天女の部屋06以降
心のほぐし絵 幻の天女米 天女農園 天女の庭(5月8日UP) 現代の羽衣

2003年末の九州旅行で神々の住む里「高千穂」へ行き、天岩戸神社の宮司さんから神話の世界のお話しを伺った影響か、(以前から兆候はあったのですが)妻が天女になってしまいました。(この顛末は「天女伝説が生まれた?湯布院 夢想園」を参照して下さい。)
天女であるがゆえ、現代社会への適応が困難なために起こるドタバタ喜劇を報告するのがこの部屋の目的であります。

【ご注意】余りに長編になったので05年までのお話はこちらをご覧下さい。

第39話 水のお湯割り  第40話 孫の手  第41話 天女の音声リモコン  第42話 優貴君の一大事  第43話 消えた天女
 第44話 ドライブ旅行にて  第45話 コーヒー戦争  第46話 てんぷらが食べたい  第47話 キャッシュカード  第48話 プラトニックラブ  第49話 胸の痛み  第50話 腕の痺れ  第51話 ネクタイ  第52話 省エネNo.1  第53話 続 愛情比べ

第40話 孫の手
年末は大掃除も大雪も放り出して横浜に孫に会いに行き(クバのご両親が来られるので会いに行ったのが本当の理由であります)、帰ってきたのは31日の午後10時少し前でした。
元旦を迎えて暇があるといっても、勿論大掃除をするなどという
「愚行」はしないのが我が家の伝統であります。しかし、元旦は晴れの良い天気でしたが、気温が上がらないので少しも雪が消える気配もなく、その後の週間予報でも雪の予報が続くので、錆鉄人は飽食(といっても、我が家は大しておいしくもない癖に、作るのに時間がかかる「おせち料理」というものはしない伝統であります。暇を持て余してテレビを見ながらお菓子などを食べ続けるので飽食するわけであります。)による肥満防止を兼ねて、降り積もった雪の処理に明け暮れたのでありました。
ここでも錆鉄人はテキトーに除雪を続けるという事が出来ない性格なので、ヒーヒーハーハー除雪作業を行い汗だくになって家の中に入る事になります。天女がストーブを点けないので室温1〜2℃でコタツに入っていると、除雪作業で血行が良くなっている所で急に静かにしていた為か、背中が痒くなってきたので、孫の手があった事を思い出し、天女に尋ねると分からないとの答え。
これは天女のせいではありませんが(その原因は片付けの苦手な錆鉄人にありますが、天女の片付けは水平移動であって、整理して片付けないので探すのが大変になるのでありました。我が家には不要なものがありすぎるのが一番の原因とは思いますが・・・)、必要な時に必要なものがないのが我が家の伝統であります。
例えば、錆鉄人は何故かは分かりませんが、食事の際に必ずノドが詰まりますが、天女は飲み物を用意しておいてくれた事がありません。いつも目を白黒していると天女が台所に走っていっ水を汲んできてくれ、やっとノドが通るという事を繰り返しているので、「僕はきっと正月に餅をノドに詰まらせて死ぬと思う。」と話している程、毎回ノドが詰まるのでありました。それでもやはり我が家の食卓に飲み物が準備されていたことはないのですが、今の所「手遅れ」になったことがないのはメデタイ限りであります。
という事で本題に戻りますが、孫の手がないから「背中をかいてあげる」といつもながらの優しい天女でありましたが、なかなか痒い所をかいてもらえず、しかも強弱がマッチしないのでかゆみが解消しないのは先刻経験済みでありました。そうしているうちに「かゆみ」は収まりましたが、
愛情深い天女は錆鉄人のために、諦めずに孫の手を探していたのでありました。
そして遂に、敷居と畳の隙間に落ちていた孫の手を見つけ出して、「お父さん!孫の手が見つかったわよ!」と言って
「すぐに」手渡してくれました。
「おいおい、これで背中を掻くの?」
と錆鉄人は尋ねましたが、
孫の手の全面に埃が1cm近くも積もっています。自分の失態に気付いた天女は笑いながら孫の手を受け取って、フキンで拭くために台所に持って行きましたが、天女の笑い声は止まりません、いつもながらの「天女ブリ」に錆鉄人も笑いが止まらず、今日も大笑いの二重唱が続いたのでありました。正月早々から「笑う門には福が来る」を実践しているメデタイ天女家でありました。
