天女冬山にチャレンジ 蓼科山

07.02.24

蓼科山(2,530m)

北八ヶ岳は冬山入門の山と言われているが
すぐ北の蓼科山も険しい所はない。
検索すると冬の間に登っている人も多いようでトレースも期待出来る。

という事で
2月24日・25日天女の貴重な連休を
1日は天使の優貴君に逢いに行き
1日は蓼科山に登らないかと言ったら
天女も運動不足を感じていたのかOKしてくれた。

という事で
一応新雪対策にスノーシューを
氷雪対策に10本爪アイゼンを買い
さらに−10℃以下になるかもしれない車中泊に備えて
モンベルのウルトラライト・スーパーストレッチ・ダウンハガー#2を購入
あとは天気を祈るだけとなったのでありました。


どうやって行くの?
普通は中央高速諏訪南ICで下りて(諏訪湖SAで車中泊して深夜3割引にするのは当然)ビーナスライン経由で行く事になると思いますが、今回は土日のどちらかは横浜に行って、天使の優貴君に逢ってくるという主目的の付録としての山行なので(と言わないと天女が一緒に来てくれません!)すが、やはり山は天気が重要なので、土日のどちらか天気の良い日に登るという事にしたので、場合によっては中央高速を八王子ICで入って逆方向に走る事になるかもしれません。
という事でしたが、21日夜の天気予報で24日は晴れ時々曇り、25日が曇り時々晴れという予報だったので、24日の登ってから横浜に行く事にほぼ決定。(出発前に天気予報を確認して最終決定しますが・・・)


土曜日に登山してから横浜に行けば夕方には着いて、優貴君と丸一日一緒にいられ、クバとも久しぶりにビールを飲めるので、土曜日の天気が良いことを期待していたのでしたが、さすが天女の天通力です。(我が家では何事も天女のおかげなので、神通力とは言わず天通力と呼ぶことにしているのです。)

ところが22日の天気予報では23日にかなりの積雪が予想された為、トレースがなくなるのではないかと危惧を抱いた錆鉄人は登山日をどちらにしようかと再度迷ったのでありましたが、23日夕方の天気予報や道路情報を見る限りでは大した積雪がなかった模様であり、24日に登山する事にしたのでありました。(23日18:30)
蓼科山の冬山としての難易度
【概況】
蓼科山は地勢的に日本海側ではありませんから、冬型の気圧配置でも大雪となる事はないと思われます。しかしながら南アルプス的気候(冬型の場合は晴れる)とまでは行かないのではないかと思い、検索すると近くのピラタス蓼科スキー場の積雪は120cm。ただし、今回の登山口の女神茶屋のコースはほぼ南斜面の為、それ程積雪があるとは思われません。また山に遮られて北風も強くない事が想定されます。
ちなみに夏季の最短登山コースである一の鳥居コース(コースタイム登り1時間40分)は、北側のルートなので積雪が多い事が予想されると共に、登山口まで除雪されているかどうか、除雪されていても走行困難(錆鉄人のステップワゴンは4駆ではない)が想定され、従って入山者も少なくてトレースもない可能性があると思われますので、今回は想定していません。(このコースについては2月10日に挑戦された「みっちゃん」の報告がありましたが、連休初日という事もあってかとレースはなかったとの事です。)
この女神茶屋コースは錆鉄人の知る限りでは蓼科山の冬季のメイン登山コースなので、前日が大荒れ・大雪の天気でない限りトレースは確実にあると思われます。という事でスノーシュー無しでもまずは大丈夫と思われますが、天女がスノーシューにはまるのを期待している錆鉄人でありました。
ちなみに錆鉄人は、リフトで楽をして刹那的にスリルとスピードを味わうスキーが性格的が嫌いなので、スキーをほとんどしない為にスキー下手なので、山スキーをするつもりはありません。(運動神経が鈍いからかも?)

