超絶おバカ山行 鷲羽岳・水晶岳日帰りその1

06.07.22

鷲羽岳(2,924m)水晶岳(2,986m)

錆鉄人は2003年に天女と一緒に鷲羽岳と水晶岳に登っていますが
「百名山全山日帰り」というお馬鹿なアイデアを思いついた錆鉄人は
全百名山の中でもっとも山行時間のかかるこの山の日帰りの為に
いろいろと研究を重ねていたのでした。

新穂高から鏡平小屋・双六小屋・三俣小屋経由で鷲羽岳・水晶岳に登り
登った後は逆向きに戻って来るという超ロングコースです。
コースタイム:24時間20分
往復の距離:45km    
累計標高差:3,500m  
最近のガイドブックならは双六小屋で1泊し、翌日三俣山荘まで、
3日目に鷲羽・水晶を登り三俣山荘に戻り、
4日目に新穂高に戻る4日間コースとして設定されると思われます。
(実際は縦走での紹介になると思われますが・・・)
健脚の人でも2泊3日が一般的なコースです。

しかるに
錆鉄人は疲れや体の痛みを感じるセンサーが故障するのと同時に
頭のほうも壊れてしまったようで
このお馬鹿な日帰りを嬉々として計画したのでした。

すでに53歳の錆鉄人にとって
現在の体力が来年も維持出来るかどうか一抹の不安もあり
最難関のこのコースを最優先で実施しようと考えていたのでした。



どうやって行くの?
鷲羽・水晶への登山口は主に3つあり、1つ目は有名な裏銀座コースのスタート地点としても高瀬ダム、2つ目はそのゴール地点に近い新穂高、3つ目は錆鉄人夫婦が2003年に登った時の折立であります。
水晶岳にだけ登るのなら高瀬ダムからが最も近く、鷲羽・水晶の2つに登る場合は、高瀬ダムからも新穂高からもほとんど変わらないコースタイムです。しかし、高瀬ダムのほうは登山口までの通行規制があり、タクシーの出発時刻が制限されているので山行のスタート時間が遅くなってしまうのでした。(歩けば済むのですが・・・)さらにそこまで行くには、高速道路を糸魚川ICで下りてからも100km以上走行する必要があり、新穂高と比べると往復200km以上遠くガソリン代・高速代金が余分にかかり、到着までの時間もかかるという「三重苦」状態となるのでした。従って、錆鉄人ならずとも選択は
新穂高となると思います。
ちなみに折立からの日帰りは最初から検討していません。やはり有峰林道の通行規制があり、さらに2003年の登山でそのコースの長さには十分辟易していたからでもあります。

【新穂高まで】
会社−30km/45分−大野−48km/1時間−油坂IC−52km/40分−飛騨清見IC−55km/1時間15分−平湯−17km/30分−新穂高市営無料駐車場
合計202km/4時間10分で駐車場に到着する予定でした。

実際には5時35分会社を出発、途中高山市街の前のコンビニで食料を買い込んだ以外はノンストップで走行(いつも通り走りながら夕食のパンとおにぎりを食べました。)して、新穂高の市営無料駐車場に21時30分過ぎに到着しました。朝、凍らせてクーラーバックに詰めてきた缶ビール(さらにビニール袋に包んで4本入れておきましたが、一部はまだ凍っていました)を2本飲んで速攻で寝ました。
いつも通り2時間位で1回目の目が覚め(車が入ってきた為だったようにも思いますが)浅い眠りを繰り返し、薄明るくなったような気がして時計を確認したのが2時45分。腕時計のアラームは3時45分セットだったのでもう少し寝ようと思いましたが、興奮の為かもう眠れず、3時15分ごろから出発の準備にとりかかりました。
間もなく、暗闇の中をヘッドランプを着けて登山者が1名出発して行きました。
コースタイムとコースの状況・天気予報
(山と渓谷社の登山便利帳06年版より)
新穂高(1,090m)−1:15−
わさび沢小屋(1,400m)−3:20−
鏡平小屋(2,280m)−2:10−
双六小屋(2,540m)−3:05−
三俣蓮華小屋(2,545m)−1:20−
鷲羽岳(2,924m)−2:30−
水晶岳(2,986m)−1:20−
岩苔乗越(2,400m)−1:40−
三俣蓮華小屋−4:20−
鏡平小屋−2:40−
わさび沢小屋−1:15−
新穂高
合計25時間20分
距離45km延べ標高差は3,500mはあろうかという超ロングコースではありますが、小池新道の途中から三俣山荘までの区間はまだ歩いたことがないので、行く前に距離の長さを実感出来ない所が良いのでありました。