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第41話 天女の音声リモコン
天女が晩御飯の後片付けが済んでコタツに入るなり言いました。「お父さん、コタツを熱くして!」
錆鉄人は反対側でパソコンをいじっていたので、その瞬間、お互いの目が合ったのですが、天女と錆鉄人は同時に爆笑しました。そうなんです、天女はデリケートなのでコタツの温度対応範囲が低く、炊事が済むとコタツに入り込んで「あーあ、疲れた。」と言ってコタツにすっぽりと入り込んで御休みになるのですが、しばら寝ていると今度は「お父さん、コタツを弱くして!」と言う日々が続いていたからでありました。ちなみにコタツの温度調整スィッチは錆鉄人の入っている近くにあって、天女が手を伸ばしても届かないので、一旦出るか、コタツの中に潜り込まなければならないからでありました。
「便利な音声リモコンやな」と言ったらまた大笑い。でも、この音声リモコンはテレパシーでも作動するので、寝ている天女にお茶を入れたり、口におせんべいを運んだりのサービスもするのでありました。
「明日は音声リモコンがないから大変だわ!」
錆鉄人は明日、出張で泊まりになるのでした。

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第42話 優貴クンの一大事
会社で仕事をしていると携帯がなりました。
見ると自宅の電話番号です。
という事は、この日休みの天女からです。
我が家は滅多な事では電話をしない習慣なので、錆鉄人は天女からの電話だと気付いた時点で心臓がドキドキしてきました。何か事故があったに違いない!と・・・
部屋の外に飛び出して電話をつなぐと、「メグから電話があって(錆鉄人:ドキドキドキ!)優貴君が(ドキドキドキドキドキドキ!)ソファーから落ちて(ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ!)、泣き止まないので、オッパイを飲ませたら泣き止んだって言うんやけど(ホーーーーーーーッ)、病院に行ったほうがいいと思う?」という電話でした。
「そんな事わからんよ。仕事中だからね!そんな事で電話せんといてよ。」と言って電話を切り、家に帰ってから「あんな事聞かれたって、分かる訳ないやろ。そんな事で電話せんといて。」と言ったら、「私はお父さんだけが頼りなんですからね!お父さん、長生きしてね。」と返されました。「うちは2人共、橋から(4m下の川に)落ちてもなんともなかったんやで(長女は頬が擦りむけ、次女は頭の一部が陥没したのですが、病院で絆創膏を当ててもらっただけで済みました。)、ソファー位から落ちたぐらいでは大丈夫だよ。」と言うと「そうね、子供だから滅多な事はないわね。」とやっと自分の子育ての経験を思い出して安心したようでした。
錆鉄人はこの期をのがさず「(夫だけが頼りなら)
優しくしてね!」と言いましたが、「これ以上優しくなれません!」と言われ「感謝してます。」としか言うことが出来ませんでした。
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第43話 消えた天女
二女の引越しをする為に仕事を定時で終えて家に帰り、天女を乗せて京都まで下道を走りました。
そして21時頃、いままでのアパートに着いて荷物を積み込み、新しい部屋のある五条に走りました。新しい部屋は9階建てのビルにありますが、京都の中心地の五条ですから駐車場もありません。借りてきた台車に荷物を載せて、天女と二女はエレベーターを上がっていきました。錆鉄人は下に残って、車の中の荷物をエレベーターの前まで運んでいました。
やがて天女が台車を持って下りて来ました。台車の上に荷物を載せてやり、天女が上がって行くのを見送りました。
その時、天女は「部屋は○階の○号室よ。」と言いました。
錆鉄人は、そのあとも車の中から荷物を運び込んでいました。でも今度は天女がなかなか下りて来ません。
やがて、二女が下りて来ました。
「あれ?台車は?」
「台車なんかないわよ。」
何と、天女が台車ごと消えてしまったのでした。
まさかこのエレベーターが月までつながっている訳ではないはずです。(って、天女はかぐや姫ですか?)
