良し小屋良し良し全て良し 八ヶ岳
(撮影平成15年 7月5〜6日)

高山植物の女王
コマクサ

八ヶ岳(赤岳 2,899m)

八ヶ岳は3,000mに少し足りないが
北アルプスに負けない位のダイナミックな山容を持ち
頂上からは見える百名山の数では一番かもしれない。
それでいてアプローチは短く容易に山頂に立てる。
しかも短い距離で小屋があるので安心感も高い。
小屋のサービスもも充実している。
さらに高山植物も豊富である。

よって、中高年のツアー、夫婦が続々と詰めかけてきていた。
今回は知人との山行で珍しく小屋に泊まることにしたが、
赤岳天望荘のホームページを見ると
夕食・朝食ともバイキングとあったのでここに決めたが
天望荘に大満足であった。
(いつか妻と行く時まで知られたくないと思うのであるが・・・)

どうやって行くの?

中央道諏訪インターで下りれば、美濃戸口まで約25km、ほぼ40分で到着します。
もちろん、158号線で松本経由で行く事も可能ですが、ちょっと距離が長く(300km以上、6時間はかかると思います。)覚悟が必要です。

途中でで会った人が、続週末の天気が良いのは(雨でない)3週連続だと言っていた。
本当はキタダケソウを見に北岳に行く予定であったが、広河原までの道路が通行止めなので八ヶ岳に変更したが、全てに大満足の山行であった。

こんな山行をすれば山が本当に好きになるだろうと思って帰って妻に話をし、いつか連れて行くことを約束した。すかさず「何て幸せな妻であろうか!」と連れて行く前から駄目を押した。
(常念・蝶以来、山に登っても少しも楽しいことがないと言って山登りをためらう妻に、自分の登山に付き合うのは苦しいだけかもしれない、何かを変えなければと反省している夫であった。)
駐車場
美濃戸口には大きな駐車場があり(駐車料金は1日500円)バスもここまでなので、ほとんどの人はここから歩き始めます。
さらに約3km奥に赤岳山荘・美濃戸山荘の駐車場があります。しかし、ここまでの道路は急勾配の未舗装路で一車線しかなく(ところどころに待避所が設けられています)とてもとても怖い道路です。が、行きました。(というより、入ったら怖かったというのが正直な所です。幸運にも対向車がなく良かったです。)
どうせなら一番上の美濃戸山荘の駐車場へと進み駐車したが、ガイドブックには1日1,000円と書いてあるので当然覚悟していたが、美濃戸山荘で天望荘の予約をすると、何と駐車料は無料となったのです!(ガイドブックにはない裏情報!
最初から得した気分で足取りも軽くなるのであった。

上部の美濃戸山荘の駐車場は穴場か?
帰る時も下の赤岳山荘の駐車場は
一杯だったが、ここは空いていた。
登山口
美濃戸山荘の上が登山口です。林道をそのまま進むと北沢沿いで赤岳鉱泉へ。この案内板の横を入っていくと南沢沿いに行者小屋へ。行者小屋からは地蔵尾根を登って赤岳への最短ルートとなります。

今日の宿泊は赤岳天望荘なので、南沢から行者小屋へ向けて出発した。(11:20)

行者小屋 13:15
行者小屋まではほとんどが森林の中を歩きます。晴れていてもほとんど直射日光は当たらないと思います。
美濃戸山荘からコースタイム2時間で行者小屋に到着。
ここで一服しながらこの後のコースを協議。ガスっていて阿弥陀岳を回ってもしかたがないということで地蔵尾根を登ることに決定。

地蔵尾根へは小屋の右手から
(写真後ろの斜面から)
地蔵尾根
直登ルートの地蔵尾根はかなりの急登続きです。数箇所の階段や鎖場もありますが、不安はありません。
距離は短いのですが、コースタイムは2時間10分となっています。

ガスの中地蔵仏を目指す
地蔵仏 14:36
ガスの中なのでどこが尾根なのかわからないので、もうそろそろ着いてもいいのではないかと思いながら、登り続けてやっと尾根に到着。

