究極の日帰り 笠〜槍その1 笠ヶ岳山荘まで

08年7月26日

地 点 新穂高
BT
笠新道
杓子平 稜線 笠ヶ岳 笠ヶ岳
山荘
鏡平
分岐
双六
小屋
千丈
乗越
槍ノ肩 槍ヶ岳 槍ヶ岳
山荘
槍平
小屋
林道
終点
新穂高
BT
合 計
時刻 2:00 2:35 4:34 5:18 6:06 6:16 8:52 9:40 11:57 12:43 13:14 13:45 15:20 16:30 17:28 15:28
休憩 0:02 0:05 0:04 0:06 0:05 0:27 0:03 0:04 0:02 0:15 0:08 1:21
コースタイム 0:35 1:57 0:39 0:48 0:06 2:20 0:43 1:50 0:43 0:29 0:31 1:10 1:02 0:58 14:07
標準CT 1:05 4:20 1:20 1:10 0:10 3:05 1:20 3:45 2:00 0:30 0:30 2:40 2:00 1:30 25:20
笠ヶ岳山荘から双六小屋までは何故かボロボロでした。(2日連続の睡眠不足が祟ったと思っていますが・・・)

今回のルート
新穂高から笠ヶ岳〜双六小屋〜槍ヶ岳と周回するなら、クルア谷から登るときれいな丸を描けて一番美しいルートとなります。しかしながら、クリア谷コースは笹藪のコースで、早朝出発となれば登山靴はずぶ濡れとなって、悲惨な足底イタイイタイ事件が再発する事はさけられません。
直前のヤマケイ山岳情報の笠ヶ岳山荘の情報では、クリア谷コースの草刈りをしたと発表されましたが、刈りはらった笹は登山道に散乱しているのが常で、結局登山靴はずぶ濡れ・・・と判断した錆鉄人は、2001年に天女と一緒に登った笠新道から登ることに最終決定したのでありました。



という事で、
距離41.5kmコースタイム25時間40分の笠槍日帰りの始まりです。

【経緯】
06年に百名山全山日帰りを目指していた頃の充実感が懐かしく、再度ロングコースの日帰りに挑戦を決意。
日頃何のトレーニングもしていない上に、登山もほとんどしていないので、2週間前に市ノ瀬から別山・白山・釈迦新道のセミロングコースを歩き、身体を慣れさせてから実行しました。
睡眠不足事件
24日夜、知人が訪ねてくる事になり、しばらく一緒に飲んでから寝るつもりでした。しかし10時過ぎに来るはずだった彼は、道を間違えたとの事で到着したのは11時半を回っていたような・・・(記録をとっていた訳ではないので・・・)
とりあえずお風呂に入ってもらってから、飲みながら仕事の話や山の話などをしていました。天女の梅酒をおいしいと言ってくれたので、天女は喜んで年代物の真っ赤な色をした天女梅酒をプレゼント!
気が付くと、午前2時半にもなろうとしていました。お互い明日も仕事なので、もう寝ましょうと言って寝ました。

錆鉄人は7時頃まで寝て、少しでも睡眠時間を確保しようと思っていましたが、6時前には目が覚めてしまいました、歳なんでしょうね。しかたがないので、いつものように畑に水をまいたり、雑草を取ったりして朝食までの時間をつぶしました。
という事で、前日はたったの3時間ちょっとしか寝られなかったのでありました。

という事で・・・
25日は会社を5時35分には出て、一心不乱に高山まで走り、いつものサークルK(最後のコンビニ)で食糧とビールを買って、さらに新穂高まで走りました。トイレはサークルKで済ませたので、今回はバスターミナルのトイレには行かず直接新穂高の無料駐車場に入ると、何と新記録、まだ9時でした。計画では9時半だったので、30分寝不足が解消出来ると喜んで、ビールを飲んで速攻で就寝体制に入る錆鉄人でありました。


と!
真っ暗な中
、ベルが鳴り響きました。

寝不足でもうろうとしながらも、そこは決然と起き上がって登山準備をする錆鉄人でありました。着替えをしながら朝食にと考えていた寿司(8切れ入り)に、塩分不足にならないようにと醤油を最後の一滴までかける冷静な錆鉄人でありました。

