少なく骨が折れましたが遂に発見。神岡市街からの道路ではなく、新穂高のほうに10km程走ってから入る双六川コースが走りやすいと、いう情報を得たのでした。
もう一つは双六川コース入口までのアクセスですが、富山から南下すれば一番早いのは明らかですが、金無し錆鉄人は大野市から白鳥経由で行き、高速代をセーブしようと考えました。どうやら飛騨清見ICの先から
卯の花街道という大規模林道が出来て古川方面へのアクセスが一気に改善されたらしい。しかし、「道の駅飛騨古川いぶし」を越えると、その先の県道80号線は1車線の曲がりくねった道路で離合が大変らしく、運転の下手な錆鉄人は高山まで遠回りすることも考えました。しかし、どうやら殿川沿いのルートは1.5車線程度あって通行車両も少なく、離合にもさほど苦労しないと分かり、このコースを通ることにしました。

飛騨清見ICで下りて1kmも走ると卯の花街道の案内があり、左折すると2車線のほとんど直線の道路が続き、林道では日本一長いという猪臥山トンネルを越えて、あっという間に「道の駅飛騨古川いぶし」に到着です。
この先で左折(ほとんど180°戻る)してすぐにまた右折(ここもほぼ180°ユーターンの感じなので2回で元の道路と同じ方向を向く)し、古川町野口で国道41号線に合流します。距離的にもこちらの道路のほうが神岡までの近道にもなっています。道路は一部1車線のところがありますが、頻繁に離合スペースが設けられていて、そこを過ぎると1.5車線ですが、路側の白線の外側までよければ十分すれ違い可能で、楽々通り抜けが出来ました。帰りは日中に通りましたが、集落内では対向車がありましたが、その先では対向車にも逢わず「道の駅飛騨古川いぶし」に出ました。という事で、東海北陸道方面から飛越トンネルを目指す人はこの道路をお勧めします。
最後のコンビニは、神岡で国道41号線から471号線に入ってそのまま走り、双六川に沿って有峰林道方面に左折する地点のすぐ手前にありましたが、錆鉄人は知らなかったので、471号線に入って1〜2kmのコンビニで食料を買いました。(最後から2番目のコンビニ)
有峰林道ゲート
飛越トンネルまでの林道を走っていると、小動物が横切ったりしましたが、急カーブもありますので急ブレーキを掛けると事故る可能性が高いので慎重な運転が必要です。
トンネル手前に到着すると駐車している車は1台のみでした。
トンネルを越えて1km程進んだ所には有峰林道のゲート(20:00〜6:00まで閉鎖、ただし、19:30位で通過させてくれない可能性がありますのでご注意下さい。)があり、その内側に水洗トイレがあるという情報を調査済みの錆鉄人は、ゲートまで行き、Uターンして車を道路に駐車して車中泊体制に入りました。トイレの反対側にはゲートの管理人用と思われる宿舎があり、トイレと共に常夜明かりがついていて、怖がりの錆鉄人も安心感がありました。
例によって、ビールを2本飲んで寝ましたが、2時間ほどで目が覚めるいつものパターンでしたが、涼しくなった為か、それなりに眠れました。
という事で、反対車線に2台の車が駐車したのも知らず、4時にセットしたアラームで起きトイレ行きました。(トイレットペーパー付き)


有峰林道ゲート
登山口
そして、登山口の駐車場まで戻りました。登山口の近くの1台だけではなく、かなり向こうにも1台駐車していました。
登山口近くの車の横に駐車して、朝ご飯におにぎりを1個食べながら向こうの車の様子を見に行きました。ガラスが曇っていたのでまだ車中泊しているようだったので、ひっそりと戻りました。
隣の車は何と福井ナンバーです。後に大きな羽根をつけたスポーツタイプ車ですが、中には誰もいません。
コンビニで買った食料の残りを全部ザックに詰め込み、水は避難小屋にあると書いてありましたが枯れているかもしれないと考え(水がなくなった時は悲惨です!)アクエリアス500mL2本に水を1.5L持ちました。経験から2Lで済むと考えましたが、0.5Lは予備です。
という事で、4:35 登山口に。駐車場の草は何故か夜露に濡れていませんでした。

くま洞峠
登山口からはいきなりの急坂が始まりますが、すぐに終わります。その後はいきなり下りがあり、何回か小さな登り下りを繰り返します。登る気に燃えている時にこのアップダウンの繰り返しは戦意を喪失させます。

