湯殿山仙人沢から往復 月山
息絶え身凍えて頂上に至れば、日没して月あらはる。
笹を敷き篠を枕として、臥して明くるを待つ。
日出でて雲消ゆれば、湯殿にくだる

(奥の細道より)


07.08.12

月山(2,840m)

月山の登山というと
姥沢からの往復が一番多く
次は月山8合目からの往復、あるいは姥沢へ下りるルートで
湯殿山から登ったという山行記はほとんどありません。

出羽三山の正式な参拝順は
羽黒山・月山・湯殿山ということなので
その順で回りたいという思いもあって
早朝に湯殿山仙人沢駐車場を出発し
月山登拝後、戻って湯殿山にお参りする事にしました。

本当のところは
月山8合目駐車場へのアクセス道路の通行難と
1泊2日でたくさんのやりたい事があったからでもありました。
(今思えば、初日に月山も登ってしまう手もあったのですが・・・)


どうやって行くの?
問題は湯殿山有料道路です。
この有料道路は庄内観光さんが管理しているそうなのですが、どこにも通行可能時間に関して表示がありません。Webで湯殿山(有料道路)に関して検索しても、ほとんど通行時間帯にあkんしての記述はありません。
湯殿さんの参拝時間は午後5時までなので、4時半なら入場可能だろうと思って行きましたが、4時20分にはゲートが閉じられていたのでした。(下山方向のゲートは開いていました。)

【湯殿山有料道路の通行に関する現状】
基本的には午後4時頃には入口が閉じられ、翌朝8時頃まではチェーンが掛けられているようです。入口には料金所の建物がありますが、下山者の通行が終わる午後5時半頃でいなくなると思われます。
しかしながら、登山者に関しては時間外の通行を黙認しているようで、チェーンを自分で外して入る事が出来ます。(その場でチェーンを戻して下さい)登山者用駐車場に駐車して登山をしていると、係の人が「詰所で通行料を払ってください」という紙をワイパーにはさみますので、下山時に支払えば良いようです。
今回、我々は通行料を払って車中泊しましたが、登山時に通行料の領収書を見える所に出しておかなかったので、注意書きが挟んであり、領収書を持ってその注意書きを返しに行きました。
という事で、お金を払わずにそのまま出たらどうなるかは分りません。おそらく通行可能だろうとは思いますが、必ずやバチが当たると思います!また、そういう事が度重なると、取り外せねいチェーンに替えられて、登山者が夜間通行が出来なくなる恐れがありますので、必ず料金を支払って出て下さい。400円です。
登山者用駐車場
朝3時のPROTEKのアラームを鳴らし、トイレに行ってから登山者用駐車場に移動しました。勿論、1台の車もありません。
登山の用意をして、ヘッドランプを点けて3:35駐車場を出発。大鳥居の下で写真を撮りましたが、勿論巨大な大鳥居は遠くて全く写っていませんでした。バスの走る舗装された道路を15分程歩くと、いよいよ湯殿山の神域に到着。建物の左側、注連縄の下を通って一旦少し下り、橋を渡りました。
そこに「←月山」と案内があったので、川の堤防を歩いて行きました。堤防には大きなハタキのような物が並んでいたので、おかしいとは思ったのですが、少し進むと向こうに道のようなものがあったので引き返しました。
登山道は川沿いを少し進み、右に曲がり急勾配の月光坂に出ます。

ハシゴ場
4:26 最初のハシゴが現れました。(もっと小さなハシゴが下にあったかもしれません)何だ、こんな所、梯子がなくても登れるじゃないかと思いながら立ったまま登りました。この辺りからが月光坂という昔からの難所のようです。(昔は参拝者を驚かせたり修行の為にわざわざ険しい岩場を通ったりしていたので、ここもそれと同じだと思われます。)
写真はかなり暗く写っていますが、実際は歩行には支障がないほどの明るさだったので、ハシゴ場の少し前にヘッドランプは片付けていました。(天女は頭が締め付けられるのが嫌いなので、出来るだけ早く外したがります)