さて、このロングコースへの挑戦なので、錆鉄人としては出来るだけ日の長い7月半ばまでに行きたいと考えていました。しかるに、ヤマケイの山岳情報をリサーチしていましたが、今年は残雪が非常に多く三俣山荘の情報では、
07/12(水)ガス。双六岳からの中道の雪を切り、通行可。双六岳経由は現在残雪が多いので通行止め。また、岩苔乗越から雲ノ平にはいけますが、源流経由雲ノ平は雪壁のため通行止め。烏帽子岳からは野口五郎岳付近に残雪があります。雲ノ平は一面真っ白です。
1週間前は中道の雪切り作業をしていると出ていましたが、いずれにしても雪が多く、延期することにしました。
(実は3連休には娘夫婦に帰っておいでと呼びかけていて、子連れで土曜日に来て月曜日に帰るのでは楽が無いから行かないとの事でしたが、クバが金曜日休みを取って3日泊まれるようになったので帰ってくることになったので、登山を延期にしたのであって、帰ってこないなら決行していたと思います。)

という事で、天気予報を毎日リサーチしていましたが、20日夜の予報で高山は午前9時以降は晴れマークが夜まで続いていたので、車中泊と登山の準備をして会社に出かけ、22日昼の予報でも変わりが無い事を確認して決行することを決めました。
装備について
錆鉄人は登山で一番大切な装備は、「決して諦めないで歩き続ける強い意志と、それに答えられる頑強な体力」であると思っています。(錆鉄人の超絶おバカ登山の法則 その1)
残念ながら、錆鉄人は生憎とそれらを十分には持ち合わせていませんので、諦めそうになった時でも頑張れるように、食料とサプリメント(=ビール/前日夜用)の調達、登山の疲労を軽減する為の装備の軽量化(錆鉄人の超絶おバカ登山の法則 その2)に心血を注ぎました。
ちなみにネットで検索すると「山岳マラソン」という錆鉄人を上回る「お馬鹿な事をする人」がいて、ほとんど装備を持たずに山を走り回っているようです。(天候が安定している日を選べば、それなりの経験を積めば実行可能で、悪天候でも決行するツアー登山よりもよほど健全であると思います。)
しかしながら、錆鉄人はあくまでも「登山」をするつもりであり(というよりも、根性がないので登りは走れない)それなりの登山装備を担いで(途中で駄目な時には小屋の泊まる為の装備や予備の食料も持って)このルートを日帰りしたいと考えていました。
ガイドブックの登山装備に対して、錆鉄人は大いに異論を唱えているのですが、実際数時間の距離に山小屋がある百名山登山で、本当に非常食料やツェルトなどが必要なのでしょうか
確かに足を捻挫して動けなく場合などアクシデントによって行動不能となる可能性は「0」ではありません。そのような場合でも登山シーズンには多くの登山者がいるので、助けてくれたり救助隊を呼んでくれたりするので、実際にそれらの装備が必要となる事はないと思います。つまり、それらの装備はあると安心ではありますが、必要となるシチュエーションは1万回登山をしても1回もないと思われます。ビル街を歩いていると何かが落ちて来て頭に当たるかもしれないからヘルメットをかぶって歩くというのと同じ位に必要性のない事ではないでしょうか。
しかしながら、世の中には毎日暴飲暴食でタバコをふかし、体力も気力もなしに厚い皮下脂肪の鎧をまとい、息も絶え絶えに登山する人種もいるので、何でもない所で捻挫・転落・動けなくなるという事もあるようです

