ロングコースの日帰り 笠ヶ岳〜槍ヶ岳計画・実行編

2008年7月26日

笠ヶ岳(2,898m)
槍ヶ岳(3,180m)

06年に百名山全山日帰りを達成した後は
錆鉄人的にはこれといった目標もなく、
天女と一緒の山登りや旅行を楽しんできたのですが
冬の間に08年の登山計画を考えていると
百名山全山日帰りを目指していた頃の充実感が懐かしくなってきました。
端的に言えば、ロングコースの日帰りをしたくなってきたのです。

という事は
(1)わざわざ遠い登山口からの日帰りをする      
(2)2つ、3つの山をつなぐ超ロングコースを日帰りする
の2つの方法がありますが、
合理主義者の錆鉄人は(1)のような無駄は嫌いです。
それに対して(2)は
コストパフォーマンスもタイムパフォーマンスも高く
如何にも錆鉄人好みではないですか。
金無し錆鉄人は一度登った遠くの百名山に
たくさんのお金と時間をかけてまで登りに行く余裕はありません。
(天女の初登頂の為なら別ですが・・・)

という事で
「新穂高なら安く行けて、いい山の周回コースが出来る」
という結論に達しコースを研究していたのでありました。
そして登山シーズンのこの時期はこのコースしかないであろう
という結論に達したのでありました。



地 点 新穂高 笠新道
入口
杓子平 稜線分
笠ヶ岳 弓折岳
鞍部
双六
小屋
千丈沢
乗越
槍ヶ岳 槍ヶ岳
山荘
槍平
山荘
新穂高 合計
コースタイム 1:05 4:20 1:20 1:10 3:15 1:20 3:45 2:30 0:30 2:55 3:30 25:40
錆鉄人予想 0:40 2:00 0:40 0:40 1:45 0:40 2:00 1:30 0:30 1:30 2:00 13:55
休 憩 0 0 0 0:20 0 0:15 0 0:15 0:30 0:15 1:35
計画時刻 2:00 2:40 4:40 5:20 6:00 8:05 8:45 11:00 12:30 13:15 15:15 17:30 15:30
実際時刻 2:00 6:05 9:40 12:45
(槍の肩)
大混雑 14:00
出発
15:20 17:28 15:58
休憩 0:10 0:05 0:25 0:05 0:20 0:10
コースタイム 2:40(槍の肩) 1:15 1:58
【計画編】
休憩は合計1時間半程度に抑え、2時出発17時半戻りを想定
笠新道口1300m−杓子平2,450mは標高差1,150mなのでコースタイム4:20は長過ぎると判断
谷間なので暗くなる時間は早いと想定し19時、1時間半の余裕です
(別に暗くなっても、林道だから心配ないのですが・・・)
調子が悪ければ弓折岳鞍部から鏡平・新穂高と下山するエスケープルートを想定
【実行編コース状況など】
天女がザック毎水に一晩漬けておいたので、デジカメ記録が亡くなりました
(そういう訳なので、錆鉄人を撮影頂いた方は送付頂けるとうれしいのですが・・・)
(乾燥させて翌日PCに差し込んだら認識してデータを取り出す事が出来ましたが、翌日はもう×でした)
上記の実際時刻は、記憶しているもののみを忘れないようにと記入しました。
1.笠新道杓子平までは2時間かからなかったと思います。
2.杓子平(花多し)から笠ヶ岳までのコースタイムはちょっときつめと思われます。
3.笠ヶ岳〜弓折岳分岐・双六岳まで残雪多し(雪渓の下降・トラバース)花多し!!
4.西鎌尾根も残雪多くトラバース5〜6回、想定よりアップダウンも多し(ここも花多し)
(しかもヘロヘロだったのに、コースタイム5時間45分を2時間40分は合点が行かない)
5.槍の肩(槍ヶ岳山荘上手)に到着前からガスが時々薄れ始め登頂者で大混雑
6.槍ヶ岳山荘の生ビール1,000円を手に槍をバックに記念撮影してもらったのですが・・・
7.槍ヶ岳山荘から槍平小屋は、途中数組のグループと話しをした時間を引けば実質1時間15分以下
8.槍平山荘以降は足底の痛みで歩行スピード低下(後ほど遅くなる)

このコースを日帰りした記録はこれまで見当たりませんが
この記録を見て後に続く人が現れ、
錆鉄人よりもはるかに早く日帰りを実現すると思います。
今後、錆鉄人のようにロングトレールの日帰りを目指す人が増えると思いますが、
このコースによらず、誰かが実行した記録があれば、
それを目標にして、それ以上早く歩くことは容易だと思います。
そういう記録なり報告を掲示板にアップして頂きたいと思います。
何故やるの?
笠−槍ロングトレールの日帰りは、1日中暑い中をヒーヒーハーハー、普通の人の2倍のペースで2倍の時間を歩くという普通でない登山であります。従って普通の登山者には「病気?」「お馬鹿?」としか思われないのは間違いありません。
しかしながら、錆鉄人は百名山全山日帰りのページでも述べているように「古来、山に登ると言う事は、悟りを開くための命がけの神聖な行為であった」のです。立山や富士山の大衆登山が始まっても、装備も食料も登山知識も現代と比べて遥かに劣るなかで、やはり命がけで登山をしていたのだと思います。
日照りや冷害などの飢饉も頻繁で、生きる事が精一杯の日常の中で、日本人は、山や岩、一木一草にまで神の存在を見い出し、敬い大事にしてきました。
しかるに、現代の登山は一部を除いて単なる娯楽、レジャーでしかなく、ガイドブックのコースタイムは長くなるばかりで、汗さえかかないような登山が普通になってしまったように思えます。
そんな「楽」な登山では、そこに神の存在を感じる事も、自分との対話さえも出来ないと思います。


錆鉄人は、山の神様に敬意を表して、ただひたすら一生懸命に山に登る事が大切だと思っています。勿論、大切な家族があるので命がけの登山は出来ません。明日の仕事や家事を放り出すほど疲労困憊してしまう事も避けなければなりません。
自分の持っている体力・持久力・脳力をチェックしながら、スピードや休憩をコントロールし、ロングトレールを歩き尽す事は、自分との対話なくしては為し得ません(それはある程度の経験も必要に思われます。)が、そこで得られるものは最高の充実感です。