二女は荷物をかかえてエレベーターで上がっていきました。
・・・長い時間が経って、天女が戻ってきました。
聞くと、笑いながら
「○階の○号室へ行くと鍵が掛かっていて・・・。迷子になっちゃったと思ったわ。」
と言いました。
実際は△階の△号室だったのでしたが、たまたま空き部屋で良かったです。
最後に錆鉄人が荷物を持ってエレベーターを上がると、エレベーターの前には十数メートルの廊下があって、その両側に部屋があるだけです。迷子もなにもないと思うのですが・・・
あんなに長い時間、天女は何処へ行っていたのでしょうか?謎です。
錆鉄人を心配させる人騒がせな天女でした。
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第44話 ドライブ旅行にて
4月8日に吉野・熊野方面に旅行に行った時のことです。
天女の休みは1日しかないので、7日19時に家を出発して道の駅大宇陀で車中泊し、8日は6時前から吉野の桜見物〜谷瀬の吊橋〜玉置神社参拝と神代杉・夫婦杉〜熊野本宮大社参拝〜川湯で河原を掘って露天風呂に入る〜瀞八丁観光〜(北山村の桜祭り)〜奈良のSさん宅訪問し家に帰るという走行距離760kmの欲張り計画でした。時間がないので、神社の参道や階段はランニングシューズで走りまくるという錆鉄人と天女らしいヒーヒーハーハーの旅でした。(天女は運動不足を感じていて、日頃「走りたい!」と言っていたので、走る事を計画に入れる愛妻家の錆鉄人でありました。)
さて、吉野山を下りて走行中に、何故か天女が浮かない顔をしているので、錆鉄人は「楽しいな」の10回復唱を命じ、天女はイヤイヤ「タノシイナ、タノシイナ・・・」と10回繰り返しましたが効果はありません。「そんな顔をしていると癌になってしまうよ」と言って何度か「楽しいな」の復唱を命じながら走っていました。
天川村を走っていったら、道路横に横断幕がありました。天女は好奇心が旺盛なので「ニクの星って何?」と不思議がっています。「あれは”星のくにへようこそ”だよ!」と大爆笑。天女はすでに500歳で戦前の生活が長い為でしょうか、横断幕を右から読む癖が直っていないのでしょう。天女もニッコリ、少し回復してきたようでした。
さらに国道168号線沿いを南下していましたが、はるか下の谷間を緑色の水が満々と埋めていました。それを見て錆鉄人は「ダムがあるんかな」と言うと、天女は川面を見て「いいえ、これは川よ!流れているのが見える」と言いました。風で水面が波立っているだけではないかと思いましたが、愛妻家の錆鉄人は天女を立てて「さすが、日本一雨が多いという熊野やな。信濃川よりも水量が多いんじゃない。」と言いながら、・・・5分程走るとコンクリートのダムが・・・。
またまた大爆笑。天女も笑って誤魔化します。勿論、ダム湖も川の一部ではありますが。
でも、天女には遥か崖下の1秒間に1cmもない水の流れが見えたに違いありません。なにせ天女ですから。
これで天女モードに完全復帰
午前0時頃、眠くなった錆鉄人が道の駅「マキノ追坂」に入って、後で寝ている天女をトイレに行かないかと起こすと、「思い出したわ。卒業式の時に持っていったバッグの中にスペアキーがあるのではないかと思うの。」と言います。いつも出発前にスペアキーを天女が持っている事にしているのですが、昨日は、ないと言って家捜ししていたのでしたが見つからず、出発が遅くなるので、錆鉄人は「そんなもの、頼めば作ってもらえるからいいよ」と言って出発したのですが、天女はずっ−と考えていたので浮かない顔をしていたのでした。
果たして、家に帰るとすぐにバッグの中を探し、目出度くスペアキーが見つかりました。寝ていた天女に「天の声」が届いたに違いありません。       TOPへ

第45話 コーヒー戦争
例によって他愛のない話ですが、我が家にはコーヒー戦争というものがあります。
錆鉄人が仕事から帰ってくると、天女はかいがいしく夕食の支度をしてくれ、錆鉄人が食べている間も何か忙しそうに台所で動き回っていて、やがて「ああ疲れた・・・」と言ってコタツに潜り込んできます。(我が家は山間部にあって寒いので、4月でもまだコタツをしているのでした。)例によって音声リモコンが作動しますが、そのうち「お父さん、コーヒーが飲みたくない?」と聞いてきます。錆鉄人は優柔不断なので「うん。」と言うと、必ずのように「私がコーヒーを入れるから、その代わりお父さんは○○をして。」と交換条件を出してきます。
それを聞いた錆鉄人は脱兎のごとく台所に走り出しますが、天女は潜り込んだコタツから出るのに時間がかかるので、いつも錆鉄人が圧勝します。それでも、遅れて台所に来た天女は、何とか「自分も作業をしたという実績」を作ろうとしますが、錆鉄人は受け付けません。天女はコタツにすごすごと戻るのでありました。