という事で、装備は厳選しました。
【装備】
長袖ボタンシャツ:0.6kg
登山ズボン:0.3kg(必要ないが小屋泊まりの場合を考え携行)
食料(パン・おにぎり2食分):0.7kg
非常食(行動食兼用):0.5kg
雨具(防寒具兼用):0.7kg
非常用装備(エマージェンシーシート等):0.3kg
水(予備500mL含む):1.1kg
ザック(錆鉄人の持っている中では最軽量)0.7kg
ストック2本:0.8kg
ヘッドライト:0.2kg
財布・鍵:0.2kg
タオル・チリ紙・熊避け鈴・日焼止:032kg
デジカメ(ケース込):0.2kg
合計:6.6kg


【服装】
短パン(いつものマラソン用):0.1kg
Tシャツ(いつものマラソン用):0.2kg
帽子:0.1kg
腕時計(PROTREK!):70g
数珠:10g(天女の加護があります!)
靴下:200g
登山靴:0.8kg
体重:72kg(21日風呂上り時に計測)
装備の軽量化よりも体重の軽量化のほうが有効で、かつ大きな可能性がある事は勿論ではありますが・・・。
一般的な登山の場合、体重1kg当り1時間で8Kカロリーのエネルギーを消費すると言われているので、このコースでは、14,600Kカロリーという膨大なエネルギーを必要とし、これらはとても食事から補う事は出来ません。つまり、錆鉄人の脂肪はそのための重要なエネルギー貯蔵庫なのでありました?
登山とエネルギー消費
上記のように、一般的な登山の場合、体重1kg当り1時間で8Kカロリーのエネルギーを消費すると言われています。
一方、マラソンの場合は体重1kg当り1時間で12Kカロリー(苦しくないニコニコペース)と言われていますが、一般的にマラソンの場合はタイムを意識してそれなりの負荷で走っているのに対して、登山は苦しくないペースで歩くという差がありますから、この消費エネルギーの差も納得できると思います。
ところで、マラソンの場合は早く走っても遅く走っても1km当りの消費エネルギーはほとんど同じだと言われています。
これを登山に当てはめると、コースタイムの半分で登山をする場合は、時間当りでは2倍のエネルギー消費をしている事になります。つまり2倍の熱を発散しているわけで、一般の登山者が防寒具を着ているような時でも、汗だくになってしまうという事です。

という事で、錆鉄人は登山マラソンをしている訳ではありませんが、大量の発熱によって暑いので短パン・Tシャツで登山をしているのである事をご理解下さい。
この発熱は余程の風雨か長時間の停滞をしない限り持続するので、錆鉄人は滅多に長袖シャツを着ないし、ましてや雨が降っても雨具を着ることがありません。短パン・Tシャツでも汗だく・ベタベタなのですから、どんな高性能のゴアテックスが開発されても、着れば体温上昇を伴うのでさらにベタベタになってしまうのは間違いありません。
逆に言えば大量の発熱を伴うだけに、夏場のヒーヒーハーハー登山は熱中症になる危険性が高く、実施が困難なのでした。
対策としては、
1.荷物の軽量化
2.発汗対応の服装
3.早朝出発
による涼しい時間帯で高度をかせぐ
4.涼しい日に実行する
事などが考えられます。
無謀登山?
無謀登山とは、遭難した場合に必ず言われる言葉です。

夏山でも、悪天候なのに休みの関係で無理に登山をすれば、装備が不十分なために遭難して疲労凍死する場合もあります。
昨今の中高年の百名山ブームで、体力・技量も判断力もないのに百名山ツアーに参加して、ちょっとしたアクシデントがツアー全体に作用して遭難する例も多発しています。ツアーは一行の技量・体力もマチマチなのに引率者は少なく、スケジョールの関係で悪天候が予想されても決行する事が多いのですから、常に遭難と背中合わせの無謀登山と言わざるを得ません。グループ登山の場合は、自分だけ独自の行動をする事は出来ず、弱い人に引きずられて一緒に遭難してしまう事にもなります。
勿論、何も起こらなければ何も言われません。かといって、装備をたくさん持てばそれだけ重量がかさみ、行動に時間がかかるので、遭難の誘引となる可能性もあります。