同じ景色、同じ花を見ても、そこに至る経緯で感じるものは違ってくると思います。(恐らくヘリコプターを使えば、数百万円でエベレストの山頂に立つ事が出来ると思いますが、登山者に比べれば感動のレベルは遥かに小さく、単なる観光の1場面でしかなくなると思います。)

だから錆鉄人は、最高の景色、最高の花に出会うために、一生懸命に山に登るのであります。
いつ行くの?
1日は24時間なので、午前0時に出発して24時直前に戻って来ても「日帰り」ではありますが、錆鉄人はリスクを犯しません。夜中や未明に出発しても、「暗くなる前には必ず登山口に戻る」事が安全登山の為には絶対に必要な条件だと思っています。
薄暗くなってくると不安感は倍加し、焦りでミスする可能性が高くなります。単独行でない場合はそこまで不安感は高まらないと思いますが・・・
となると日の長い7〜8月、杓子平は7月前半は雪がある事が多いので、後半にするともろに登山シーズンに重なる事になりますが、幸いにもこのコースは人気ルートではないので、槍ヶ岳山荘までは登山道の渋滞で悩まされるという事はなさそうです。
という事で7月後半がターゲットになるのですが、この時期は例年2週連続で日曜日に地区の奉仕活動(草刈り)が計画されているのです。これだけのハードワークをした翌日、猛暑の中で草刈り作業を半日続けるのは、ものすごく大変そうです。
ところが、今年は林道の草刈りが6日(薬師岳の翌日)にあり、神社の山林や河川の草刈りが20日に実施されることになったので、26日がターゲット日になった訳です。下山後は休憩してのんびり帰れます。場合によっては翌日帰っても良いですから。

【登山するなら土曜日】
新穂高まで行って駐車場の心配がいらない(金無し錆鉄人は有料の駐車場は考えません)という事は重要な要素であり、必然的に金曜日の夜に駐車場に駐車し、翌日未明に登山を開始し、その日のうちに戻って帰るという事になります。
錆鉄人の百名山日帰り登山の鉄則「駐車場の確保は金曜日の夜」に限るであります。日帰りする人は非常に少ないので、土曜日夜は駐車場は満杯の事が多いと思われます。錆鉄人は道路脇に無理矢理駐車するというマナー違反はしたくありません。
大部分の登山者は土日で山行すると思われるので、土曜日の未明に登山開始すれば、先行者も対向者もほとんどいないので、自分のペースで歩く事が出来ると思います。
また、登りが一番エネルギーを使うので、笠新道のきつい登りは涼しい未明に済ませてしまい、その後は涼風の吹く稜線歩きを楽しみながら槍に行きたいと思っています。
ルートに関して
新穂高を起点にした場合、06年に実施した鷲羽・水晶以外に、
(1)笠ヶ岳〜双六山荘〜槍ヶ岳
(2)槍ヶ岳〜奥穂高岳
(3)西穂高〜奥穂高
などが日帰りコースとして想定されますが、(3)は錆鉄人的には未踏の為計算が難しく、また新穂高から歩いてロープウェー上駅(西穂口)までの道があるか不明です。
(2)は登山シーズン中は大キレットが混雑していて通過の時間の見通しが立たないと思われます。
となると、(1)が残ります。
笠を先にするか、槍を先にするかでありますが、未明に登山開始して6時頃には登頂し、次の山頂に向かうと考えると、超人気の槍ヶ岳の場合、6時頃は大混雑している恐れがあります。
急ぎたいのに他人に行く手を遮られてイライラするのは事故の恐れもありますので、「笠に最初に登り、双六山荘経由で西鎌尾根から槍に登り、槍平を下り新穂高に戻る」という行程になるのでした。
笠に登るルートはクリア谷コースもありますが、ここは登山道に草などが覆いかぶさっていると言われているので、未明の登山の場合、登山靴がグチョ濡れとなり、以後の登山の障害になってしまう事が予想されるので、笠新道から登る選択となります。
コースタイムは合計25時間40分、距離41.5km。普通は笠ヶ岳山荘、槍ヶ岳山荘泊まりの2泊3日コースだと思われます。錆鉄人の予想コースタイムは、昔のようにヒーヒーハーハー登れないので、行動14時間+休憩1時間半程度と想定しました。
このコースは白出沢のように遅くまで雪渓が残っていて通過の障害になるという事はないので、例年では7月中旬以降なら実行可能と思われます。(杓子平の残雪には注意が必要です)
※今年は残雪が多く、7月13日で実行も考えていたのですが、槍平の残雪状況を見て断念し、白山のロング周回路で足慣らしをする事にしたのでありました。
 →槍平小屋のHP(日本中で一番頻繁にコースの状況などの情報をアップしてくれている小屋だと思います。感謝!)

長時間登山の場合、水の確保が重要です
【水場】
笠新道入口(無料;やや硫黄臭い)
笠ヶ岳山荘(有料;1リットル150円)
笠ヶ岳天場の水場(雪渓の融雪水)
双六山荘(無料)
槍ヶ岳山荘(有料;1リットル200円?未確認)
  液体燃料(ビール)を補給します
槍平最終水場
槍平小屋(無料)
白出沢小屋跡(無料)


つまり、比較的水には恵まれたコースと言えます。
という事で、笠新道入口の水場はパスし、笠ヶ岳山荘までの飲料水としてペットボトル3本、合計1.5リットル携行。ビール(350ml)を買って登頂し、天場の冷たい水を汲んで補給、双六小屋でも水とビールを補給、槍ヶ岳山荘では生ビールで液体燃料を補給するという計画が立ちました。
水は買う必要がないので、登山者の為に辺境の地で頑張ってくれている小屋の為に、高価なビールを買って経営の足しにしてもらおうといういつもながらの錆鉄人流の気配りであります。決してビールがないとつまらないからとか、ビールに目がないからという理由ではありません。
【ペットボトル】
ペットボトルは手軽という以上に、それぞれ違った飲み物を入れておけるので、ロングコースでリフレッシュ効果が期待出来ます。錆鉄人的にはアクエリアス+アミノサプリ+お茶または水という組み合わせを想定しています。
このコースは左記のように普通なら2泊3日のコースであり、それだけ大量のエネルギーを消費し、大量の汗をかきますから、水だけの補給は問題です。ポカリスエット等のスポーツ飲料の補給と塩分の補給が必要で、塩分はカロリー補給の意味も込めてチップスターを持って行きます。(錆鉄人的にはポカリの信奉者ですが、値段が高いのでついついアクエになってしまうのでありました。)
エスケープルート
錆鉄人はこれまで体調が悪い為に、途中で登山を諦めたという経験はありません(逆に登っている間に血液循環で調子が良くなっていくものです。)が、体力の衰えは確実に進行していると思われます。
従って、ほぼ中間の弓折岳鞍部で残りを続けるか、鏡平へ下りてしまうかを考えようと思っています。目安としては、上記の想定タイムより1時間以上かかっていた場合とします。(ここまでの予想タイムは5時間45分なので、そんなに遅れる場合は相当調子が悪いと考えられます。)