という事で、難易度の考察です。

1.最低気温
  ピラタス蓼科スキー場天気予報で24日午前6時−7℃
  好天時の昼間登山なので体感的には暖かい筈
  ※12月の鳳凰三山縦走よりは容易と思われます
   (但し、風が強い場合には問題)
2.コース・積雪等
  webで検索すると、入山者多くトレース確実
  (2月4日踏み固められてボブスレーコースの様)
  今年2月初でワカン不要
  但し山頂付近はアイゼン使用との事
  雪崩等の危険なし
3.アプローチ道路
  ピラタス・スキー場まで融雪剤散布有る筈
  (錆鉄人の01年スタッドレスでも大丈夫!
     って、来年は買換えます!)
4.駐車場
  10台程度、ただし利用者多く満杯の可能性有
  (錆鉄人は早朝到着予定なので多分大丈夫)
以上を総合すれば、やはり「入門コース」であり、天気さえ良ければ何ら問題はありません。

実際の難易度・状況については後述します。
装備
入門コースといえども冬山、甘く見ては遭難の可能性もあります。(錆鉄人的には有り得ないと思いますが・・・)装備のチェックに余念がありません。(って言うか、これを利用して冬用の装備を揃えようという錆鉄人の作戦なのでありました!)
1.スノーシュー購入(13,650円)
錆鉄人はワカンを持っていますが、天女用として購入。天女占用なら1サイズ小さく安いものもありますが、錆鉄人も使いたいのでTSL225ランドを購入
※21日夜、ワカンが見当たりません。(後片付けが苦手な錆鉄人なのでした)錆鉄人はツボ足の悲壮な決意を固めたのでありました。
2.高級羽毛シュラフ購入(18,086円)
モンベルのウルトラライト・スーパーストレッチダウンハガー#2(-10℃対応!)04年型35%引きを発見し購入。寒さは自分の意思ではコントロール不可能なので、良いシュラフが必要なのです!
3.10本爪アイゼン購入(6,325円)
天女用は簡易アイゼンしかなかったので購入。韓国製ですがこれで十分だと思います。サイズ調整は工具不要のワンタッチで、アイゼンが外に出ていないので初心者でも安全性が高い仕様です。(冬山での滑落事故はアイゼンをスパッツ等に引っ掛けて転倒・滑落というケースがほとんどだと思います。何回か言っていますが、一般登山者が前爪だけ引っ掛けて登山するような厳しい氷壁登山をするべきではありませんので、こういう製品がもっと見直されるべきだと思います。アイゼンを含め高性能な製品を持っている=安全性が高くなる訳では決してないのです。)
(以上「こんなもの買った物」参照)
天女から「もう登山用品は買わないでおきましょうね!」と甘い囁きがありましたが、曖昧に答える錆鉄人でありました。

ゆっくり登っても往復5時間程度と想定しているので、ザックは25L(スノーシューは外付け)にしました。
【ザックの中身】
雨具:出発時は着用予定
セーター:着用するかどうかは状況次第
アイゼン:頂上付近では装着するかも
エマージェンシーシート:保険みたいなものです
食料:コンビニでパン・餅購入予定
非常食:チョコその他
飲料水:諏訪湖SAでテルモス(30年物ですが保温力抜群)にお茶を入れる予定。他にアクエ(水は凍結の可能性が大きい)
ホッカイロ:数個
【具足】
登山靴:普通の軽登山靴に靴下2枚
スパッツ:登山靴への侵入防止で今回は装着予定
手袋:シンサレート
目出帽:ちゃんと持っているのです!
下着:ブレスサーモ長袖等(綿製品は着ない)
靴下:2枚着用
ストック:ダブル
サングラス・日焼け止め:必需品
ピッケル→不要です。(何処かでも書いていますが、ピッケルが本当に必要となる局面の山に一般人が登るべきではないのです。)我が家にはストックが3本しかないので持って行こうかと思いましたが、スキーストックにします。
いざ出発!
という事で錆鉄人のワカンが見当たらず、準備万端でもなかったのですが、積雪も少なかったようだし、万一膝までのツボ足でも蓼科程度なら錆鉄人的には問題ないと考え自宅を19時15分頃出発。(膝上以上の場合は、ルートが分からないという別の問題が出そうなので恐らく登りません。)
例によってトイレ休憩の往復も走って短時間に済ませ、23時頃予定していた諏訪湖SAに到着。缶チューハイを飲んでアラームを5時にセットして眠りました。寝袋のサイドジッパーは開いたまま足を突っ込んだ所で、布団を持ってくる事を忘れた事に気が付きましたが、錆鉄人のシュラフはモンベルのウルトラライト・ダウンハガー#2(-4℃対応)であり、掛け毛布1枚でも寒くはありませんでした。途中2回ほど目覚めましたがすぐに寝られ快眠。
3回目に腕時計を見ると5時3分。アラームは?と思って調べると薄暗がりでセットしたので、午後5時にセットしていたのが判明。でも、ちゃんと目覚めるのが錆鉄人の偉大な所。(天女は起すまで寝ていました)トイレに行って肉うどん(550円)を食べてすぐに出発、と言いたい所でしたが、フロントガラスの内側が凍っていて視界がないので、エンジンが温まって溶けるのを待って出発。