という事で、このコースの日帰りは
●完璧に無謀登山の範疇
コースタイム12時間の山を日帰りする場合でも、何かあれば無謀のそしりを免れない所なのに、コースタイム24時間20分です。
登山の教科書には1時間歩いたら10分の休憩を取りましょうと書いてあるので、さらに4時間プラスして往復28時間20分もかかるコースという事になります。(一般的には食事の時間は30分以上かけて休憩するので、実際にはもっと長時間の行動になります。)

●錆鉄人の場合
しかしながら、錆鉄人は6月3日に越後駒ケ岳の駒の湯からの往復と巻機山の桜坂駐車場からの往復、合計のコースタイム21時間30分と2つの登山口の間の移動約2時間、合計の標高差3,000mを余裕を持って(巻機山の登りはヘロヘロでしたが・・・)こなしていますので、それほど無謀な計画ではないと思いました。
問題は暑さですが、巻機山と違って今度は3,000m近い稜線歩きなので、6月初めとの気温差は標高差が埋めてくれるはずだと考えました。

【誤算】
1.異常な残雪の影響
夥しい数の雪渓があり、先頭切って歩く錆鉄人はルートファインディングに時間がかかったばかりではなく、通行速度も低下したので、計画よりも時間がかかりました。
2.体調不良
前日買ったブルーベリーヨーグルト500mLを、出発前に勿体ないと思って全部飲んだのが原因と思います。生温いヨーグルトを口に含んだ時、マズイなと思ったのですが・・・。
出発する前から既に気持ちが悪く、吐き気を堪えながら登っていましたが、鏡平への途中で吐いてしまいました。その後も気持ちが悪く、双六小屋でおにぎりを1個食べた時も気持ちが悪くなったので、結局水晶岳に登って三俣山荘に戻るまでほとんど何も食べませんでした。
登山は頭で登る
錆鉄人はロングコースの踏破に必要なものは、体力・気力は勿論でありますが、最も重要なものは「頭」であると考えています。(錆鉄人の超絶おバカ登山の法則 その3)
コースの全貌を描き、自分の持っている全ての体力を効果的に使って踏破するために、無駄のないエネルギー消費・筋力の消費を行うように自分をコントロールための「脳力」であります。
しかしながら、実はこれが錆鉄人の一番苦手な部分でありました。「後先を考えずにムチャクチャぶっ飛ばし、ヒーヒーハーハーで頑張って行ける所まで行く(行って潰れる)」というのが錆鉄人の典型的なスタイルですから。

しかしながら、今回はこの戦法では無理があると考えました。(錆鉄人もそれなりに進化しているのであります。)
このコースを制覇するために「負荷の平均化」を計って行こうと決めました。基本的には「登りは今までよりはややスピードを落として負荷を下げ」、そのセーブした分は平坦なところや下り(の安全な所)を小走りに移動して負荷を上げるという事であります。

【実践編】
出だしから気持ちが悪くスピードは上がらず、さらに途中で吐いてヘロヘロだったので、計画どころではありませんでした。
出発
という事で、長い長い前置きはこの辺で終わり、実際の山行の記録に入ります。

3時15分頃から準備に取り掛かったのは正解で、それでも実際に車の鍵をかけて出発したのは、4時5分程前になってしまいました。一番の原因は食欲が出なかった事で、ザルソバが不味くて無理矢理詰め込み、生温いブルーベリーヨーグルトは気持ち悪い位まずいと思いながらも、勿体ないので全部飲んだのでした。
計画通り3時45分のアラームで起きていたら、かなり時間をロスしたものと思われます。逆に言えば、もっと短時間で出発出来るように準備しておく事が重要だと思います。

ヘッドランプを点けて駐車場から林の中(至る所で水が流れていました)を突っ切って、ロープウェーの有料駐車場の下で道路に出て、まずは駐車場横のトイレに行きます。「山で排泄をしない為に日帰りをする」という事を標榜している錆鉄人には重要な儀式です。
駐車場向かいの建物には派出所があり、パトカーが駐車していて、電光掲示板が登山者に注意を呼びかけていました。
トイレから出て顔を洗いました。ここは手洗いの蛇口からお湯が出るのですが、温泉で暖めているのでしょうか?