弓折岳鞍部で下山した場合
弓折岳鞍部−0:30−鏡平山荘−2:40−わさび平小屋−1:25−新穂高(合計4:35)

これは天女と一緒に笠に登った時に回ろうとしたコースであり、どうってことのない距離であります。
装備の軽量化
最高の軽量化を求め、装備の見直しを実施しています。
【登山靴】
トレクスタのスカイライト27cm(26cmで片足420g!)を楽天ショップのナチュラムで注文しました。が、注文時に表示された「納期5〜7日」は真っ赤な大嘘、注文した後で6月頃入荷予定とメールが来ました。驚いてもう一度商品のページを確認しましたが、やはり納期5〜7日と出ています。ナチュラムは要注意、購入はお勧め出来ませんと思っていましたが、返答があった時よりは早く到着し、登山に支障はなかったので一応許します。
【ザック】
軽量ザックを探してコールマンのトラベルウォーカーを発見(名前からしても登山用ではありませんが・・・)。何と20Lで230gという超軽量です。70デニールのナイロン・ポリエステルという薄々素材(通常の1/10ほどの細い繊維です。ウエストベルトもチェストベルトもありませんが、錆鉄人はそれらのベルトを普通はしないで登山していることが多く、問題ないように思われます。
ところでこの世界、ノートパソコンと同じように軽い製品は高級素材を使用している(チタン製品など)為に、一般的に「軽量=値段が高い」のが常識ですが、何と2,730円しかもポイント20%でした。
岩や枝に引っ掛けた場合、簡単に破れないかと心配ではありますが・・・。中へ入れるものはスタッフバック(40g)にまとめて入れて、ザックが破れた場合でも、簡単に中身が落ちないようにしておこう、とまで対策を考えていた研究熱心な錆鉄人でありました。
ところが、雨具や長そでシャツをスタッフザックに入れ、さらにビールやペットボトルを入れて担いでみると、背中に当たって厭な感じです。雨具でくるむ等の対策が出来るかもしれませんが・・・悩んでいます。(実験だと思っていた白山ロング周回では、結局使わなかったのでありました。)
という事で、今回も使用中止。普通の20リットル程度のザックにしました。

【ストック】
錆鉄人単独行の場合はいつも2本持っているのですが(3本しか持っていないので、天女と一緒の時は必然的に1本になる)、1本にして350gの軽量化を図ろうかと悩みましたが、クマと遭遇した場合の武器として、1本より2本の方が良いという判断で2本持って行く事にしました。

【食糧】
どうせあまり食べないので1食分にして、もし腹が減ったら小屋で食べる事も出来ますが、食事はビール以上に重量当たりの単価が高いので、金無し錆鉄人としては、2食分を持って行く事とします。さらに食欲がない可能性が高いので、嗜好品を1食分程度持って行く予定です。

【緊急装備】
靴連れ対策のテープ、エマージェンシーシートその他の最低限の緊急装備は当然持って行きます。

【替え靴下】
早朝の登山道を歩くと、朝露に濡れた草や藪でズボン・登山靴がびしょ濡れになり、伝って入った露で登山靴の中がグチョグチョになってしまい、数時間後には足がふやけてパンパンになって足を着くのも痛くて堪らないという経験を何度もしているので、替え靴下を持って行きたいと思っています。(安い登山靴のせいではありますが・・・)
→実際
双六小屋で靴下を履き換えましたが、その後の雪渓トラバースなどで濡れ、槍平小屋〜新穂高は足底の痛みにひたすら耐えて歩いていました。
天気にな〜れ!
折角登山するのだから、好天気になって欲しいのが登山者の願望でありますが、錆鉄人の登山スタイルは普通の人の2倍で歩くので、時間当たりの必要なエネルギーは2倍以上です。
車でも時速60kmで走っている時と時速120kmで走っている時では、同じ距離を走っても燃費が2倍近くになるように、人間の場合の2倍のスピードなら2倍、従って時間当たりのエネルギー消費は4倍、発熱量も4倍と思っている錆鉄人です。ですから、みんなが防寒着を着込んでいる時でも、短パン・Tシャツで寒くないのです。)
いつも汗だくなので、あまり暑くなるのはイヤだな〜、高曇り(富士さんが見える程度の!)時々晴れ位がいいな〜と思っているのでした。
まあ、贅沢はいいません。超ロングコースなので、雨が降ったらマメが出来て歩行困難になると思われるので、雨さえ降らなければOKです。

7月22日の時点
天気JPの夏山天気予報:槍ヶ岳
26日は曇り時々晴れ
という事で、よほどの事がない限り登ろうと思っています。

槍ヶ岳山荘HPの槍ヶ岳の天気予報(25日14時発表)
明日26日の槍ヶ岳周辺は依然として、暖かくて湿った空気が入りやすいので、稜線や山頂など標高が高い所ほど霧に包まれる時間が多くなりそうです。ただし、山麓では晴れる時間が多くなり、昼前後には山頂付近でも青空が戻るでしょう。風は朝のうちやや強めに吹きますが、その後は弱まってくるでしょう。明後日27日午前中を中心に晴れる所が多くなりますが、午後になると大気の状態が不安定のため、雷雨となる可能性があります。落雷や突風、沢筋の増水などには十分ご注意ください。早出、早着を心がけましょう。

実は、昨日の夜、知人が泊まり午前2時半頃まで飲んで話していたので、2日続きの寝不足となるので、27日にしようかと思っていたのですが、雷雨には逢いたくないので、26日に実施してみようと思います。翌週は北海道行きの直前なので、田圃や畑などに励んでおく必要があるので、登山は出来ませんから。
ヤマケイ山岳情報
7月17日、15日現在の情報がアップされたのを見ると、笠ヶ岳もほぼ雪渓の影響はない見込みです。
双六小屋までの稜線なは一部雪渓が残っている模様
西鎌尾根には全くないと思われますが、槍平には一部雪渓が残っているかもしれません。しかし、歩行には支障がないと思われます。

槍平山荘HP
槍ヶ岳方面、飛騨沢の残雪状況です。登山道に影響のある残雪は標高2600m付近、および標高2700m〜2800m付近で数箇所あります。しっかりとした登山靴で、雪道に慣れた登山者ならばキックステップによる通行が可能です。荷物量が多い方、雪道に慣れていない方は軽アイゼン、ストックの携行をおすすめします。来週末以降の登山の場合、ほぼ雪の影響はなくなると思われます。(写真付きです!)