こうして、我が家のコーヒー戦争はいつも錆鉄人が勝利し、天女は「お父さんのコーヒーはおいしいね!」と言って飲むのでありました。(単なるインスタントコーヒーですが・・・)
しかしながら、気が付くと天女の出した交換条件は、何故か錆鉄人の役目になってしまっているのでした。

ちなみに、我が家には錆鉄人が長年の研究の結果発見した「インスタントコーヒーの黄金分割法」というおいしいコーヒーの作り方があります。これは簡単に説明すると、コーヒー1匙、マリーム1匙(我が家はクリープではなくマリーム党なのであります)、砂糖1匙を入れてお湯を注ぐというシンプルな「作法」でありますが、シンプルゆえに美しい宇宙の法則に次ぐ真理なのであります。
ところが、肥満防止から、コーヒーに砂糖を入れなくなって久しく、「砂糖抜きでのインスタントコーヒーの黄金分割法」はまだ発見に至っていないのでありますが、天女はいつも「お父さんのコーヒーはおいしいね!」と言って飲んでくれるのでありました。(今でも山にコーヒーを持っていく時だけは、カロリー補給・疲労回復の為に砂糖を入れた黄金分割で混ぜ合わせたものを持って行きます。)
そして、いつしかコタツに潜り込んでいて「お父さんのコーヒーが飲みたいわ。」と催促するのでありました。天女の名誉の為に説明しますが、2人だけの生活なのに何をしているのかな?と思うほど、天女はかいがいしく台所にいて、やっと休息の時間になったからコタツに潜り込んでいるだけでありまして、愛妻家の錆鉄人は感謝の気持ちを込めてインスタントコーヒーを入れるのでした。
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第46話 てんぷらが食べたい
もう数年も前の事ですが、我が家から突然てんぷら油が消えてしまったのです。と言っても、錆鉄人は料理が出来ませんから、無くなったことも知らなかったのでしたが。
ある日、バーベキューをする事になり(我が家には自慢の藤棚があり、錆鉄人はその下でバーベキューをするのが大好きなのです。)肉を焼く前に油を敷こうと、天女に「油は何処?」と聞いたら、「ないわよ!」とあっさり片付けられました。しかたなく、脂身の多い肉から焼きましたが、たちまち焦げ付いてきました。天女は「コゲを食べると癌になる」と信じているので、早速コゲを削り取りましたが、すぐにまた焦げ付きます。(そう言いながら、天女は勿体ないからと自分は食べるのでした。天女は人間と違ってコゲでは癌にはならないのでしょうか?)バーベキューを食べるどころではありませんでした。
すると、天女はまだ油があった事を思い出したようで台所へ戻りました。「良かった!」と安心した錆鉄人は焼肉のタレを継ぎ足して待っていました。が・・・、持ってきたものは何と「ごま油」でした。
そもそも、てんぷら油やサラダ油というものを処分したのは、某テレビ番組で「油は健康に悪い」と言っていた事を天女は「真に受けた」からです。(錆鉄人はこの地上の真実を知らない天女に、常日頃からテレビや新聞なんか誰それが死んだという事以外本当の事はほとんどないから、信じては駄目だと教えているのですが・・・。天女は平和な天上世界の住人だったので、疑うという事を知らないのです。
そういえば、以前に架空請求のハガキが来ていて、仕事から帰った天女はそれを見て、「今日中に振り込まないと裁判所に訴えると書いてあるけど、もう今日は振り込めないからどうしよう。」と動転した声で電話が掛かってきた事もありました。)

話が横道に逸れてしまいましたが、何箱もあった贈答品のセットなども姉にやってしまって、てんぷら鍋までも金属の日に処分してしまったという徹底振りは、天女の愛情の深さだと喜ぶべきなのでしょうが・・・。
同じ番組だったかは忘れましたが、またまた「ゴマが健康に良い」という番組を見た天女なので、それ以来、朝晩ご飯にはゴマを摺ってかけてくれる天女なので、ゴマ油だけは残したのでしょうか、それとも買ったのかも知れません。
持ってきたゴマ油を見た錆鉄人はギョッと驚き「そんなものでバーベキューが出来るんかい?」と思いましたが、胃の中に入ってしまえば同じだからと自分を説得し、香ばしいゴマの香りの「珍味」バーベキューを食べたのでした。
という事で、天女はもう何年も揚げたての「てんぷら」を食べさせてくれていません。しようにも、てんぷら鍋さえないのですから。(一応フライパンはあります。しかし、これも「アルミはアルツハイマーになる」という番組を見た天女は早速処分して、鉄のフライパンを買ってきたのでした・・・)錆鉄人は天女が作った揚げたての野菜のてんぷらが大好きだったので、「健康エコナ」とか健康に良い油の宣伝をしていると、その度に「あれ買ってよ!」と要求するのですが、天女は頑として受け付けてくれません。
