究極の日帰り笠〜槍その2 笠〜双六小屋

08年7月26日(土)
最終更新日 8月25日
ここまで
新穂高を午前2時に出発し、笠新道経由で笠ヶ岳には4時間05分の6時05分に到着。頂上はガスで何も見えないので記念撮影をして小屋に戻りました。

錆鉄人にとって魔の山である笠ヶ岳は、さまざまな局面で錆鉄人に襲いかかりますが、沈着冷静な判断力で見事跳ね返して進むのでありました。

笠ヶ岳山荘を出発
笠ヶ岳山荘で軽く食事をして、ペットボトル2本に給水して(アクエリアス1本は飲まずに残っていたので)6:23 出発。
すぐに雪渓があります。そしてキャンプ場を通りますが、ここでルートをミスしました。「水場→」の標識があって登山道が付いていたのでそのまま進みましたが、来るときには覚えのない水音がしています。でも、ほかに標識はなかったし・・・。登山道はどんどん下って行き、なんか違うんじゃないかな、こんな所なかったと思うけど・・・。
そう思いながらも、戻るという行為の嫌いな錆鉄人は突き進んだのでありますが、水音はますます強くなり、その時ガスが薄れてきて、全然違う事に気付きました。そこはキャンプ場の水場でした。

間違ったルートを登り返すのは、後悔の念と焦りが加わって、疲れが倍加するものです。ヘトヘトになって稜線に戻りましたが、長い長いルートなので、小さなミスが命取りにもなりかねません。
という事で無事に稜線の登山道に戻り、まずは笠新道の分岐へと急ぎます。ポツポツと山荘を出発したグループがいましたが、急激に近づく錆鉄人の鈴音を聞いて道を開けてくれました。




笠新道分岐
7:00 笠新道分岐に到着。コースタイムとあまり違わないような・・・、ここまで結構アップダウンがあって、すでに笠新道を登った足にはちょっとした登りが堪えました。
3人のグループが立ち話をしていましたが、男性2人は笠新道のほうに登って行きました。残った若い女性に「今日はどちらまで?」と声をかけると、鏡平を回って今日は東京に帰るとの事でした。
「今からなら十分ですね。僕は朝2時に新穂高を出発して、これから西鎌尾根から槍に登って新穂高まで日帰りです。」と言うとビックリしていましたが、笠新道を早々と下って行く2人を見て、ちょっとくじけそうな気持ちだったので、笠槍の日帰りをアピールしたのでした。
不言実行というのは嘘で、何も言わなければ何もする必要はないのです。錆鉄人は「有言実行」こそ格言にすべきだと思います。
錆鉄人の超お馬鹿登山の格言「お馬鹿登山は実行する前に宣言して、自分にプレッシャーを与えるべし」であります。

という事で、1〜2分で出発。女性が見ているかもしれないと思って、カッコ良くスタスタ歩きだしたのでありましたが、ガスで見えなくなる頃には早くもヒーヒーハーハー。
やはり2日連続の寝不足(2日で6時間ちょっとしか寝ていないのでした。)が祟っているに違いありません。


この女性を撮影したのではなく
時間メモ用にこの標識を撮影しただけですから。

モチベーションがないので、
写真を撮りながらブラブラ歩いていました。



雪渓
5年ほど前、天女と笠の日帰りをした時に、弓折岳の手前辺りまでは歩いていたのですが、記憶の中にはアップダウンはほとんどありませんでした。
しかしながら、現実は楽観的な記憶を打ちのめし、アップダウンが続きます。さらには次々に現れる雪渓で、登山靴は徐々に水浸し地獄に突入していきました。


お花畑に癒されて

濃いガスですが、お花畑に癒されながら
(写真を撮って休み休み)歩きました



次々と現れる雪渓

この区間は稜線歩きなので
雪渓はないと思っていたのですが・・・


すれ違った単独行の男性が
雪渓でルートが上下になっている所は
上のルートが良さそうだよと教えてくれました。
アップダウの続く稜線歩き

ここが何処だか分かりません。ガスの中、なん回かグループを追い越し、何度もアップダウンを越えました。ここまでのアップダウンは錆鉄人の想定を超えていたので、心の中で「約束が違うじゃないか」と思っていました。


こんな下りがあるのかよ!
狼狽する錆鉄人でした

展望もなく果てしなく続くアップダウンに意欲も喪失気味の錆鉄人は、花の撮影で気を紛らせていました。
でも、取説を全然読んでいないので、マクロ撮影のやり方を覚えていない(その点、リコーのR6は1cmマクロで良かったですが・・・)ので、ボケばっかりでしたが・・・