笠ヶ岳
雪は秩父平下にありますが、マーキングしました。その他雪は融けてほぼ夏道です。
双六小屋
稜線と登山道の日当たりのいいところは雪が融けましたが、日影や北側、樹林帯、谷すじに残雪あります。
秩父沢に橋をかけましたが、雨後など増水時には要注意です。西鎌尾根に3個所ほど雪が残っています。十分ご注意ください。
槍ヶ岳山荘
槍沢、飛騨沢共に軽アイゼンとストックをお持ちになられることをお勧めします。


22日の情報もほぼ同様な内容でした。
費用
新穂高往復 約400km 35L×180円=6,300円
高速 白鳥IC〜飛騨清見IC 600円(通勤半額)
    帰りも通勤半額時間帯として 600円
合計 7,500円
すごいコストパフォーマンスであります!

実行編:出発まで
25日、5時33分に事務所を出て、駐車場に一目散。車を走らせ高山市郊外のサークルK(最後のコンビニ)までノンストップで走行。食糧と500mLビール2缶を買いトイレも借りました。
走りながらパンとおにぎりで夕食を食べ、21時に新穂高の駐車場に到着するという今までの新記録達成。一番上の駐車場もまだ10台分以上の空きスペースがあり、バスターミナルへの通路の横も駐車可能でしたが、そこは上がってきた車のヘッドライトで必ず照らされる場所なので、睡眠を邪魔されるかもしれないと考えろ用意周到な錆鉄人は、2回ほど駐車場所を変えて奥の所に収まりました。
すぐにビールを飲みながら登山の服装に着替え、家で1時半にセット済みの目覚ましをベルが鳴るようにセットし、前夜の寝不足もあり速攻で睡眠。恐らく9時15分頃には寝たのではないでしょうか。


真っ暗やみにベルの音が鳴り響きます。
寝不足の錆鉄人は朦朧とした意識なかで、目覚まし時計を手探りでストップさせようと焦っていましたが、何故か鳴り終わりました。(この時、気づけば良かったのでしたが・・・)

「よし、やらねば!」と気合を入れてヘッドランプを装着。朝食用に買った寿司に、塩分不足とならないようにと備付の醤油を1滴残さずかける冷静沈着な錆鉄人でありました。1個、2個と無理やり詰め込みながら、これも水分不足にならないようにと、アクエリアスを飲み続ける用意周到な錆鉄人でありました。
という事で、寿司を4個食べた所では靴下も履き終えていたので、いよいよ天女の数珠をはめ時計を装着しました。すると、ヘッドライプの中にまぶしく光る文字盤は、何故か11時17分を指しています。
ギョッ!腕時計の故障かと目覚まし時計を探すと、やはり同じ時間。頭脳明晰でない錆鉄人は、寝不足も手伝って事態が把握できません
しかしながら、今が11時過ぎでしかない事は理解しました。という事は目覚ましの誤作動!セットした時間を確認しますが、ちゃんと1時半を表示しています。あと2時間寝なくちゃ!と思い、そこは冷静に残った寿司にもう一度蓋をして、横になりましたが、目覚ましが誤動作したという事は、ちゃんと1時半に鳴るのだろうかと不安に駆られ、眠れません
実行編:出発まで
寝なくっちゃ、寝れる、寝れる時、寝れば、寝よ!
錆鉄人のおまじない、睡眠五段活用もうまく行きません。悶々としていると、今度は靴下を履いているので足が暑くて気になってきました。動かないでいれば寝れると我慢していたのですが、しかたがありません。体を起こして靴下を脱ぎました。
もう一度、就寝体制に入ります。もう、目覚ましの事は構っていられません。2日続きの寝不足で疲労困憊です。目覚ましが鳴らなければその時考えようと割り切ってしまうしかありません。が・・・、悶々々・・・
寝た記憶がないのですが、目覚ましが鳴り響きました。今度は枕もとに置いていたヘッドランプを点けると、ちゃんと1時半でした。

やるしかない!
悲壮な決意をする寝不足でボロボロの錆鉄人でありました。
2時間前の醤油が浸みこんだ寿司(うまくないです!)を食べ、1個毎にアクエリアスを飲み流し込みました。

装備は家を出発前に準備しておきましたが、再確認し、コンビニで買った残りの食糧を袋ごとザックに入れました。外は寒くはありません。余程寒ければズボンと長袖シャツを着るつもりでしたが、短パン・Tシャツ(寝ていた格好)で歩きだす事に決定。空は曇りですが、切れ間もありました。