安全のお守りの天女の数珠を手首にはめ、次に腕時計をはめましたが、何気なく目に入った文字盤の表示は「11時17分?」
ギョッ!腕時計の故障か
と目覚まし時計を探すと、やはり同じ時間。頭脳明晰な錆鉄人も、寝不足で頭がおかしくなったのか事態が把握できませんでした。(この原因は新穂高に戻った所で解決しました。)

しかしながら、2つとも誤作動して同じ時間表示をしているという事はあり得ないので、今が11時過ぎでしかない事はどうにか理解しました。という事は「目覚まし時計の誤作動!」セットした時間を確認しますが、ちゃんと1時半を表示しています。普段は使っていない景品かなにかで貰った目覚ましで、取説も見ないで使っていましたが、ひょっとしてアラームが他にも設定されていたのでしょうか???
あと2時間寝なくちゃ!と思い、そこは冷静な錆鉄人、残った寿司にもう一度蓋をして横になりましたが、目覚ましが誤動作したという事は、ちゃんと1時半に鳴るのだろうかと不安に駆られ、眠れません・・・
ボロボロの起床!登山届
寝なくっちゃ、寝れる、寝れる時、寝れば、寝よ!
錆鉄人の睡眠不足のおまじない「睡眠五段活用」もうまく行きません。
悶々としていると、今度は靴下を履いているので足が暑くて気になってきました。動かないでいれば寝られると我慢していたのですが、しかたがありません。体を起こして靴下を脱ぎました。
もう一度、就寝体制に入ります。もう、目覚ましの事は構っていられません。2日続きの寝不足でもう疲労困憊です。目覚ましが鳴らなければその時考えようと割り切ってしまうしかありません。
が・・・、悶々悶々々・・・

寝た記憶がないのですが、目覚ましが鳴り響きました。今度は枕もとに置いていたヘッドランプを点けると、ちゃんと1時半でした。

やるしかない!
悲壮な決意をする寝不足でボロボロの錆鉄人でありました。
2時間前にかけた醤油が浸みこんだ寿司(うまくないです!)を食べ、1個毎にアクエリアスを飲み流し込みました。

装備は家を出発する前に準備しておきましたが、再確認し、コンビニで買った残りの食糧をポリ袋ごとザックに入れました。外は寒くはありません。余程寒ければズボンと長袖シャツを着るつもりでしたが、短パン・Tシャツ(寝ていた格好)で歩きだす事に決定しザックに押し込みました。空は曇りですが、切れ間もありました。
登山靴に足を入れ、紐を締めました。締め方がちょっといい加減すぎましたが、まだ注意力不足だったのでしょう。ストックを2本伸ばし長さを揃えました。
車をロックして出発しようとすると、スペアキーが見当たりません。今回は軽量化の検討を重ね、「メインキーをスペアキーに替えて持って行けば、5グラムは軽くなる」のではないかと執念で考え着いた「決め技」でしたが、帰ってみると車の中に転がっていました。
という事で、この5グラムを心の中でやけに重く感じながら、駐車場を出発しました。

バスターミナルに着き、トイレに入りました。1グラムでも体を軽くして出発しようとするいつもながらの錆鉄人流の登山の極意です。(って、誰でもそうすると思いますが・・・)トイレのベンチには登山者が1名寝そべっていました。車が数台、バスも1台停まっていました。

洗面所の暖かい水で顔を洗いましたが、やはりピリッとしません。
レバーがあるのですが、冷たくなるのかしら?ここは実験をしている暇はありません。ほっぺたを軽く叩いて気合を込めて出発。