4:05 新穂高の駐車場を出発。
長〜い長〜い山行の始まり
です。
笠ヶ岳登山口 4:40
新穂高の駐車場から橋を渡り少し進むと森の中の急な上りが続き、車止めのゲートを越えしばらくすると傾斜がゆるやかな川沿いの林道となります。
山形のホームセンターで買った熊避け鈴は2つセットのものだったのですが、今回は軽量化の為に1つを切り離してきましたが、チリンチリンと良く鳴ります。しかし、川沿いではゴウゴウと水音が高く、とても熊の耳に聞こえるとは思えません。いつでも戦えるようにストックを身構えながら進みました。
かつてはマラソンランナーでもあった錆鉄人は、カーブはアウト・イン・アウトで最短距離を進むように癖がついているのですが、回った所でクマとバッタリ出会うのが怖かったので、外側をそろそろと回りました。
途中に橋があるのですが、今回も間違えて渡ってしまいました。(標識はありません)道なりに進む事を忘れないようにしましょう。
それからしばらくして本当の橋を渡って右岸を歩きだした頃、ヘッドランプを消しました。(橋を間違った頃からなくても良いような明るさでしたが、若干でも熊避け効果があるかなと思って点けていました。)
昔、笠ヶ岳に登ろうとして古い地図だったので間違えて入った場所を通り過ぎて数百メートル歩くと、笠新道入口です。登山口の脇に黒い物体が立っていたので一瞬たじろぎましたが、熊ではなく登山者でした。きっと30分程先に駐車場を出た人だろうと思いました。どちらまで?と聞くと、笠ヶ岳と答えました。自分は水晶までと言いましたが、日帰りするとは言いませんでした。
水を飲んですぐに出発しました。前はイオウ臭いと思っていたのですが、今回はあまり感じませんでした。


ストックの上にホースから水が出ているのですが
わさび平小屋
笠新道登山口からはほんのわずかで、4:49 わさび平小屋に到着です。 わさび平小屋は静まり返っていて、外には誰一人もいません。早立ちを計画するような人なら、新穂高からこんなに近い小屋に泊まるはずがありません。

写真を撮っただけで通過しました。本当はここで、ここまでの所要時間とコースタイムを比較し、スピードを調整するつもりでしたが、チェックポイント毎の行程表を書いた紙を車に忘れてきていたので出来ませんでした。


何と林道に雪渓が!
暗い間は熊の恐怖で忘れていましたが、明るくなって少し安心したら胃がムカムカしてきました。しかしながら、今までの経験では下痢気味の時でも歩いているうちに良くなってきたので、そのうちに治るだろうと思って歩いていました。
林道は川のように水が流れている所もあり、さらに進むと前方を大きな雪渓が遮っていて、前方にも林道が見えません。
何処かで道を間違えたのかと一瞬思いましたが、間違えようの無い一本道です。雪渓を登ってみると、右下に林道がありました。
こんな所に雪渓がある位だからこの先大変だぞ!と思いました。


幅30m高さ5m程の雪渓
小池新道
思いがけない雪渓の出現でしたが、5:03小池新道の分岐に到着。以前通った時は橋を渡って向こう岸から回り込んでいましたが、今は正常な橋の手前に戻ったようです。
とはいっても、大雨の影響と雪渓もあって、ルートは不安定に途切れていたので探しながら進みました。

秩父沢

秩父沢は雨の影響もあるのか、水量が多く渡る所を探しましたが、岩の上を水が流れていてとても渡れそうにありませんでした。


それで、30m程上流に上がり、雪渓を渡りました。
秩父小沢
さらに進むと秩父小沢がありましたが、ここは石の上を渡って問題なく通過出来ました。
ここを越えたあたりから、ゴロゴロの石を敷き詰めた登りが急になります。その為か、出発時から気持ちが悪かったのですが、いよいよ吐き気がこみ上げてきました。何度か堪えていたのですが我慢できなくなったので、登山道から少し横へ入って吐きました。
普通は吐けば回復するはずですが(といっても、飲みすぎた時以外に吐いた記憶はありませんが・・・)、我慢しすぎた為に全部吐くことが出来ず、一部が胃を通り過ぎた為ではないかと思いますが、その後もムカムカしていました。