登山靴に足を入れ、紐を締めました。締め方がちょっといい加減すぎましたが、まだ注意力不足だったのでしょう。ストックを2本伸ばし長さを揃えました。車をロックして出発しようとすると、スペアキーが見当たりません。今回は軽量化の検討を重ね、メインキーをスペアキーに替えて持って行けば、5グラムは軽いのではないかと執念で考え着いた「決め技」でしたが、帰ってみると車の中に転がっていました。
という事で、この5グラムを心の中でやけに重く感じながら、駐車場を出発しました。
バスターミナルに着き、トイレに入りました。1グラムでも体を軽くして出発しようとするいつもながらの錆鉄人流の登山の極意です。(って、誰でもそうですが・・・)
洗面所の暖かい水で顔を洗いましたが、やはりピリッとしません。レバーがあるのですが、冷たくなるのかしら?ここは実験をしている時ではありません。ほっぺたを軽く叩いて気合を込めて出発。
その前に、超ロングコースは2年ぶりで55歳にもなったし・・・と弱気になっていた錆鉄人は、何と登山届を準備してきていたのでした!百名山を完登しておきながら、登山届は数回しか出していないと言う登山者の風上にもおけない錆鉄人でありましたが、熱中症にでもなったらどうしよう?という不安を持っていたので提出する事にしたのでした。
体力面で駄目なら小屋に泊れば良いし、怪我やねんざで歩けなくなる事は絶対にないと自信がある錆鉄人でしたが、熱中症は出来るだけ予防しながら歩くつもりですが、「非随意」な現象ですから、万が一の時を考えたのでありました。錆鉄人もようやく大人になったのかもしれません?
笠ヶ岳まで
と言う事で、錆鉄人は「珍しく」登山届を提出して、計画通り2:00に新穂高を出発しました。
例によってクマが怖いのでザックを横に振って鈴を精一杯鳴らしながら、笠新道口に到着。40分かかかっていなかったと思います。ここでザックに付けてある小さなマグカップで水を3杯飲みました。以前はイオウの匂いがしたと思っていたのでしたが、感じませんでした。
ヘッドランプは前回の別山で3時間持つ事を確認していたのですが、その時の予備電池(同じメーカー・容量)を充電して入れてきていたのですが、しばらくして光量低下を実感、しかも笠新道は急傾斜でツヅラ折れなので、しばしば天女のようにルートは何処?と立ち止まって探しました。
草の上に足を乗せたら、その下に地面がなくコケそうになって膝下を擦りむきました。
杓子平に到着したら交換しようと思っていましたが、我慢できずに少し手前でヘッドランプの電池を交換。(今考えてみると結構長時間光ってくれていたのでしたが・・・)

と、苦労しながら杓子平に到着。
笠新道口から2時間弱だったと思います。正面の山腹に雪渓が浮かび上がっていました。
標識などを撮影してすぐに出発、20種以上の花があると書いてありましたが、花盛りという感じでした。しかし、ここもコバイケイソウは花をつけていませんでした。
ここから稜線まで、及び笠ヶ岳までのコースタイムはやや厳しいと感じました。稜線に出ると風がかなり強かったので低体温にならないように長袖シャツを着ました。小屋までの間で何組かのパーティとすれ違いました。
そして、ようやく登山道が分かりにくいキャンプ場を越え、しばらくして笠ヶ岳山荘に到着、そのまま頂上へ。

祠の所で名古屋の夫婦に写真を撮ってもらって、しばらくおしゃべり。20m程離れた三角点へ移動して撮影し、小屋に戻りました。
笠ヶ岳山荘の入口横に蛇口が2つあって、無料で水がもらえたので、ペットボトル2本に充填。パンをたべようとしましたが、一口齧った所で諦めてザックに仕舞いました。代わりにチーカマを1本食べました。
双六岳まで
という事で、笠ヶ岳山荘を出発した時間は不明ですが、笠新道分岐に来ると、3人が休憩していました。しかし、錆鉄人が到着するのと同時に2名の男性は笠新道へ下りて行きました。(って、分岐からはちょこっとだけ登るのですが・・・)
残った美人の女性に思わず声をかける錆鉄人でした。決して浮気している訳ではありませんから、天女様。
聞くと、弓折岳分岐から下って今日東京に帰るとか。今からなら十分ですねと言って、「自分は2時に新穂高を出発して笠に登り、これから西鎌尾根を通って槍に登って新穂高に日帰りしようと思っています。」というと目を丸くしていました。
実はこの時点で既に疲れが出てきていたので、「弓折岳で下りてしまいたい」という弱気の虫を吹き飛ばすには、笠槍日帰りを多くの人に広言して自分にプレッシャーを掛けるしかないと思ったからでした。
という事で、その女性と別れて稜線を進みました。稜線は錆鉄人の記憶(天女と笠の日帰りをした時、鏡平を回って帰ろうとして弓折岳手前の廃道を下りてしまった)以上にアップダウンがあり、すでに疲れが溜まっていたのでヘロヘロでしたが、次々に現れるお花畑を撮影して、細かい休憩を取る頭脳的な錆鉄人でありました。
稜線で追い越したのは、ほとんどが弓折岳分岐に向かうパーティでした。しかし秩父平の手前で話した人は、こんな天気なので鏡平から下ってしまおうかと思っているとの事でしたが、錆鉄人が槍に登って日帰り予定の事を話すと、西鎌尾根からですかと聞いてきて、ちょっと意欲が出てきたような感じでした。


そこから進むと、すぐ先に大きく急な雪渓の下り(40〜50m位)があり、同じ方向へ向かうパーティがピッケルを雪渓に突き刺しながら慎重に下っていました。雪渓を下り切った10mほど先を登山道が横切っていたのですが、左は稜線に登っていく感じで、右はガスの中に下っています。
どちらに行けばよいのか分からない錆鉄人は、珍しく地図を取り出して確認しましたが、良く分かりません。そのパーティの人も地図を取り出し磁石で方角を確認して、登る方向だというので、錆鉄人がタタタッと登山道を登ると、その先で登山道は左に折れて、今下りてきた雪渓の中に消えていました。
戻ってその事を告げ、下って行きました。

という事で、この稜線で出会った何組かのパーティにも笠槍日帰りを喧伝しているうちに、だんだんとプレッシャーが高まってきましたが、比例して疲労も高ってきました。弓折岳はまだか、まだかと思って歩いていましたが、最後の弓折岳の登りは急でした。でも標高差は僅かでしたが。この辺りで鏡平への分岐を見逃がして来た人に出会い、向こうだと教えました。
ヘロヘロで弓折岳に到着。肩で息をしながらしばし休憩。
が、そこから分岐は何と近い事でしょうか。2年前ガスでどちらへ行けば良いか分からず、追い越した人が追い付いてくるのを待っていた事がありましたが、どちらへ行っても良かった事が初めて分かりました。
到着は1時間遅れですが、ギリギリ新穂高に退散しようと思っていた時間よりは早かったのでありました。ここまで1時間の遅れで、今後は疲労でさらに遅れが大きくなるとすると、とても明るいうちには戻れないかもしれないと思いながらも、双六小屋に向かって足を踏み出しました。
戻るという事の嫌いな錆鉄人なので、それは絶対にやり遂げるという決意の表明かというと、そうでもなく、惰性で行っちゃったような感じです。