と、その前に、超ロングコースは2年ぶりで55歳にもなったし・・・と弱気になっていた錆鉄人は、何と!登山届を準備してきていたのでした!
百名山を完登しておきながら、登山届は数回しか出していないという登山者の風上にもおけない錆鉄人でありましたが(錆鉄人は絶対に遭難しないので、余計な手間はかけさせないという気配りなのでありました。)、今回は熱中症にでもなったらどうしよう?という不安を持っていたのでした。
体力面で駄目なら小屋に泊れば良いし、怪我やねんざで歩けなくなる事は絶対にないと自信がある錆鉄人でしたが、熱中症は出来るだけ予防しながら歩くつもりですが、「非随意」な現象ですから、万が一の時を考えたのでありました。錆鉄人もようやく大人になったのかもしれません?
(その後の登山でも、やはり登山届は出していません・・・反省!)
出発
という事で、午前2時。ひとりぼっちの出発です。(堀江さんのような・・・、って、大抵ひとりで出発ですが・・・)
橋を渡って、右側に続く駐車場を見ると、車がかなり駐車していました。夜中なら無料で出られるのでしょうか?
道路との間は、数百kgはあるかという大石で出られないようにしてあるけど、錆鉄人なら動かせるかも?と妄想しながら歩いていると、普通車では通れそうもない急斜面にタイヤの跡が!
先ほどの妄想も忘れて、「高々1000円位の駐車料でしょう!ちゃんと払いなさい」と眉をひそめる錆鉄人でありました。
一番奥のホテルを過ぎると、ほとんど真っ暗闇です。小心者の錆鉄人は恐怖に駆られて、頭を振って辺り一面を確認しつつ、背中を振ってクマ避け鈴を鳴らし続けるというチンドン屋みたいな格好で歩きました。
例によって、川沿いまでくると川音にクマ避け鈴の音はかき消されますから、さらに用心深く進む錆鉄人でありました。
不安に駆られながらも「今もあるのかな?穴毛谷の説明をした看板は?」と暗闇を照らしながら歩いていると、ありました。(2年ぶりです)
しかし、「飛騨森林管理署」と大きく書かれていながら、こんな「18禁」にすべきような解説を堂々と税金を使って書いていて良いのでしょうか。
勿論、真っ暗なので、解説してある穴毛谷の姿はおろか、場所さえも分かりません。(明るい時も良く分からなかったような・・・)


笠新道口
その後は、記憶の片隅にある風穴(その横を通ると涼しい)や、以前に間違って渡ってしまった橋の横などを通り過ぎ、本当の橋を渡りました。
そういえば、最初に笠に登ろうと思った時は、地図が古くて登山口が先のほうに代わっていたのをしらずに、この橋の先から左に分け入って旧登山道を無理やり探し出して突入し、藪漕ぎの末結局撤退して、ヤケになった訳ではありませんが焼岳に登った事を思い出しました。
そういえば、天女と笠の日帰りをした時も、鏡平山荘経由での下山ルートのほうが距離は長いけど楽だし、鏡池に映る槍穂の素晴らしい景色が見られると天女をだまして行きましたが、弓折岳の手前で廃道を下りてしまい(新穂高という標識が落ちていたからですが・・・)大雪渓に出てしまい、しかもガスってきてルートは何処だと焦った事も思い出しました。(勿論、零世に地図を眺め、左に進めば鏡平からのルートに合流できると考え、ちゃんと合流出来ましたが・・・)
錆鉄人にとって「笠ヶ岳は魔の山」なのだ・・・(2日連続の睡眠不足も魔の山の呪いなのだろうか・・・)などと考えながら歩いていると、うっそうとした杉木立の中に入り、そこが笠新道の取り付きです。
2時35分到着。計画では飲まないつもりでしたが、ザックを下ろして背中に取り付けてある小さなマグカップで飲んでみると、硫黄臭くありません。という事で3杯しっかり飲んで、僅か2分ほどで出発。