それでも、生協のから揚げは天女も好物のようでよく買っているので???、てんぷらをしない理由を聞いた所、「私はてんぷらをするのが嫌なのよ」とおっしゃいました。結局、錆鉄人は揚げたてのてんぷらを食べることは叶わないのでしょうか・・・(この願いが天女に届くことを祈っているのですが・・・)
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第47話 キャッシュカード
錆鉄人が帰宅して、天女に「○○銀行のカードを頂戴」といった所、天女はハンドバックから財布を取り出してカードを出しました。5枚、10枚、・・・いろんな所のポイントカードもあって都合20枚程のカードが出てきましたが、肝心の○○銀行のカードはありません。
「お父さんにあげなかったかしら?」
確かに2週間前位に借りてすぐに返したのですが、一応財布の中身を確認しました。錆鉄人は車上荒らし対策の為に山登りの時にも財布を持っていく事にしていますから、余計なカードは軽量化に逆行するので、クレジットカードとETCカードそれぞれ2枚に、免許証と健康保険証の6枚が標準なのでした。余分なカードは引き出しに入れることにしているので、一応そこも確認しましたがありません。
「ないよ!」
天女は、機械化組合に稲刈りの作業費を払う時に、カードを忘れてきたのかしら?」
と言って思い出そうとしますが・・・。
「引き出した時の取引明細があるんでないの?」
と錆鉄人は助け舟を出しましたが、それも見当たりません。
車の中や金庫の中を探しても見当たらず、
「最近、ほとんど引き出してないから○○万円以上もあったはずだけど、今頃全部無くなっているかもしれない・・・・」
と途方に暮れる天女でした。
そのカードは錆鉄人の給料が振り込まれる銀行カードですが、二女が大学を卒業したので仕送りも必要必要なくなり、今はテキトーに貯まって、テキトーに引き出している以外は、カードの利用代金や電気代・水道代・電話代などの生活費が引き出されていますが、通帳の記帳も半年以上前にされているだけなので、現在いくら位あるかも分からないという状況ですが、錆鉄人も天女も堅実派なので収入以上に使う事はないのでお金が残っているはずでした。
いくら錆鉄人が「人生は物を所有する事ではなく、どんな事をしたかが大事だ」と思っているにしても、お金に無頓着すぎていました。
うろたえる天女に錆鉄人は
「大丈夫だよ、パスワードがあるから。明日通帳で引き出してくるよ。」
と言うと、少し安心したのか
「明日、すぐに銀行へ行って新しいカードを作ってね。」
と言いながらも、数回目の財布の中身調べをしていました。錆鉄人は「無くなってしまったものはどうしょうもないから、ジタバタしてもしかたがない」という考えなのでテレビを見ていました。
しかしながら、粘り強い天女は諦めずに探し回っていました。どうも夫が怪しいと睨んだのでしょうか?引き出しの中も2回目のチェックを入れていました。
「アッ!あったわよ!」
「ヘェ〜、良かったね!」
と言ったまでは良かったのですが、
「カードを輪ゴムでまとめておいたのはお父さんでしょう!」
と逆襲されて形勢逆転です。錆鉄人は照れ笑いで誤魔化そうとしましたが、天女は30分以上も心配しながら探していたので、簡単には誤魔化されません。
「お父さん!これを天女の部屋に書くまで許してあげません!」
との宣告です。第6話の「愛情比べ」以来の大逆転打でした。

という事で、しかたなくこれを書いたのでありました。
ところで、天女の名誉の為に書きますが、天女の部屋はフィクションではなく「全て実話」でありますが、天女がいつもドジやボケばかりしているわけではありません天女は99%は本物の天女の「天」ですが、1%だけ天然ボケの「天」が混じっているので、時々大爆笑する訳でありまして、そこも天女のいい所だと錆鉄人は思っています。(ドジの回数は錆鉄人のほうが多いかもしれませんが、天女は自分でホームページを作られないので、指をくわえているしかないのでありました。これ契機に暴露合戦にならない事を祈る錆鉄人であります。)
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第48話 プラトニックラブ
横浜から帰る途中の事です。錆鉄人はドライブ中はほとんどNHK第一放送を聴いていますが、国会中継やプロ野球中継の時はCDを聴きます。愛妻家の錆鉄人なので、勿論、天女のお気に入りの谷村真二やテレサ・テンのCD(買ったのを忘れてもう1枚買ってしまいましたが・・・)も買っていますが、天女は眠っている事が多いので、そういう時、最近は小林旭を聞いています。小林旭はほとんど同じ音量で歌っているので眠くならないからです。(錆鉄人のステップワゴンは特別騒音が大きいとは思いませんが、高速を110km前後で走っていると、小さな音声の時は声が聞き取れないのです。)