強風に寒そうな地蔵仏
赤岳天望荘
地蔵仏からはほんの数分で赤岳天望荘に到着。

到着後、夕食までは談話室で団らん
こたつ2つにストーブが2つ。
八ヶ岳や天望荘のビデオを流していた。
これが噂の夕食バイキング

焼肉、タラの芽のテンプラ、コゴミ、フキノトウ?の味噌和え、野菜サラダ、蜜豆、トン汁・・・

自分はほとんど同量おかわりをしました。
中年のおばさんも味噌和えがおいしいとおかわりしていました。満足度は高いです。
宿泊室

これが4人用個室(+4,000円)
朝日の部屋(東向き)
4人は結構厳しい感じでした。
長さがもう10cm欲しいと思いました。

こちらは大部屋。
どこにもあるような山小屋の二段ベッド。

この日は
団体さんを含めほとんど個室だったので
大部屋は数人で使用していた模様。
でも混雑する時期は個室が良いでしょう。
スライドによる高山植物の説明会
夕食中に北原支配人が挨拶して、7時ごろから談話室で高山植物の鑑賞会をすると発表。
団体さんは食事が済むと一斉にいなくなったが、自分たちは持ち込んだワインでゆっくり楽しんでから談話室へ。談話室はほぼ満杯であった。
それにしても中年のおばさん達が花の名前をよく知っていることには驚いた。
花の見分け方も教わったが、ほとんど忘れてしまった。ハクサンシャクナゲとキバナシャクナゲは芽が出てから花が咲くのとその逆との違いだとか、1本に5つ以下しか花をつけないのがコイワカガミだとか・・・。
最後に支配人が冗談で「入場料をとるのを忘れた。」と言っていたが、とてもよいサービスだった。これも団体さんは終わると一斉に退出し、我々はこたつで野球を見ていた。消灯は8時半ということで15分位前に部屋に戻って布団を敷いた。
風力発電の羽根音は案外気にならなかった。

北原支配人は長野の方言丸出しで
ぶっきらぼうに「・・だに」「・・だに」
質問にも答えてくれます。
人柄が出ていました。
御来光
御来光の時間を調べるのを忘れていたが、4時半頃だろうと思い、4時に起きて空身で赤岳に登って御来光を見ようと相談していた。

みんなが動き出すから大丈夫だろうと思っていたが、団体さんは動かなかったので、出発は4時10分過ぎとなり途中で御来光となった。
御来光は想像通り4時30分少し前だった。(雲の上から出たので正確には不明)

(団体さんは5時朝食で、その後すぐに赤岳頂上を目指して出発した。)
想像より北のほうからの御来光だった
赤岳頂上

頂上の祠

富士山から首を右にまわし
北岳、甲斐駒、千丈、中央アルプス
御岳、乗鞍、槍穂、後立山連峰
上信越の山、奥秩父の山、富士山
と飽きもせず眺めていた。

頂上からの富士山

朝日に輝く槍穂
これが満足の朝食バイキング
頂上には20分位いたが、朝食が5時半からだったので、5時になったので戻りだした。
   
もう団体さんは食事を終えていて、衝動には数名いるだけで、我々が最後だったがおかずは豊富にあった。

メニューはウィンナー、焼き魚、小魚のつくだ煮、漬物、ラッキョウ、ヒジキ、高野豆腐、生卵、海苔などに味噌汁。
全部よかったが自分は特に小魚のつくだ煮がおいしかった。食堂は居ながらにして御来光も見れるし、
朝日に輝く槍穂も見られる展望食堂である。
食事中、登山口の赤岳山荘から無線交信が入った。天候の問い合せに無風と答えている。「エッ!帽子が飛ばされないように深くかぶっていたのに。」と思い問いただすと「これ位は風のうちに入らない。」と答えた。
水洗トイレ

今年から水洗トイレにしたそうだが、木材チップによる浄化を促進する為この風力発電機で発電し浄化槽のブロアを動かしている。
行者小屋で飛行機の爆音のような音が聞こえていたのはこのファンの音かも知れない。しかし、寝るときには余り気にならなかった。