シシウドヶ原
大きな雪渓の横に出ましたが、以前に天女と笠の日帰りをした時、時間があったので鏡池に寄ろうと回り道して、間違って下りた雪渓だと思います。
そこには、直登ルートと「グネグネ道」の表示があったので、迷わず直登ルートに進みましたが、雪が消えてから時間がたっていないためか、ぬかるみに入ったり、踏み跡が分からなかったり難渋しました。上りきった所(といってもそれ程標高差はなかったです)がシシウドヶ原でした。

シシウドヶ原からも石に直登ルートの表示がありましたが、ここまでの直登で懲りたので、標識の→に従って進みました。林の中の雪渓を登ったりしながら進みます。

弱いメガネをはめているので、遠くにテープがあっても見えない錆鉄人は、このような雪渓があるとあちこち歩き回って登山道を探す必要があるのでした。
鏡池・鏡平小屋

写真で見覚えのある池に到着。ガスっていたので期待はしていなかったのですが、やはりガッカリでした。
心眼で鏡池に槍穂の雄姿を写して下さい。絶景です!


6:45
鏡池から1分も歩かずに鏡平小屋です。
花見平
鏡平小屋からは、弓折岳分岐までかなりの登りがあります。
小屋から少し登った所で十数人のグループを追い越しました。少し後に2人組を追い越した直後、分岐があったので、ちょっと休憩しながら2人組を待ちルートを聞きました。するとちょうどその時、目の前のガスが薄くなって、一方にルートが表示されているのが分かりました。彼らはザックを置いて弓折岳に登ると言っていました。
稜線を歩いていたら、雪渓があり、その向こうにお花畑が拡がっていました。写真を撮りながら進んだら「花見平」の標識がありました。(7:28)

双六小屋

稜線から下り始めたら前方に小屋が見えてきました。

7:53 双六小屋に到着。


小屋の前の広場には1つだけベンチが置いてあったので(残りは片付けてありました)そこに座っておにぎりを食べました。いつも買うシーチキンマヨネーズですが、何故か食べられません。1口毎に水を飲みながら何とか食べましたが、また吐きそうな気がしたのでそれ以上食べるのをやめました。
地図が・・・!
研究熱心な錆鉄人は、双六小屋からは三俣山荘への中道と双六岳に登るルートがある事は先刻承知でありました。
しかし、小屋の前の広場には、槍ヶ岳方面への標識はありますが、目指す「中道」への標識がありません。上の写真で右端に写っている赤いものが給水タンクですが、その右から上に登山道があるのが見えます(写真で見える石の露出した部分から上に続く)が、あれが双六岳に登るルートだなとは思いましたが、広場からやや下のほうにも踏み跡が続いているように見え、これが中道ルートかなと思いました。
標識がないので、「ここは地図で確認だ!」とザックから地図を取り出しましたが、何と悪沢・赤石の地図ではありませんか!(先週は椹島から悪沢・赤石の日帰りを計画していたので・・・)
こういう時は小屋の人に聞けばいいだけですが、ちょうどその時小屋の人が出てきたので、三俣山荘へのルートを聞きました。
すると、「そこを登って行くと、やがて巻き道の標識があるが、雪渓がたくさんあるので双六岳に登って稜線を進んだほうがいい。」との事でした。巻き道は通れないのですか?と聞くと、「通れないことはない、通った人もいる。」との事だったので、最初の計画通り(登らない分、少しでも楽が出来るだろうと考えていました)巻き道を進む事にしました。
錆鉄人はほとんどの山の地図を買って持って行きますが、頂上以外で見たことは皆無といって良い程です。「百名山登山に地図はいらない」というと怒られそうなので言いません。しかし、百名山登山の一般ルートで道に迷うような人は、危険過ぎる存在ですから、山登りは諦めたほうが良いと思います。