双六小屋まではもう僅かの筈でしたが、小さなアップダウンを超えながら、遠くに小屋が見えた時はほっとしました。
双六小屋〜西鎌尾根
疲労困憊して双六小屋に到着した錆鉄人は、普通なら液体燃料を補給する所ですが、小屋の前には樅沢岳の急斜面が立ちはだかっていました。
2年前、水晶小屋で冷たくはないビールを600円も出して飲んだはいいのですが、黒部源流の死にそうな雪渓渡りの連続の後、三俣の天場までの登りで、生まれて初めて心臓の不調を実感した事を覚えている記憶力の良い錆鉄人は、飲みたい気持ちをぐっと堪えました。その代り、登りがなくなった槍ヶ岳山荘では生ビールを飲むのだ!と決心しながら。

しかしながら、出来るだけ小屋ではお金を使って、辺鄙なところで登山者の為に頑張ってくれている小屋に、感謝の気持ちを形にすべきだという善意の塊のような錆鉄人は、何かを買おうと戸を開けて中に入り、アミノバリュー?のペットボトルを購入しました。(500円)アミノ酸は筋肉疲労に良いという記憶があったからでした。
外のベンチに座ってアミノバリューを飲みながら、おにぎり1個とチーカマ1本を流し込みました。やはり、パンは食べる気になりません。飯豊山のパン1個で日帰り事件以来、パンはトラウマになっているのかもしれません。(天女はパンが大好きなので、家では良く食べるのですが・・・)
それから、濡れた靴下を履き換えました。この先は稜線だし、雪渓はないだろうと思ったからでした。

計画では15分の休憩でしたが、トイレに行ってから給水している頃には、時々日も差してきたので、石に腰かけて入念に顔に日焼け止めを塗り、結局25分も休憩してしまいました。
10時05分、決意を込めて樅沢岳に足を踏み出しました。登山道は嫌になるほど短くジグザグに登っています。25分の休憩が奏功したのでしょうか、フーフーいいながらも、ほぼ20分で登り切ったので、やや安心しました。
そこからは、鎌尾根とは言っても地図を見ても大きなアップダウンもないので、いわば散歩道のような稜線歩きだと思っていました。しかしながら、錆鉄人の楽観的な希望を打ち砕くように、執拗にアップダウンが続くではありませんか。しかも、ないと思った雪渓も次々に現われて、錆鉄人の登山靴の中に雪を詰め込みます。
唯一の救いは、絶え間ない高山植物でした。という事で、ここでも休憩を兼ねた撮影に勤しむ錆鉄人でありました。今まで一度も取説を読まずに使っていたので、マクロが効く時と効かない時があるのが分からなかったのですが、笠からの稜線歩きでマクロマークの出し方が分かったのでありました。(でも、それは間違いだった事が後日分かりました。)
槍ヶ岳山荘(槍の肩)まで
千丈乗越はまだかまだか、この先こそ千丈乗越に違いないと思いながら、鎖場などをアップダウン。前方の稜線上に標柱のようなものが見えた時、あれが千丈乗越の標識であって欲しいと切に願いながら進むと、紛れもなく千丈乗越でありました。
長い長いアップダウンの繰り返しで、錆鉄人の思考はエンドレス化していたのか、この時点ですでに双六小屋から3時間近くかかっていると思っていたのでした。
この先は、2年前に下っているので記憶がありました。ザラザラの下りで登り難いだろうなと思っていましたが、疲労困憊してスイスイ登れる状態ではなかったので、あまり関係ないような感じでした。というより、ほとんどスリップしないで登る錆鉄人の歩行技術の勝利と言っておきましょう。

槍の肩到着、12時45分。時々ガスが切れて槍が見えるようになった為、山荘前の広場では大勢の人がカメラを構えていました。

という事で、錆鉄人も並ぶように山頂を目指すアリの群れになりました。特に梯子の下の両方向が同じルートになる所で、降りられないおばさんがいて行列は遅遅として進みません。
どううにかして梯子を登り切った天上の世界は、登山者で足場を確保するのがやっとのような状況。錆鉄人は社の前まで行くのを諦めすぐに下山開始。でも、またまたおりられないおばさん軍団に行く手を遮られる行列でした。往復には1時間ほどかかったと思います。


頂上は社の前の撮影の順番待ち状態
槍ヶ岳登頂、山荘
槍ヶ岳山荘に戻り、生ビールを注文。1,000円でした。外に出て、生ビールを手に槍ヶ岳をバックに写真を撮ってもらいました。

山荘を2時ちょうどに出発。錆鉄人は下り足自慢なので、ここからはスイスイ、余裕で出会う人達に、笠槍の日帰りをしている事を話して驚かせていました。
ガラガラの石を敷きつめた登山道なので、足を勢いよく着くと石が動いて下手をすると捻挫してしまいますが、錆鉄人はひるまずガンガン下りました。錆鉄人は足首が丈夫なのでネンザしないのです。(磐梯山で大捻挫して、指先まで紫色に腫れ上がりましたが、病院にも行かずに治ってしまいました。)
ただ、途中でルートがいくつか入り乱れていて、どちらに行こうかと立ち止まって確認しましたが、結局、どちらを通っても良いのはこういうルートの常でした。



さて、槍ヶ岳山荘に着くまでは、新穂高に戻ったら温泉に入ってさっぱりして、一眠りして睡眠不足を解消してから帰ろうと思っていたのですが、槍ヶ岳の登りで足止めをくらっているうちに気が変わってきて、すぐに家に帰ろうという気分になっていました。
行程が少なくなるにつれ、すぐに天女のもとに戻りたいという「帰巣本能」が目覚めてきたに違いありません。それほど天女の魔力ならぬ「引力」は強いのでありました。
槍平小屋
槍平小屋には、3時20分に到着。たったの1時間20分でしたが、途中でおしゃべりもしていたので、実質は1時間15分以内です。(走った訳ではありません)
ここのホームページが毎日のように登山道情報をアップしてくれていて、おかげで本日登山出来た事を感謝しようと、受付の所へ行ってお礼を述べました。
登山道情報をアップしている人は、今は台所だとの事でしたが、そのように伝えて下さいとお願いし、「感謝は言葉だけじゃなく、態度で示さなくちゃ(少しでも小屋でお金を使う)」と思いましたが、ここから新穂高までは2時間なので、もうビールは飲めません。CCレモン(400円)を買いました。
半分位を飲みながら、今日はお陰で新穂高から笠・槍の日帰りが出来たと言うと、「マラソンだね!」と非難の目付きでした。無理もありません、登山靴ははいていますが、上下はマラソンをしていた頃の格好そのものですから。
錆鉄人は弁解はしませんでしたが、日本山岳耐久レースで走った以外(って、玉はほとんど走っていませんが・・・)、山では走りません。