ちなみに谷村真二は歌がうまい(?)ので音声の強弱が大きすぎ、ドライブ中の騒音で聞き取れない事が多く、錆鉄人はかつてアグネス・チャンの大ファンであったので、アグネスのCDも持っていますが、アグネス・チャンもやはりほとんど同じ音量で歌っているので、ドライブ中の音楽には適しています。
という事で、小林旭のCDに戻ります。
「熱き心に」が流れてきたら(天女が夜中に目覚めた時も、「そのままかけていればいいよ」と言ってくれるので、天女ももう何回も聞いているのでありました。)
「くちびるに〜ふれもせず〜」というフレーズが流れると、いきなり「六平太って素敵ね!」と言い出します。
ここで解説しますが、天女は滅多にテレビを見ないのでありますが、今年の大河ドラマの「功名が辻」は大ファンで、毎回正座して見ているのでありました。理由は女性が平等に扱われているからで(というか、このドラマでは主人公といっても良いかもしれませんが・・・)、過去の大河ドラマでは毛利元就の大フアンでした。仲間由紀恵扮する千代の幼馴染で、千代が好きだからという理由だけで、本当に手も触れずに千代(あるいは千代の夫である一豊)に情報を教えたり手助けしたりしている姿は、正しく「くちびるに〜ふれもせず〜」以上であります。
錆鉄人は天女が乙女チックに六平太の事を語るのを、少々ヤキモチを焼きながら聞いていたのでありました。
「かぜの〜すがたににて〜」の所で、またまた「風の姿に似てって素敵ね!」とおっしゃるので、錆鉄人はつい「風の姿なんか見たこと無いよ!」と言ってしまい、天女が乙女チックに夢見ている所をブチ壊してしまったのでした。「お父さんは、ロマンチックじゃないわね。」と言われてしまいました。
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第49話 胸の痛み
天女も500歳を越えて更年期障害でしょうか。軽い躁鬱状態が繰り返し、さらに身体のあちこちが痛いと言い、最近は胸が痛むのよと言っていました。愛妻家の錆鉄人は非常に心配して、精密検査を受けるように言ったのですが、「3月に人間ドックを受けるからその時に調べてもらう。」と言って病院には行かないのでした。錆鉄人が肋骨にヒビが入った時や、風邪気味のときは「病院に行って」という天女ですが、自分の場合はなかなか行かないのでありました。
さて、この日は姉の家の49日があって、天女は台所のお手伝いをする為に朝早くから出かけ、錆鉄人は後で出かけたのですが(と言っても、お坊さんを迎えに行くように頼まれたので隣近所の人よりは30分以上早く行きました。)、法事の後の宴席で相当お酒を飲んだので、天女の車で家に帰りました。
そして夕食後に、車を取りに行こうと思って天女に声を掛けたのですが、何故か「自転車を取りに行こうよ。」と口走ってしまいました。自分でも気が付いたので言い直そうと思ったのですが、すかさず天女に「お父さん、最近おかしな事をよく言うわよ。しっかりしてね!」と言われてしまったのでありました。
という事で、車の鍵を持って立ち上がった天女は、胸を押さえて「右の胸が痛むわ」と胸に手をやっていますが、そこは心臓の辺りです。「お母さん、左じゃないの?」と言われた天女は、今錆鉄人にしっかりしてねと言ったばかりだったことを思い出して、笑い出しました。そんなにおかしな事ではないのですが、タイミングが良くて2人で大爆笑になってしまったのでありました。
もしかしたら天女の住んでいた世界では、鏡の世界かアリスの世界のように左右が反対だったので、聡明な天女でも間違うことがあるのかもしれません。
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50話 腕の疼き
ここ数日、天女は「今度は腕が疼くのよ。」と右腕の二の腕辺りをしきりに押さえていたのでありました。
愛妻家の錆鉄人は、心配してマッサージしてあげようかと言っているのですが、天女はいいと言っていました。
台所が終わってコタツにやってきた天女は、パソコンを立ち上げて娘にメールを書き始めました。メールを読むのさえ錆鉄人の10倍位時間のかかる天女ですが、何と両方の手の指(両手ではありません、両方の手の人指し指です!)を使って入力しているではありませんか!錆鉄人は感動を禁じ得ませんでした。
それでも、やはり長い長い天女時間をかけて10行程のメールを書き終えた天女は、「これでいい?」と錆鉄人に内容を確認させるので、数秒で読み終えて「いいよ」と言ったら、天女は「送って」と言うのでそのまま送信しました。
すると、天女は「腕の痺れはマウスを使うからじゃないかと思うの。」と言います。「何で?」と聞くと、どうやらマウスの上に指を置くと誤ってボタンを押してしまいそうなので、一生懸命に指を持上げているのでした。