8:05 双六小屋を出発


かなり標高を上がった所に分岐がありました。
頂上のほうはまだガスっていました。
巻き道

これ「楽」な巻き道ですよね?
巻き道だからといって決して平坦ではなくアップダウンが続き、ぬかるみ、流水、雪渓が行く手を遮るのでした。

(これは振り返った所)
アイゼン無しで雪渓を渡りましたが
この時間はまだ雪が締まっていて滑りました
来し方

登りきって振り返った所。巻き道っていうけど、何処を通ってきたというの?モロ登山じゃないですか!研究し尽くして来たはずの錆鉄人でしたが、「想定外(もう流行りませんね!)」でした。


同じ場所から前方を撮影
三俣蓮華岳?からのすごい雪渓
(雪渓の横を通れました)
三俣峠

9:17
やっと、遂に、とうとう、
巻き道の頂上に到着、三俣峠です。


やっと、遂に、とうとう、
鷲羽岳と水晶岳が姿を現しました!
なんか、鷲羽岳が高く見えないな〜!
という事は、うんと下るという事なのです
三俣山荘
はるか下に懐かしい三俣山荘が見えてきました。下りは石ころの転がった涸れ沢のような所ですが、下のほうは水が流れていました。そこをスコップを持った若い衆が数名登ってきました。
錆鉄人は、巻き道の雪渓に道を作るのかと思いましたが、この時間にスコップしか持たずに行って作業出来るところではありません。
帰りに通ったら、登山道に流れる水を横に流すように石を積んで溝が作られていました。

やがて、ハイマツの中の見覚えのある天場と水場を通って、少し進むと三俣山荘です。

三俣山荘
到着は9:33。
小屋の前のベンチに荷物を置いて給水し、何か食べる事にしました。でも、双六小屋でおにぎりを食べて気持ちが悪くなったので、おにぎりは敬遠。さらに、飯豊山の時の事を思い出してパンも手を出さない事にしました。残りは、ミニソーセーズとミニチーカマ、アーモンドチョコレート、珍味セットと水で戻して食べられるようになる黄な粉餅(非常食)です。
2階に展望食堂があって客が2人ほど話かけてきました。「水晶に登って戻ってこようと思っています。」と言うと、アルバイト?の女性から、「水晶はいい小屋だから泊まってきたら」と言われました。今日の登山者数なら水晶小屋でも狭くないかもしれませんが・・・。
途中で追い越した十数人のグループがここに泊まると言ってたよ」と言うと、予約がなかったようで、「こんな天気だったから、皆さん予定通りに行かないのでしょうね。」と言っていました。
結局、ここではミニソーセージ1本とミニチーカマ1本、アーモンドチョコを5個程食べました。
出発したのは、9時45分頃だろうと思います。

鷲羽岳
前回と違ってザックは軽いのだから、鷲羽の登りなんてどうって事はないと思っていたのですが・・・、足が進みません。でも小屋から見ているかもしれないと思って休まずに登りました。
鷲羽岳は登っている途中で頂上だと思って登ると、その先に本当の頂上が見えますが、ガックリする程遠くではありません。

10:23 鷲羽岳に到着。
槍穂は相変わらずガスが包んでいますが、そのほかはほとんど見渡せる絶景の頂上です。

槍が霞んで見えます!(心眼)



はるかに遠い来し方

笠ヶ岳
双六岳
三俣蓮華岳
鷲羽岳頂上より

三俣蓮華岳から黒部五郎岳


祖父岳の向こうに薬師岳
水晶岳
本日の山行の折り返し地点である水晶岳が、ほとんど同じ高さに聳えています。
しかし、そこへ行くまでには、一旦100m程下ってワリモ岳に登り、さらにもう一度ワリモ岳分岐まで下り、そこからはほぼ平原状の尾根を進み、100m程の登りをこなすと水晶小屋(手前の大石の上の小さな雪渓の上の小さなピークのすぐ横にある)で、その横を1km程の平原状の尾根を進み、岩場を登ったらやっと水晶岳の頂上です。
最初は7時間で到着して6時間で戻る計画でしたが、体調の悪さや登山道のコンディションの悪さに予定より遅い進行だったので、何とかお昼までには水晶岳に到着して暗くなるまでに駐車場に戻ろうと考え直していましたが、どうやらお昼までには到着出来そうだと思えました。

水晶岳へ
10:25
鷲羽岳の頂上から水晶岳を目指して出発しました。
以下は第2部

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