トレイルランとか言って、登山道を走る人がいるようですが、登山道を走るのは危険性が高いと思うので、錆鉄人は早足で歩くだけで走りません。急な坂で、勢いで歩いていられないような時は別ですが。
登山においては、平坦な所や軽い下りの登山道も多いので、その区間をマラソン装備で走ればコースタイムの1/4程度で通過出来るはずだと思います。錆鉄人は全コース(登りも下りも、林道区間を除き)ほぼコースタイムの半分で歩いていますから、トレールランを謳う人の場合、走れない区間もコースタイムの半分以下と考えれば、全コースをコースタイムの1/3位で走破出来るに違いありません。
という事で、トレールランをされる方は、このコース休憩を含めて10時間切りで走破出来るのではないかと思われます。挑戦されてみては如何でしょうか。
新穂高まで
という事で、CCレモンを飲みながら小屋の外に出ると、前の広場で休憩していた人たちが、錆鉄人の異様な格好をジロジロ見ていました。
錆鉄人は、登山界の「いわゆる常識」には囚われないので、TPO(TPOというのは常識の世界かもしれませんから、錆鉄人のほうがやはり違っているかも)というか自分の暑さ寒さの感覚に合わせた服装・装備で登山をしているのですが、「いわゆる常識」というフィルターのかかった人達からは異様に見えたに違いありません。
しかしながら、潔い錆鉄人は一切弁解もせずに、平和の鐘を小さく鳴らして手を合せ、槍平小屋を後にしたのでありました。

ここからの登山道は林の中です。
前回(2年前)、槍の日帰りをして戻る時、クマに遭遇して(姿は見ずに、ザザッと音がしただけでしたが・・・)、ストックを頭の上で打ち鳴らして藪のほうばかり警戒して歩いていたら、登山道から足を踏み外してしまい、転倒した苦い経験がありました。
素早く手を着いたのは良かったのですが、手首がひねられて腱が損傷したようで、1か月ほど痛んでいました(それでも病院には行かない錆鉄人でありましたが・・・)から、今度は前方を注視しながらも、足を踏み外さないようにと注意して歩いていました。
登山靴内部の濡れによる足のふやけによる足底の痛みも増してきましたが、錆鉄人のお馬鹿登山の極意「痛みは無視する。苦しいのは我慢する」を思い出しながら歩きましたが、錆鉄人はまだ人間が出来ていないのでしょう、痛いものは痛かったです。(って、自分で言っておきながら、ふがいない事です。)
林道歩きは、正に苦痛との戦いで、錆鉄人の歩きはいつしか天女モードよりも遅くなっていました。しかし、登山者用の短縮コースはクマや蛇が怖いと思って、林道を歩き続けました。
帰宅
という事で、17時28分にやっと新穂高に戻った時、最初の計画は17時戻りだったので遅れたと思っていたのでしたが、何と予定通りだったのでありました。
登山届を出した錆鉄人は、行儀よく派出所に寄って下山届に記入しました。それからトイレに行った後、洗面所の水で顔と頭を洗いました。
そして残った食糧や熱くなったコーラを飲みながら天女の元へまっしぐら

天女騒動
さっそく天女は甲斐甲斐しく汗でベタベタのTシャツやランパン、その他を洗濯してくれました。
そして、「ザックも濡れているわね。」と言うので、「汗でベタベタになったし、ガスで髪の毛から水滴が滴った位だったから。」と答えると、汗でファスナーが駄目になった経験をしているので、早速ザックを漬け置きにしてくれていたのでありました。この間、錆鉄人は真っ赤になった太ももを濡れタオルで冷やしながら、ビールを飲んでいたのでありました。

という事で、翌朝、写真の整理をしようと思って「デジカメは何処?」って聞くと「知らないわよ。」との答え。「え?ザックのポケットに入っていたやろ。」というと、天女は脱兎のごとくお風呂場に走って行って、水の中からデジカメを救出したのでありましたが、「時既に遅し!」
デジカメさんは昨日の夜から水に溺れ、大量に水を飲みこんで意識不明の状態です。天女がケースから出して持ってきましたが、水がポタポタ滴り落ちているではありませんか!

天女は、ごめんなさい、ごめんなさいと何回も謝りますが、まあ、なってしまったものは怒った所で元に戻る訳がないので、愛妻家の錆鉄人は「しかたがないよ」と片づけました。
天女は「お父さんが命懸けで頑張って登った証拠の写真がなくなってしまった。」と残念がりますが、錆鉄人的には登山は自己満足の世界ですから証拠が必要なわけではなく、登ったという事実は水没した訳ではありませんから気にしなくていいよ、と愛妻家の錆鉄人は言ってやりました。(でも、撮った写真が駄目になったのはかなり残念でありました。)

とりあえず、バッテリーとSDHCカードを取り出し、これも振ると端子の所から水が飛び出してきます。うまく、乾燥出来ればデーターは取り出せるかもしれないと考え、何回も振って水滴を出し、ノートパソコンのファンの空気排出口の近くに立てかけて内部を乾燥させることにしました。
無事、データーが救出できますように!天女も祈っています。

という事で、この日のうちに新しいデジカメを注文したのでした。機種は全く同じTZ-5ですが、最初欲しかったブラウンにする事にしました。価格ドットコムで調べると、最安値が25,470円で送料無料、代引き手数料420円の合計25,890円と、悔しいかな買った時よりもかなり安くなっています。

しかしながら、ここは金無し錆鉄人。
念のためにカードで買えるので振込料がいらない楽天市場で調べててみると、何と!液晶保護フィルム付きで24,680円と目を疑いたくなる金額。送料は735円とちょっと高めでしたが・・・