そういえば数日前、錆鉄人が晩ご飯を食べながらフリーセルをしていたら、天女も「それをしていると、頭が悪くなるのを止められるかしら」と言って、台所が終わった後で天女もフリーセルをしたのでありました。錆鉄人は1〜2分で1ゲームを終えるのですが、天女はやはり10倍以上時間をかけてじっくりとゲームをしています。という事で、30分位マウスを握り続けていたのでありましたが、その間中、指を持上げていたらしく、それはかなりハードワークかもしれません。
「こうやって指を置いていたってなんでもないやろ。やっぱり天女やな!」と言ったら天女が笑い出して、又しても大爆笑になってしまったのでした。とはいえ、原因が分かって安心する愛妻家の錆鉄人でありました。
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第51話 ネクタイ

出勤時の事です。
今日も錆鉄人家は朝寝坊で7時前に目覚ましが鳴りました。(暖冬で雪が降らないために除雪をしないで済むからでもあります。)すかさず天女が停めましたが、起き上がりません。「う〜ン、いいキモチ!」と言って寝ているので、錆鉄人は「勝った!」と言って跳ね起きました。
いつものルーチンをこなして、台所にいる天女の所へ行き「行くよ」と言いました。天女はいつも錆鉄人の出発を玄関から出て見送って無事を祈って拝んでくれるので、出発を報告する為です。
すると、」天女は「そのネクタイ、初めてね?」と言います。「初めてじゃないよ、もう何回もしているよ。」と言ってから、天女がそんな事を言うのは滅多にないので「気にかけてくれて有難う。」と言ったら、天女は「いつも気にかけているわよ!」と言うので、「頭がモジャモジャでも?」と言った所で天女が吹きだしました。第27話の「天女のお見送り」を思い出したのでしょう。つられて錆鉄人一緒に大爆笑。
いい気持ちで会社に送り出してくれる天女でありました。
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第52話 省エネNo.1
天女は地球の温暖化を防ごうと省エネに躍起です。従って電気ポットも保温に電気を使うので良くないと言って、我が家の電気ポットを処分したのは何年も前でした。箱入りの新品の電気ポットも姉にやってしまう徹底振りでしたが、「やはりないと不便ね。」と言って、我が家の蔵で熟成されていた秘蔵の電気ポットを探し出してきました。10年以上も前に新しい電気ポットを買ったので不必要になり蔵に片付けられていたのでありました。暗い蔵の中でちゃんと箱入りで仕舞われていたのでそれ程日焼けもしていませんでしたが、何せ博物館入りしても良いような代物だったので人様の前に出すのが恥ずかしく、内部に石灰質のようなものが付着したこともあって、省エネを気にする天女の為に、日本で一番省エネ性能が高い電気ポットを買ったのでありました。
という事で錆鉄人が休みの日には、自分でお湯を沸かしてこのポットに入れて使いますが、それ以外の日には電気のコードは抜かれたままです。いかに省エネNo.1の電気ポットであっても、使用すれば僅かではありますが電気を消費します。「使わなければ電気は消費しないから、究極の省エネ」になるという天女の哲学的な理論の実践でありました。
(これを読んだ天女から「ちっとも面白くないじゃないの!」と言われてしまいました。)
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第53話 続 愛情比べ
最近、天女は疲れているのでしょうか。錆鉄人家の就寝時間は午前0時前後なのですが、「疲れたからもう寝る。」と言って先にベッドに入りました。しかし、錆鉄人はやっていた事があって(ホームページの入力でありました)しばらく作業を続けました。そして0時少し前に終わって、トイレに行って歯を磨いてから寝室に行きました。歯を磨いている間は、ヘッドランプを点けて玄関の花々のチェックをしているので、この間に足はすっかり冷たくなっているのでありました。
天女はお疲れで軽い寝息を立てていました。愛妻家の錆鉄人は天女を起さないようにそっと(天女はベッドに入る時、いつもガバッと布団をまくり上げるのですが)布団の中に潜り込みました。
しかしながら、いつの間にか天女にも錆鉄人センサーが備わっていたのでしょうか、無意識に錆鉄人の冷たい足に天女の暖かい足をくっつけて暖めてくれるではありませんか。
心地よい眠りから覚めた天女は「キャーッ(冷たい!)、キャーッ(冷たい!」と言った後、「でも、足を引っ込めないのでした!」と自慢します。いつだったか忘れましたが、錆鉄人の「愛情比べ」の大勝利が余程ショックだったに違いありません。錆鉄人は苦笑するしかありません。さらに身体もくっつけて暖めてくれる優しい天女でありました。愛情比べは引き分けにしてあげようかなと思う天女に甘い錆鉄人でありました。
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第54話 私こういうものは弱いのよ!