ビーナスラインからの蓼科山
駐車場
錆鉄人は登山よりも、登山口の女神茶屋まで走れるかどうかという事に不安を抱いていました。何せ錆鉄人のステップワゴンは単なるFFでしかもスタッドレスは2001年製造で走行距離約5万kmという代物(まだスリップサインは出ていません)でしたから。融雪剤を積んで行こうかと思っていた位でしたが、娘夫婦への荷物(名水の入ったペットボトルだけでも約20本・・・)で隙間もありません。運転テクニックでカバーするしかありません。でも、万が一を考えて角スコップを積む慎重な錆鉄人でありました。

ところが、諏訪ICを下りて一般道を走っても道路は乾いていて雪が降った形跡すらありません。しかし、山に近づけば凍結しているのではないかと思っていましたが、スイスイ走れてしまいます。ピラタススキー場の入口を過ぎても道路は乾いた状態で、遂に登山口に到着。(上の写真は駐車場入口から来た方向を写したものです)


駐車場には奥のジムニーが1台停まっているだけでしたが、積雪は2〜3cm、これなら錆鉄人の老朽スタッドレスでも大丈夫です。アクセルワークに気を使ってスリップしないように進み、バックで手前に駐車しました。それから登山の準備です。錆鉄人はリアゲートを開けて登山靴を天女に渡し、さらにストックを車の前に運びました。家で着るものは着て出発したので準備も早いはずですが、天女は時間が掛かっています。まさか普段した事のないお化粧でもしているのでしょうか?しかし、今日は急ぐことはありません。
そのうちに1台車が到着。
最低温度を記録!
駐車場に到着時には車外温度計が-8℃を記録していたので、しっかり証拠写真を撮りました。ちなみにトリップの365.7kmというのは自宅からの距離です。一旦キーをOFFにしてから再度ONにして撮影したので燃料計は上がる途中だったかもしれません。
この温度計は道路に設置されている温度計より、いつも2〜3℃高い温度を表示しているので、実際は-10℃といった所でしょうか。今までの記録は-3℃位だったと思うので感激です。
といっても、何故かそれほど寒くは感じません。錆鉄人はブレスサーモのブリーフにホームセンターで買った980円のタイツ、夏用の登山ズボン、上はブレスサーモの長袖シャツにウールのボタンシャツ、一応ゴアの雨具を着ました。
天女の準備も出来たので、お隣さんに会釈をして出発。登山口まで50mほど道路を戻ります。


-8℃でも車は壊れません
登山口 1,725m

登山記録を見ると「女神茶屋」と書いてありますが、実際は「女の神茶屋」となっていました。(知人の話では夏でも営業していないのではないかとの事ですが、確認ねがいます。)
この「女の神茶屋」の道路の反対側が蓼科山登山口です。


    「天女ゲリラ」登山口にて
天女も錆鉄人と比べると、雨具の下にセーターを1枚余分に着ているだけです。目出帽が良く似合っています?
駐車場に入る前に、この登山口から続くトレースが見えたので、スノーシューは車に置いてきました。6:40出発。
アプローチ

登山口から少し歩くとこんな木の下を通ります。(注意:写真は2枚共帰りに撮影したものです)