疲労で頭がおかしくなっているのかもしれない・・・、価格ドットコムは日本で一番安い店を紹介している筈だから、24,680円よりも25,470円の方が安いのではないかと、しばし熟慮する錆鉄人でありましたが、どう考えても結論が出ません。今思うと天女に聞けば良かったと思うのですが、天女は自戒の念でいっぱいで、「お父さんの好きなものを買えばいいわよ!」とお任せ状態でしたから。(と言っても、高い買い物をしない所が金無し錆鉄人たる所以です。)

という事で、算数が得意だったはずの錆鉄人でありますが、24,680円の方が安いのじゃないかな・・・というあやふやな結論ではありましたが、目出度く楽天で注文したのでありました。しかも楽天ポイントを使ってさらに2,000円安く購入出来ました。送料込みで23,415円となりました。
(実際は総額25,415円で、今なら475円と楽天ポイント246ポイント分+液晶保護フィルムの分がお得とすぐに計算できるのですが・・・)
どんな時でも、家計に気遣う錆鉄人なのでありました。
天女騒動のフィナーレ
28日、帰宅した錆鉄人はノートパソコンを立ち上げ、冷却ファンの吹き出し口に水没したバッテリーを立て、それにメモリカードを立て懸けて、最後のお祈り、最後の乾燥をしました。
カード挿入口にメモリカードを慎重に差し込みます。おっと、その前に、少しでも早く作業を終了出来るように、開いていたメールやホームページ、EXELを終了させました。天女も神様、仏様と祈っていましたが、錆鉄人は天女様と祈っていました。

なんとなく、いつもと同じような反応をしているような・・・
そのうちにWindowがポップアップしました。
どうやら、メモリカードを認識したのでしょうか・・・

そうだとしても、いつ壊れるとも限りません。
錆鉄人は素早くホルダーを開き、画像のホルダーをカットしてピクチャーホルダーにコピーさせました。
すると、やはりいつものように動いています。
が、画像を見るまでは安心出来ません。

「○分●秒」の表示が減るのがやけに遅く感じましたが、じっと待つしかない錆鉄人と天女でありました。

固唾を飲んで、PANA100のホルダーをクリックしました。
天女の操作のように、マウスを持っている手に力が入ります。

ちゃんと画像ファイルを表示しています!
ここで、「水没したから、濡れてぐちゃぐちゃの写真になっちゃっているよ!」と冗談を言えるほど余裕の出てきた錆鉄人ですが、天女は冗談を信じたのか心配そうな顔をしています。
という事で、愛妻家の錆鉄人はすぐに画像ファイルをクリックし、画面一杯に目出度く画像が表示されるのを見た天女もすっかり安堵したのでありました。

このように絶体絶命のピンチも、天女の力で無事に乗り越える事が出来たのでありました。錆鉄人が一生懸命乾燥させて、十分乾いてから読み取った事も少しは効果があったかもしれませんが、信じる者は助けられる、天女の力は偉大です
かくして天女騒動は、常にメデタシメデタシで終わるのでありました。

ちなみに、このメモリカードはいつ作動不良にならないとも限らないので、北海道に行くまでには新しく購入するつもりです。メモリカードは生鮮食料と同じなので、日々安くなるから、直前に買おうと思っています。
(と思っていましたが、翌日操作してみるとアウト!すぐに注文しました。)
総集編
という事で、総費用僅か7,500円と1日で、笠ヶ岳と槍ヶ岳の百名山2つに登って来て帰宅するというコストパフォーマンスとタイムパフォーマンス抜群の試みでしたが、天女騒動のおかげで25,415円の追加出費、おっと、メモリカードも必要だから、3万円近い追加出費が必要となった訳です。
でも、これは直接の登山費用ではないので、錆鉄人の100名山日帰りの単価は少し下がったと思われます。

【デジカメ沈没事件総決算】
デジカメ(TZ-5)   25,415円
HDCHカード(16G)  5,900円
合 計         31,315円

この金額を見ると、天女は当面謹慎状態になって、錆鉄人の不用品の買い物(出来心から又々マタマタLEDヘッドランプを買ってしまった錆鉄人ですから・・・。でも今度は3Wが格安だったんだから!許してね。)見逃してくれるのではないか?という錆鉄人の作戦であります。(既に諦めているので必要ないかもしれませんが・・・)

という事で、デジカメ写真も復活したので詳細な登山記を別途作りたいと思います。
   新穂高〜笠ヶ岳
   双六小屋まで
   西鎌尾根
   槍ヶ岳〜新穂高

さて、日頃なんの鍛練もしていない錆鉄人が、いきなりこんなお馬鹿な登山をして身体がおかしくならないのは、どう考えても不思議ですが、今までの経験から錆鉄人は「どうって事はないだろう」と思っていたのでした。
結果は、やはりどうって事はなかったようです。
天女に聞くと「心配してたわよ!」と答えましたが、さらに突っ込んで聞くと「お父さんの事だから、心配はしていなかったけど・・・」。かように、錆鉄人への信頼は岩のように確かなのでありました。
ただし、足の筋肉痛はほどほどでしたが、ベットから起きるとかなり腰が痛く、2年前鷲羽水晶の日帰りをした数日後にぎっくり腰になった事を思い出し、静養している事にしました。原因は単に身体が硬くなったからではないかと思われますが・・・。少し、柔軟体操でもしなければ・・・

28日は普通に出勤して仕事をしましたが、午後からトイレの回数と量が増え、家に帰ると夕食後には眠気を感じてきたので9時過ぎには寝ましたが、夜中に4回もトイレに行きました。
26日山から帰宅後に体重を計った時は72.5kgでしたが、29日朝は70.5kg、帰宅時には69.3kg、30日帰宅時は69.1kmまで体重が軽くなっていました。(錆鉄人は昼食を食べないので、その分の減少もありますが・・・)やはり、飲んだ水分が十分排出出来ずに、体内に溜まっていたものと思われます。
今までなら体重はすぐにリバウンドしたのですが、今回は夏バテ気味で食欲ももう一つな為か、なかなか体重が戻りません。
実際は、戻らない方が理想体重に近いので良いのでありまして、体重が戻らないので心配している天女には、自分の意志で体重をコントロールしているのだとうそぶく錆鉄人でありました。
実はこの頃天女は体重が43kg程まで減って、どうしたのかと心配していた愛妻家の錆鉄人でしたが、8月に入ってからは少しずつ体重も回復したので安心しました。

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