これは偶然うまく写った1枚
雷鳥その1

突然、雷鳥の親子が現れました。邪魔をしないように待っていましたが、動かないのでそっと進むと、雷鳥も気配を察したように移動して登山道からどいてくれました。


そう言えば天女と一緒の時も
この稜線で雷鳥に出会ったっけ・・・
何となく明るい気持ちになりました。
雷鳥その2

しばらく歩くと2つがい目の雷鳥親子に遭遇


今日はついているぞ!
無理やり信じ込む錆鉄人でありました。
またまた雪渓
この写真だったかは定かではありませんが、長さ数十メートルの急な雪渓の下りが出現。ロープが設置されていて、雪渓には階段状の足跡が続いていました。滑れば一気に落ちてしまいそうな傾斜なので、下の方で数名のグループがピッケルを差しこみながら慎重に下っていました。
しかし無謀な(凍結していたわけでもないので、そんな恐る恐る歩くこともないと思っただけですが・・・)錆鉄人はあっという間に追い付いてしまいました。そして、横から追い越す時に草の上をツルリと滑りましたが、ちゃんと足を送って転倒を免れました。
という事で、その下の登山道に復帰しましたが、その登山道は左方向は登りで今まで歩いてきた稜線に復帰するような感じです。(ガスで先までは見えません)右方向は下っていて、何か下山ルートのような感じで、錆鉄人はどちらに進めば良いか分からないので地図を出しました。
追い越した一向も地図を取り出し磁石で方向を調べ、左だというので、錆鉄人はタタタタッと登山道を登りましたが、ガスの向こうに現れた登山道は左に折れ曲がって、いま下った雪渓の下に続いていました。
という事で、今度は走って戻ってその事を彼らにも告げて、右のほうに下って行きました。
今考えてみれば、稜線歩きが続くならわざわざ雪渓をロープで下る事もないはずなのですが、次々に現れるアップダウに腐っていた錆鉄人なので、頭も腐っていたのかもしれません。

この先に秩父平があったような・・・







お花畑の中の登山道

ここは黄色ばっかりです。



弓折岳はまだかしら?

こっちから来たんだから
確かに弓折岳に向かっている事には間違いがないけれど・・・









あれが弓折岳みたい・・・
急な登りだなと恐れる錆鉄人でした
弓折岳

しかしながら、登りは高々数十歩
疲れた足と疲れた心で我慢しながら登り
8:52 到着


珍しいコバイケイソウの花
白山でも杓子平でもコバイケイソウの花は
ほとんど咲いていなかったから
今年は裏年なんでしょうか?
弓折岳分岐 8:57

弓折岳から分岐まではほんの数分。ここのベンチでおにぎりを1個食べ5分ほど休憩しました。
錆鉄人は2時出発5時半戻りの計画表を作成していたのですが、ザックに入れるのを忘れていました。別に誰かの記録を破ろうと思って挑戦している訳ではないのでどうでも良い事でしたが、記憶では1時間遅れていると思いましたが、その通り。
そして、ここまでで1時間半遅れなら絶不調という事で、槍は諦めて鏡平に下山する事にしていましたが、それはクリアしています。
下山をうながす悪魔の囁きに耳を貸さず、敢然と双六小屋への道を歩きだす錆鉄人と言いたい所ですが、惰性で進んだみたいな気もします。


2年前の鷲羽水晶日帰りの時、標識がガスで見えなくて登山者が登ってくるのを待っていたのはここだったかな?と思いながら通過しました。



この辺りまで来ると、マクロ撮影のコツを会得した気分でしたが、実際はAIの自動判定でマクロになっていただけという事が後日判明しました。
(天女のデジカメ漬け洗い事件で同機種に買い替えた機会に、ちょっとだけ取説を見て分かりました。)
花見平

さすが花見平!



はるかな双六小屋



やっと双六小屋が見えました!
ここまで来たら、もう引き返せない
(錆鉄人は戻る事が大嫌いなのですから・・・)
双六小屋

中央に夫婦の登山者がいましたが
山荘手前でキャッチアップ


という事で、9:41 双六小屋に到着
左と右

2年前はここを登って右に行ったっけ・・・
と感慨にふけりながら休憩


右にはこれから登る樅沢岳
標高差は200m位だったはずですが
錆鉄人の恐怖心をガスが隠してくれました
いよいよ西鎌尾根から槍ヶ岳へ
疲労困憊して双六小屋に到着した錆鉄人なので、普通なら液体燃料を補給する所ですが、小屋の前にはガスが晴れて樅沢岳の急斜面が立ちはだかっていました。
2年前、水晶小屋で冷たくはないビールを600円も出して飲んだはいいのですが、黒部源流の死にそうな怖い雪渓渡りの連続の後、三俣の天場までの登りで、生まれて初めて心臓の不調(酔いが回った!)を実感した事を覚えている記憶力の良い錆鉄人は、飲みたい気持ちをぐっと堪えました。その代り、登りがなくなった槍ヶ岳山荘では「生ビール」を飲むのだ!と決心しながら。

しかしながら、出来るだけ小屋ではお金を使って、辺鄙なところで登山者の為に頑張ってくれている小屋に、感謝の気持ちを形にすべきだと考えている善意の塊のような錆鉄人は、何かを買おうと戸を開けて中に入り、アミノバリュー?のペットボトルを購入しました。(500円)アミノ酸は筋肉疲労に良いという記憶があったからでした。
外のベンチに座ってアミノバリューを飲みながら、おにぎり1個とチーカマ1本を流し込みました。やはり、パンは食べる気になりません。飯豊山のパン1個で日帰り事件以来、パンはトラウマになっているのかもしれません。(天女はパンが大好きなので、家では良く食べるのですが・・・)
それから、濡れた靴下を履き換えました。この先は稜線だし、雪渓はないだろうと思ったからでした。


計画では15分の休憩でしたが、トイレに行ってから給水している頃には、時々日も差してきたので、石に腰かけて入念に顔と腕に日焼け止めを塗り(この時、侮って足に塗らなかった為に後で大変な事になったのですが・・・)、結局26分も休憩してしまいました。

10時07分、決意を込めて樅沢岳に足を踏み出しました。
登山道は嫌になるほど短いジグザグで登っています。25分の休憩が奏功したのでしょうか、フーフーいいながらも、ほぼ20分で登り切ったので、やや安心しました。しかしながら樅沢岳山頂かと思って登ったピークは偽物で、その少し先のピークが本物の山頂でした。10時28分到着。

  →槍ヶ岳に続く

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