続ハシゴ場
  
やがて急な長いハシゴがあらわれました。
月山は「死者の魂が天に昇る場所」と考えられていたので、
昔の人は天に登っていくような感じがしたのかもしれません。
古い鎖もありましたが、ハシゴが出来る前には滑落して天に登った人も相当いたのではと思われます。



天女「持ち手があって登りやすいわ」
幸せな時代です。
施薬小屋(装束場)

ハシゴ場を超えると、すぐに施薬小屋に到着です。(4:35)コースタイムは1時間半ですが、ちょうど1時間で到着しました。
写真は小屋の前から月山へのルートです。


窓の所に蛇口が見えたので
中を除くと何と人がいてビックリ
小屋からはしばらく平坦な道が続きます。
朝焼けの雲が池に写っている所を撮影したのですが、空の雲は分りませんね。(心眼)

渓流
渓流の先は雪渓です。清々しく霧が立ち上っていました。
登山道
清流の合流地点から、本格的な登りとなりますが、写真のようにあたりには高山植物が咲いていました。
金姥

石段を登ると金姥です。(月山方向を背に撮影)


右は通ってきたルートです。
登山道

小高い丘に石段が続いています。月山はまだ遥かに遠いのですが、さすがに信仰の山だと感心しました。


石畳が続きます
雪渓
ルートの所の雪渓は踏まれてカチカチになっていて、凍っているような感じでした。1週間で消えると思いますが・・・
天女は左に回り込みましたが、錆鉄人は右に回ってカチカチでない雪渓の上を通過しました。

姥沢からの合流地点
雪渓の少し先が登山者がもっとも多いと思われる姥沢ルートからの合流点です。
工事中
ずーっと石畳が続くのかと思いましたが、この登りは自然石を歩き易いように並べた感じでした。急なので雪崩で石段を作ることは出来なかったのではないかと思いました。
この登りの途中で、天女はスタミナ切れを起こしました。「お腹がすいてパワーが出なくなった。」というので、石に腰かけておにぎりとパンを食べました。そして、たちまち元気になる天女でありました。

延命地蔵
急傾斜を登りきった所に延命地蔵が立っていました。
最近建てられたような感じのお地蔵さんでしたが、2人で手を合わせて祈りました。

鍛冶稲荷神社

延命地蔵のすぐ横に鍛冶稲荷神社があります。
ここでも、お祈り(というか、お願い)をするので、すぐには進めません。


右は鍛冶小屋のあった所だと思います。
上の稜線の手前で日焼け止めを塗りましたが、
それまで一度も日光が当たりませんでした。
月山神社
日が当たると同時に月山神社が見えてきました。

月山神社(頂上)

6:25 到着(出発して2時間50分)
この先は神域なので
撮影禁止です。(2年前9月に登った時は、神主様もいなくて小屋は閉められていたので、それとは知らず中でも撮影してしまいました。ゴメンナサイ)
鳥居を入った所に神主様がいらっしゃって、500円を払って
人形(ひとがた)の紙とお守りを貰い、お払いを受けました。その後、説明されたように、人形の紙で頭のてっぺんかた足の指先(登山靴の上からですが)までを撫でて汚れ・災いを人形に移し、足元の小さな池に流しました。これでやっと御参り出来るようになったのでした。
前に進んで
御室(月読命が祭られています)にお参りし、長々とお願いをしました。出口は反時計回りに回るようなので左に回ると、杯で御神酒をくださいましたので、ここでも寸志を奉納しました。さらにその右手には御先祖供養の場所がありました。12cmほどのローソクとお線香1束(直径1cm程、30本位あったでしょうか?)をたった100円でお供え出来るのに感動しました。
入場というか、お祓いに500円必要な事に腹を立てて、御参りしないで下山したという登山者の話をよく聞きますが、京都(だけではありませんが・・・)のお寺ならもっと入場料は高いけれど、お祓いなどしてくれません。それに、この
良心的なローソクとお線香!(これが一番感動した事だったりして・・・)
錆鉄人と天女は、
山頂でこんな経験が出来る所は他にはないので、この時期に登山出来てよかったねと言いました。