トレースの先にあるのは、どう見ても蓼科山ではありません。「あれっ?違ったかな。」と焦る錆鉄人でしたが、でしたが、ここまで分岐などなかったのでそのまま進んでみることにしました。
林の中へ
まもなくトレースは左にそれて林の中へ。こっちなら蓼科山に間違いないだろうと思いますが、林の向こうに山頂は見えません。
積雪は不明ですがトレースというよりは踏み固められた雪道という所でしょうか、雪を踏み抜いて足を取られるという事もありません。
今日は汗をかかないようにという事で、天女もゆっくり歩いています。やがて岩が露出しているやや急な登りとなりました。天女は暑くなったと言って目出帽と雨具を脱いだので、錆鉄人も雨具を脱ぎましたが、寒くはありませんでした。

アイゼン装着
どうってことはない登りですが、途中で「アイゼンを着ける?」と聞くと「ウン」というので、少し平らな場所がある所で装着しました。例の韓国製10本爪です。
サイズの調整は金属プレートで抑える構造なので、事前の調整も不要です。片方を嵌めてやって、もう片方は天女に自分で装着するように言いましたが、手間取っているので結局錆鉄人が手袋を脱いでテープを締めてやりました。「ありがとう」というので「何て優しいダンナでしょう!」といつもの決まり文句で洗脳する錆鉄人でした。

10本爪を装着して山女気分の天女


天女のストックワークは改善の余地有りです。

天女も楽だわと言って歩き出しましたが
右足のアイゼンが少し歩くと外れてしまいました。
手袋を脱いでテープを締め直す
優しい錆鉄人でありました。
2,120m地点

一旦平坦な場所に出ました。
標高2,120mの標識が立っていました。


踏み込まれた雪道歩きです
2,120m地点
平坦な場所から10分近く進むと、一旦わずかに下る場所に出て、そこからは頂上が見えていました。絶好の青空に心が躍ります。この辺りが一番積雪が多かったかもしれません。

ここで小休憩したのですが、なんと!アクエリアスを入れたのにペットボトルが凍ってきていて、かろうじて飲める状況でした。
追いつかれる!
天女のアイゼンは快調かと思いきや、その後も2回、3回と外れるので足を浮かせて見ると、調整する部分が一杯になっていなくて、前の部分が遊んでいたことが判明。調整部分を押し込んでテープを締め直して、これでやっとOKと出発すると、2人の登山者が迫ってきていました。
アイゼンを着けた天女は慎重に登っているので、追いつかて道を譲りましたが、その時「錆鉄人さんですか?」と聞かれてビックリ!
「ハイ」と言うと
「天女さんですね。」
「それが韓国製のアイゼンですね。」
錆鉄人のホームページで、今日登ると書いて出発したのをご覧になって、登って来られたとの事。こんな経験は初めてだったので2人とも「大感激」でした。
出発は7時15分だったそうです。錆鉄人と天女に追いつく人は滅多にいませんが、岩という天女の苦手なシチュエーションに初めての10本爪、さらに久しぶりの登山という事で足も上がらないような感じでした。
それまでトレースがあってもちょっと曲がっていると、立ち止まってトレースを探していた天女でしたがが、アイゼンもずれなくなったので2人の後に着いて楽チン登山の天女でした。


この辺りは写真の印象とは違って
本当は結構な斜面です
頂上に近づく
やがて木がなくなり、岩が露出した斜面に出ました。頂上が真近になっている事が分かります。登山道は数メートル置きにポールが立っていて迷う心配はありません。ここで天女が「ああ苦しい」と言って立ち止まりました。こんなゆっくりで何で苦しいのかなと思うしかない錆鉄人でありましたが、天女が動き出すのを優しく待っていました。
エビのシッポ
やがて行く手に小屋が見えたので「あれ?」と思う錆鉄人でありました。(一の鳥居ルートの時、小屋経由で頂上に着いたので)2人が上下に分かれた足跡を着けて登っていましたが、実際の登山道は上で、下の足跡がこのエビのシッポに向かっていると知って歩いた訳ではないと思います。

足跡は小屋の少し前で左に曲がっていました。
いよいよ頂上です!
ここまで錆鉄人的にはアイゼンが必要と思う所はなかったので、ノーアイゼンで登って来ました。

  →蓼科山その2に続く


小屋は丁度の向こうに隠れています

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