すごいガス!じゃなくって
自分の息が白くなっていました
笠新道
笠新道は2回目ですが、どんな感じだったか程度にしか覚えていませんでした。ただ、コースタイムは「悪路」なので長めに想定されていると思われるので、コースタイムの半分以下で歩けるはずだと思っていました。
登り始めてしばらくすると、ヘッドランプがガクンと暗くなったような感じがしました。おかしいなあ、3時間は余裕で点灯していたのに・・・、電池も同時に買った同じ製品なのに・・・、外国メーカーの安売り製品だからかなあ(秋葉原のアキバオーで1本180円位で買ったような・・・)等と考えながら歩いていると、明かりの先に登山道がありません。
激しいツヅラ折れで、しかも急傾斜な上に足元が岩で凸凹なので、いつもと違って足元ばかり照らしながら歩くはめになって、ガスのせいもあって登山道が曲っているのを見失ってしまうのでした。ヘッドランプが暗くなったのもその一因じゃないかと思いますが、立ち止まるという事が嫌いな錆鉄人は、見えない訳ではないのでそのまま登っていたのでした。

何度も登山道の行方を見失い、探しながら登っていました。前回は振り返ると逆光の槍穂がきれいで何度も振り返りながら登った記憶があるので、楽しみにしていましたが槍穂はガスの中に沈んでいました。
とっ!魔の山出現!
左足を乗せた草の下が何もなく、足を滑らせ滑落しそうになりました。とっさに態勢を立て直す反射神経抜群の錆鉄人でしたが、右足の膝下を擦りむいて血がにじんできました。別に打撲したわけでもなく、痛みもないので登山には支障ありませんが、カッコ悪いなァと思いました。
雰囲気が変わってきたから、そろそろ杓子平からと思いましたが、なかなか到着しません。ヘッドランプはいよいよ頼りなくなってきたので、電池を交換する事にしました。さすがに新しい電池はびっくりするような明るさで照らします。


杓子平
それからしばらくして、4時34分ひょっこり杓子平に到着。杓子平には数十種類の高山植物が生息していますと書いてありました。



薄明るくなった中で山肌に雪渓が多く見えました。
杓子平の花

登山道の横のお花を撮りながら歩きました



稜線への登り

杓子平からいったん僅かに下り
そこからは写真のようなかなり険しい登り
(って、全然分かりませんが・・・)
ここから笠ヶ岳までのコースタイムは
登りも稜線歩きもちょっと厳しいと思います


それでも登山道の両側はお花畑
稜線分岐

5:18 ようやく稜線に達しました。
数メートル下った所が右の写真です


2001年に来た時は階段に小石がなく
ちょうど良いベンチのように感じました。
稜線に出たら風が強かったので
歳を考え長袖シャツを着ました
(下は短パンのまま)
稜線

露をまとったチングルマ


抜戸岩の奥が見えない程のガス
勿論、槍穂も見えません
稜線では何組かの登山者に逢いました
笠ヶ岳山荘


笠ヶ岳山荘の手前にキャンプ場があります。そこはキャンプスペースと登山道が入り乱れているので、ちょっとコースを外してしまいました。

が、すぐに軌道修正して、ガスの中からひょっこりと笠ヶ岳山荘に5:57到着。
あいにくの天気の中、頂上から下山してくる登山者や、出発の準備をしている人達がいました。
天気が良ければ、ビールを買って頂上で飲む予定でしたが、この天気ではビールを飲む気持ちにもならないので、そのまま出発。


笠ヶ岳頂上

6:06 山頂に到着
ちょうど下山されようとしていた名古屋の御夫婦に
写真を撮ってもらって、おしゃべり


三角点は社から左20m位の所です。
展望もないのですぐに下山

2001年の時は天女と2人きり
絶好の展望を二人占めでした。
山荘に戻る

山荘入口横の温度計は9℃
錆鉄人は稜線で上着を着ましたが
下はランニング用の短パンのままでしたが
大量のエネルギー消費で体温が上昇しているので
寒くはありません。


入口の右手には流し台があって
蛇口をひねると水が出てきたので
ありがたくペットボトル2本に給水させてもらいました。
何も書いてなかったので無料のようです。
今年は当面、水は豊富でしょうから。
双六小屋へ
という事で、ここで小休憩。パンを一口かじりましたが、全然食べる気がおこらなくてザックにしまい、おにぎり1個とチーカマを食べました。
6時23分、山荘を出発しました。

    以下は 双六小屋まで の項をご覧下さい。
    計画とダイジェスト版はこちら


この先はガスっていてモチベーションは最低でした。寝不足の影響がモロに出たのかもしれません。

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