その先には社務所(というか、お守りなどを売っている所)があって、天女は例によって長い間物色しましたが、お礼参りに来れないからと言って買いませんでした。出口の付近に神神主さんがいたので、鳥海山はどちらの方向ですかと聞くとあの辺りだけどと教えてくれました。(晴れていたのですが、地平線のほうは空気が濁っていて遠くが見えませんでした。)
前日までは天気が悪くてやっと晴れたとの事でした。(天気予報もそうでしたが・・・)その他、山菜採りの人があの辺りまで(相当奥深い所まで)入ってくるのだとか教えてくれました。(登山口の辺りの山菜採りは禁止と張り紙がありました)

その神主さんに記念写真を撮ってもらいましたが、何と、この月山神社の中に30分もいたのでありました。
山頂小屋

山頂小屋まで戻って食事にしました。普通、小屋の前とか周囲にはベンチがあるのですが、ここは広場もありません。


500mLのスーパードライを買って飲みました。
(岩の上)
トイレ

立派なバイオトイレの建物
使用料は1回100円
でも、なんでこんなに背が高いのだろうか。こんな高い所に材料を運ぶのだから、錆鉄人が雪渓していたら、もっと徹底して合理的な設計をして、材料が半分で済んでいるのではないかと思いました。これも役所と業者の癒着でしょう。

下山

7:21 山頂小屋を出発
まるで砦かお城のような月山神社でした


たおやかな山並みがいい感じでした。
雪渓の手前で
姥沢ルートが分岐しているのが分ります
下山

という事で鍛冶小屋跡からの急な下りです



前に結構速い人がいました
姥沢との分岐
前にいた結構速い人に分岐の所で追いつきましたが、彼は姥沢へと下って行きました。
金姥
天女は結構急いで進みました。それは、頂上の所で話をしたカッコイイお兄さんに追い付いて話をしようとしていたのでした。
彼は、昨日羽黒山から歩いて月山に登り、頂上小屋に泊まり、今日は湯殿山に下りて青春18切符で東京に帰ると言っていましたが、ここで金姥に登っていくではありませんか。新しい登山靴で靴擦れしたと言っていたのでしたが・・・
天女は道を間違えているのではないかと心配していましたが、勿論、道標にしっかり書かれているのでそんなはずはありません。

清流

登る時は川霧が立ち上っていたのですが・・・
でも冷たくていい気持ち!


2つの沢の合流地点
ルートは左側の沢を渡っています。
清流
上の写真のほんの少し下流地点です。天女は「奥入瀬よりもきれい」と言っていました。
田舎に住む錆鉄人と天女は、奥入瀬を見ても、近所にある川とそれほど違いを感じなかったのでありました。勿論、「これがかの有名な奥入瀬か!」というミーハーな気持ちはありましたが。

装束場へ

写真では池がきれいに見えますが、実際はあまりきれいではありませんでした。


装束場の小屋に8:30到着
トイレに行って下山しました
ハシゴ場

ハシゴ場を下る天女
こういう所はとても遅いのですが、安全第一です。


湯殿山への下山
後は湯殿山へ下りていくだけです。
右の写真の中央やや下の白っぽい部分が仙人沢駐車場から湯殿山へのシャトルバスの降車場で、そこかた斜めに延びる道が湯殿山への通路です。勿論、聞くなかれ、語るなかれの湯殿山は、この先のルートでも見える場所はなく、そこに行かなければ見えません。

花の写真も何十枚と撮っているのですが、それは他の人の登山記に譲りましょう。

この後は、「湯殿山」に続きます。

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