5:02 「くま洞峠」の標識に出くわし、ドッキリ。

登り始めた頃は草が夜露に濡れていなかったと思うのですが、いつのまにか草が濡れています。とはいえ、登山道は草が刈ってあるので靴は濡れません。
しかし、何処からか忘れましたが、草刈りが終わってしまいました。錆鉄人の登山靴は水濡れに弱いので、草の無い所を選んで歩き、草が密集している所ではツボ足で歩く・・・とあらゆるテクニックを駆使して歩きました。

案内標識
錆鉄人は一応地図でチェックしていて、水の平は打保からのコースの途中にあると認識していたので、「水の平」の標識を見て大いにうろたえました。地図を取り出して見ますが、やはり飛越新道から寺地山までのコースには「水の平」の地名はありません。地図が古い(2001年)からルートが変わっているのかもしれないと、焦りを押さえてそのまま進みました。
鏡池平
6:00丁度に鏡池平に到着しました。
鏡池はとても小さいけれども不思議な池です。池のある部分は周囲よりも少し高い位なのですが、なぜか水が溜まっています。湧き水かなと思いましたが、飲める感じではありませんでした。

寺地山

寺地山には6:11に到着。


寺地山からは一旦下りに転じます。
これまで何回も下りがあったので
いい加減にして欲しいと思いながら下りました。
北ノ股避難小屋

6:37 避難小屋の分岐に到着。そのまま登ろうかと思いましたが、水場の確認をする為に小屋まで行く事にしました。


避難小屋までは若干斜面を回り込みながら
無駄に登って下ります。
登山者の気持ちを無視した経路です。
トイレ

トイレはこの門の向こう、ベニヤ板の向こうにあるらしいが・・・、見なくても「悲惨」な状況なのは明白なので写真撮影はやめました。


小屋の中は中央が少し撓んでいますが
何とか6人程度は寝られそうです。
高床の下にも1〜2人分のスペースがありました。
でも小屋の柱はかなり倒れていて心配です。
水場
肝心の水場は小屋の前にパイピングされていて豊富に流れていました。ここでコップ2杯分ほど水を飲んでから、(給水無しでも戻れるだけ水を持ってきていましたが)半分程飲んだアクエリアスのペットボトルに水を入れました。登山中に飲む水分としては、そのままのアクエリアスよりは水で半分に薄めたほうが錆鉄人的には飲みやすく感じます。
餓鬼の田

小屋の分岐からは木道が続きます。木道を支える支柱は全て手前に倒れこんできていて、来春にはバラバラになってしまうのではないかと危ぶまれます。


中腹に「餓鬼の田」と呼ばれる地塘があります。
草紅葉と良くマッチングしていました。
抉れた登山道
木道が終わると、洲亜新のような抉れた登山道になり、所々に蛇籠が設置されていて土砂の流出を防ごうとしていますが、雨が降れば完全に「川」になるので侵食は治まりそうにありません。良く登山道が原因で斜面が侵食されると言いますが、それはこのように草木で覆われていないむき出しの土壌は流水で簡単に侵食されてしまうからで、侵食が始まれば、さらに集水効果が高まって浸食を加速する悪循環になってしまうのです。
侵食された登山道は歩き難いので、すぐ横の草原を歩く事になり侵食は拡大されて行きます。

登山道は薮漕ぎの様相を呈し、それまで無事だった登山靴は水浸しとなり、靴の中でグチャグチャ音がし出しました。

雷鳥に往く手を遮られる

突如、登山道の前方に雷鳥を発見。驚かせないように移動するのを待ちましたが、全然動いてくれないので進むと、雷鳥もそれにつれて登山道に沿って登っていきます。


4羽の雷鳥が先導してくれました?
一部白い冬毛になっています。
雷鳥の動きに合わせてゆっくりと50m程登った所で
雷鳥は10mほど飛んで薮に中に消えてくれました。
ピークで一服
避難小屋分岐からの登りは結構一直線の登りが続き、やっとピークに達したので、やれやれと思って小休止しました。水を飲んでアーモンドチュコレートを2、3個食べました。登山靴の中はグチョグチョですが、稜線に出てから靴下を絞ろうと思い、ここではそのままでした。
稜線に出る
ところが、ピークから100mも歩かないうちに太郎小屋から黒部五郎岳に連なる稜線に到着。ピークでの一服は全くの無駄でしたが、ここで木道に腰を下ろして大休止。
登山靴を脱いで靴下を絞りました。結構な水が滴り落ちます。両方の靴下を絞っている間、踵を下にしておいて溜まった水を捨て、さらに靴下で内部を拭いて水分を取りました。
今回は登山時間も短いので、濡れたままで歩いても足がふやけて靴擦れを起すことはないだろうという判断(トムラウシでは1足1足地面に着く度に激痛を堪えていました。)で替え靴下は持ってきていません。(登山靴に防水スプレーを忘れてきましたが)