何と!
3つあるうちの一番奥はウォシュレット
行者小屋、硫黄小屋も水洗だったが
赤岳頂上小屋はまだらしい。
尚、一般登山者は1回100円です。
山の環境維持の為、
使用したらチップを払いましょう。
横岳へ
天望荘の居心地のよさに後ろ髪をひかれながらも、天気も気になる。もう一度食堂へ行って御礼を言って6時38分出発。
地元の夫婦連れと単独行の大きな望遠レンズをつけたカメラをぶら下げた中年(60歳位)の人と相前後しながら進んだ。
横岳まではクサリ場や階段もあるやや難所ではあるが、特に怖いところはなく通過出来る。


地蔵仏から赤岳を振り返る
横岳(2,829m) 8:00
杣添尾根分岐からの富士山

分岐から横岳は近い

横岳から赤岳、南アルプス
高山植物の女王
天望荘のそばで1株のコマクサを発見し、まだつぼみであったが喜んで撮影した。
横岳に向かう途中に数株のコマクサを見つけこれもつぼみだったが全部撮影した。
横岳を過ぎると、次々とコマクサが現れ、咲いているものも出現し、撮影する。
その後、一面のコマクサのお花畑に出くわす。

     女王の名にふさわしい気品
これを見ただけでも来た甲斐があったと思った。
お花畑のほとんどの株はつぼみで、中にはつぼみさえまだない株もある。1〜2週間も経つと一面コマクサの花盛りとなるに違いない。

硫黄小屋までコマクサは次々と咲いていた。
小屋の横の高山植物の案内に「シロバナコマクサ」があると書いてあったが、識別せずに来てしまい、あせって探したが白花はなかった。
その他、たくさんの花が咲いていたが、別項で紹介したいと思います。
硫黄岳へ
横岳を過ぎた辺りから登山道の様相は変化し、火山岩の小石混じりとなる。(富士山に近い感じ)

    硫黄小屋と硫黄岳を望む
硫黄小屋から硫黄岳へはだだっ広い石を敷き詰めたようなゆるやかな登りであり、ガスが出た時にルートを見失わないように数十mおきに10個位のケルンがある。
硫黄岳(2,760m) 9:02

硫黄岳の有名な爆裂火口と蓼科山
(この後ろ側のほうがすごい絶壁である)

硫黄岳より赤岳を望む
こうしてみると、案外遠くまで歩いてきたものだと思う。
赤岳鉱泉へ
ここからは下るだけである。オーレン小屋への分岐がある2,656m地点まで(約10分)は裸地であるが、分岐から下は森林の中の下りとなる。

硫黄岳より赤岳鉱泉を望む(中央下)
ジョウゴ沢の標識が出たら赤岳鉱泉はもうすぐである。

赤岳鉱泉に到着(10:30)
ここでカップラーメンを作って食べ、コーヒーを飲む。ここのトイレも水洗で使用料100円を払った。のんびりして出発は11:30。
帰り
赤岳鉱泉からは北沢沿いに下り、何回も橋を渡っては川岸を下りる。途中、増水時の巻き道もある。
やがて堰堤広場がありそこからは林道となる。ここに数台の車が駐車してありズルイなと思ったら小屋の車だった。
林道になってもまだまだ先は長く、左側にある美濃戸中山の尾根の先が美濃戸であり、あとどの位か見当がつく。
硫黄岳から美濃戸まで何組かの団体さんに出会った。多いものは22人。ガイドと思われる人以外はほとんど60過ぎと思われる中高年で、女性が大半を占めていた。故障者が出た場合など高い参加料を払っているのだからと居直られたら嫌だなとか心配しながら見送った。中には背負子を背負った若いガイドがいる団体もあった。故障者を背負う為だろうか。
ちなみにアメリカの場合は訴訟社会であるから、事前に死んでも責任は問わないとサインしないと参加できないらしい。

   (南沢を行者小屋へ向かう団体)
長い林道歩きの末、12:50美濃戸山荘に到着。
すぐに車に乗って温泉「もみの湯」へ(500円)。汗を流し露天風呂に浸かり極楽山行を締めくくった。
なお、その後は友人を茅野駅に送った送った後、蓼科山に登って福井に帰った。

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