ゴールデンウィークの事です。錆鉄人は台所のリフォームに勤しんでいて、朝、天女が仕事に出かける前に「今夜はお好み焼きが食べたい」といいました。もちろん、愛情深い天女ですから、錆鉄人の要望に素直に頷いてくれました。
ところが、天女はいつも帰って来る時間よりも遅く、錆鉄人は心配しながら台所のリフォームをしていました。そして次の作業に取り掛かったところで天女が帰ってきて、「ごめんなさい、仕事が遅くなっっちゃって」と言いながら、キャベツを刻みだしました。錆鉄人はこの時、壁に大理石(調)のタイルを貼る為に接着剤を塗っていたので、タイルを貼ってしまうまで作業を中断出来ません。
天女は手早くお好み焼きの材料の準備を終え(昔と比べると、本当に手際よくなったものです。)、錆鉄人が手を離せないのでいつもは錆鉄人が準備するホットプレートを出してきて焼き始めました。やっと作業が終わった錆鉄人がテーブル(といってもコタツ、錆鉄人家は山間部なのでゴールデンウィークといってもまだ寒い?のでした。)に座って、焼きあがるまでパソコンをしようと考えて、コタツ板の上にノートパソコンを広げようとしましたが、ホットプレートが邪魔をしていたので、少し押して横に移動しました。
パソコンをしながら焼きあがるのを待っていたのですが、いくら経ってもジュージューと焼きあがる音がしません。天女も「なかなか焼けないわね、温度は200℃でよかったかしら?」とか言いながら温度調節のダイヤルを回しました。
という事で、錆鉄人はもうすこしだろうと考えて、相変わらずパソコンをしていました。
が、焼けてきません。
いくらなんでもオカシイ、という事で、ホットプレートを見ました。
あれ?、電源のランプが点いていないよ・・・、でも差込のスィッチはちゃんと点灯していました。(我が家は節電のために差込を1つずつON/OFF出来る電源タップを利用しているのでありました。)おかしいな?と思って温度調節のダイヤルをまわしてみましたが変わりません。接触不良かなと思って、そこの差込部分を動かしてみようとすると、何と外れてしまいました。
差込の所を握って差し込んで手を離すとツメの働きをする部分が出て外れなくなるという普通の構造で、錆鉄人は取説など読まずに何ら疑問なく使っていたのですが・・・
「なんや!刺さっていないよ!」
と言うと、天女は申し訳なさそうに、
「私、こういうものは苦手なのよ!」
天女である事を主張するのでありました。でも、差込を差し込むだけなんですが・・・。
こういうことがあると必ず、「私はお父さんがいないと駄目なのよ」と持ち上げてくれるので、いい気分になる錆鉄人でありました。
という事で、今回の大騒動も一件落着。お好み焼きは無事焼きあがり、天女と二人でおいしいねと言いながら食べたのでありました。(錆鉄人がノートパソコンを載せるためにホットプレートを動かすまでは一応電気が通っていたので、少し焼けかけてそこから一度冷めたので、ちょっとおかしな具合になりましたが・・・天女が作ってくれるものに文句を言ったことがない錆鉄人でありました。)


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