草黄葉
この合流地点付近はとてもきれいな草黄葉でした。白いチングルマの毛も群落状態でした。
北ノ俣岳
合流地点から北ノ俣岳まではほんの一登り、5分で到着です。
さすがに休憩する意味はないので写真だけ撮って通過しました。


赤木岳
赤木岳には8:14到着。
飛越新道の合流地点から黒部五郎岳の間は以前(折立から幕営1泊2日で黒部五郎・鷲羽・水晶・雲ノ平を一回りして帰宅)に歩いていましたが、「こんなにアップダウンが何回もあったっけ?」と思いながら歩きました。それも結構きついアップダウンがあるのですが、錆鉄人の頭のなかではほとんど平坦なイメージしか残っていなかったのでした。
途中でまた雷鳥に出会い、登山者にも出会うようになったのでおしゃべりして気分を紛らしましたが、黒部五郎岳の登りが始まるまで、嫌になるような下りが続きます。

黒部五郎の肩
鞍部から黒部五郎の登りはガレ場の九十九折れですが、ガスっていて先が見えませんでした。
途中で20人程の登山ツアーの一行に追いつきましたが、最後尾にいた女性が声をかけてくれたので皆さんが避けてくださり、そこを飛ぶように一気に登り、そのままのペースで黒部五郎の肩に到着。
前回、天女と一緒に来た時はザックを置いて登りましたが、今回はザックも軽く短パンには財布も入れられないのでそのまま担いで登りました。(というか、錆鉄人は万が一の盗難を恐れるので、基本的にはいつでもザックを担いでいます。)

頂上独り占め!
という事で、9時31分、黒部五郎岳の山頂に到着。
登山口から4時間56分でした。

食事
山頂付近から少し離れた所に下りて、食事にしました。
でも、その前にもう一度靴下を脱いで裸足になりました。靴下ももう一度絞って岩の上に広げて少しでも乾かそうとしました。
それから、靴下を絞った手をシャツで拭って、写真の寿司を食べました。今回はそれなりに食欲もあり、食べられました。

団体さん
やがて、団体さんが到着。
一人ずつ儀式のように山頂の標識の前で記念撮影していました。ツアーは東京から出発しとの事ですが、話を聞くといろいろな所の人が参加しているようでした。

下山開始

晴れ上がる気配もないので下山する事にしました。ちょっとトムラウシを連想させる岩のゴロゴロした所を戻ります。


9:58 肩に戻る
薬師岳

天気予報では9時から晴れだったのですが、ほとんど晴れ間はありません。それでも、少しガスが切れて薬師岳や立山が見えました。


日光も当たるようになったので
日焼け止めを塗りましたが
必要ないような天気でした。
飛越新道分岐
普通、頂上に登った後は、ほとんど下りだけなのですが、ここは何回も登り下りを繰り返し嫌になりますが、戻るしかありません。
途中でもう一つの団体さんに出会いました。ガイドの人から団体に逢いましたかと聞かれたので、「頂上を出発する前に来ました。」と言ったら「1時間位前ですか」と聞かれ、時計をみて30分位前ですと答えたら驚いていました。

北ノ俣岳を越えて下りになってスイスイ調子良く歩いていたら、飛越新道の分岐を通り過ぎてしまいましたが、僅かのロスで済みました。
ここから避難小屋分岐までの長い下りの途中で、50代の登山者夫婦が休憩していたので声を掛けると、この登りがきつかったので諦めて昼食にしたとの事。北ノ俣岳へは行けるのではないですかと言いましたが、ご主人はビールを飲んでしまって終戦モードでした。

下山

ちょっと印象に残る木の門を通ります。


泥濘の悪路と評判の登山道ですが
かなり整備もされています。
旧道分岐
分岐の所に、打保のほうは草刈りがされていないので注意するように書いてありました。恐らく数年中には廃道になると思われます。
写真の手前側が寺地山方面、左が打保方面、右が飛越新道方面です。
このごろになってようやく青空が拡がって来ましたが手遅れでした。暑い中、またしてもいやらしい登りが数回控えているのでした。そういう事もあってか、ここからは近いと思っていたのですが案外遠く感じました。
駐車場が見えて来たらもうすぐですが、最後はきつい下りです。慎重に下りましょう。

登山口に戻る

13:55 登山口に戻りました。一応2時目標だったのでピッタリでした。


登山口に戻ると車は全部で5台ありました。
国道に戻った所のコンビニでアイスクリームを買った以外はノンストップで、天女のもとに戻りました。

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